企業向けチャットボットや各種AIツール開発のAllganize、本社機能を米国から日本に移転——東証上場念頭に

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Image credit: Allganize

オークランド、東京、ソウル、ベルファストを拠点に、ディープラーニングを使った企業向け業務自動化サービスを開発・提供する Allganize(オルガナイズ)は14日、本社機能を東京に移すことを明らかにした。同社はこれまで、テキサス州ヒューストンに本社を置いていた。同社は持株会社 Allganize Holdings を東京で設立し、Allganize Japan をはじめとする各国の事業会社が、Allganize Holdings の100%子会社となる形に事業体を再編成する。

Allganize は、グロースハック・ツールの 5Rocks の前 CEO イ・チャンス(이창수、Changsoo Lee)氏が2017年に設立したスタートアップだ(5Rocks は2014年、Tapjoy にバイアウトしている)。日本国内では、5Rocks 時代に日本代表だった佐藤康雄氏が、5Rocks イグジット後にも Allganize の日本市場開拓をリード。2019年2月には Allganize の日本法人を東京・品川に設立していた。

Crunchbase によると、Allganize はこれまでに累積で2,340万米ドルを調達している。直近の調達は、2019年5月のシリーズ A1および、2021年3月のシリーズ A2 ラウンドで、これらをあわせたシリーズ A ラウンド全体では、三井住友銀行、グローバル・ブレインと KDDI が共同で運営する KDDI Open Innovation Fund(KOIF)などから1,340万米ドルを調達している。

Allganize の主力製品は、AI チャットボット「Alli(アリィ)」、Cognitive Search(認知検索)、固有表現抽出 AI、分類 AI など。三井住友フィナンシャルグループ(東証:8316)とは、Allganize、日本総合研究所、JSOL とともに自然言語処理に特化した AI 「BERT」を開発し、SMBC 日興証券と三井住友カードのコールセンターの照会応答支援業務を皮切りに、グループ全体や外販を図り、日本では花王、KDDI、日立グループ、パーソルグループ、韓国で SK Telecom、LG U+ などが導入している。

近年、アジアやアメリカに本社を設置していたスタートアップの、東京への本社移転が増えている。シンガポールに本社を置いていた AnyMind Group は、東京の持株会社を筆頭に各国の事業会社が連なる体制に再編成し、東証マザーズ(当時)への上場が承認されたが、市況低迷を理由に上場を延期した。日本やアジアを中心にフィンテックサービスを提供する Opn(以前は、SYNQA、および、Omise Holdings)は、本社をシンガポールから東京に変更したことがプレスリリースなどからわかる。

こうした本社移転にはさまざまな理由があるが、一つには、東京証券取引所への上場を念頭に置いていることが考えられる。Allganize に関しては、今回の本社移転を機に、日本市場での上場準備に着手することを明らかにしている。

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