フードトラックやキッチンカーとビルの空きスペースとのマッチングサービスなど、店舗型モビリティビジネスプラットフォーム「SHOP STOP」を展開する Mellow は28日、シリーズ B ラウンドで約10億円を調達したと発表した。
このラウンドは、トヨタファイナンシャルサービスがリードし、損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三菱地所(東証:8802)、清水建設(東証:1803)、東急不動産ホールディングス(東証:3289)の CVC、電通ベンチャーズ、博報堂 DY ベンチャーズ、PKSHA SPARX アルゴリズム1号(PKSHA Technology Capital とスパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメントによる運営)が参加した。
今回の調達は、公開されている限りにおいて、 Mellow にとって2020年2月の5億円の調達に続くものだ。トヨタファイナンシャルサービスと PKSHA SPARX アルゴリズム1号は前回ラウンドに続くフォローオン。デットファイナンスを含めると、同社の累積調達額は約22億円に達した。
Mellow は2016年、 石澤正芳氏(代表取締役会長)と森口拓也氏(代表取締役社長)らにより創業。森口氏が以前創業したアプリ開発ベンチャー ALTR THINK の買収先であるイグニスで、社内ベンチャーとしてスタートした。BRIDGE が初めて Mellow を目撃したのは2018年6月の IVS 2018 Spring in 台北、シードアクセラレータ StarBurst の第5回デモデイでのことだ。
当初は都心部におけるランチ需要にターゲットを置き「TLUNCH」という名前でサービスを展開。Mellow がビルオーナーと契約し、フードトラックに空きスペースを提供。個人経営であることが多いフードトラックのオーナーにとって、営業スペースを見つけるためにビルオーナーと個別に交渉するのは煩わしく、Mellow がそれを代行することで重宝されてきた。
最近ではランチ需要のみならず、住宅街におけるディナー需要、フードトラック以外の需要にも業態を広げ、それにあわせサービス名を SHOP STOP にリブランド。展開するロケーションは20都道府県、670ヶ所に及んでいる。都内に限れば、大手コーヒーチェーンの店舗数にまさる配置密度に達しているそうで、事業展開は点から面のフェーズに進みつつある。
フードトラックが一つの業態として認知されてきたこともあり、地元自治体のみならず、厚生労働省や国土交通省などから、サービスの提供形態にあたりガイドラインが示されることも増えてきたとそうで、Mellow では今後、フードトラックや他の移動型小売店舗のコンプライアンス遵守に向けた対応を強化する。
また、データの蓄積により、どこでいつどのようなものを配置することで売れるかが明らかになっており、Mellow ではこうしたデータをもとにフードトラックや移動型小売店舗オーナーに対する経営支援を強化する。ロケーションの数が増えたことで、データに基づいったフードトラックや移動型小売店舗の、配置入替、スケジュール入替なども柔軟に行えるとしている。
今回参加した投資家のうち、トヨタファイナンシャルサービスとは、グループ会社であるトヨタの地域販売会社らと店舗型モビリティを活用した地方創生モデルの運用を開始している。不動産会社各社とは、それぞれの開発したマンションやコンドミニアム周辺への SHOP STOP の展開などで協業関係がある。
この分野では、三井不動産(東証:8801)の社内ベンチャーである ShareTomorrow が「MIKKE!」を展開。都内を中心に60区画、60店舗以上の稼働を予定していることを明らかにしている。
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