CVC「社員」がGPになる理由ーー朝日メディアラボベンチャーズが2号ファンド設立、新体制公表

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朝日メディアラボベンチャーズのパートナーに就任した山田正美氏と代表取締役の野澤博氏、白石健太郎氏(写真左から)

朝日メディアラボベンチャーズは5月に2号ファンドとなる朝日メディアラボベンチャーズ2号投資事業有限責任組合(AMLV2号ファンド)のファーストクローズ完了を伝えている。無限責任組合員(ジェネラルパートナー)には朝日メディアラボベンチャーズのほか、これまで1号ファンドを運営してきた朝日メディアラボベンチャーズの代表取締役である野澤博氏、山田正美氏と白石健太郎氏も参加する。

出資先ポートフォリオ(一部)

ファーストクローズでLP(リミテッド・パートナー)として出資したのは朝日新聞社、名古屋テレビ放送のCVCである名古屋テレビ・ベンチャーズ、朝日放送グループホールディングスのCVCであるABCドリームベンチャーズ、rakumoの4社。最終的なファンドサイズは30億円規模になる模様で、1号と同様にアーリーステージの国内外インターネット企業へ投資するとしている。

1号ファンドだった朝日メディアグループ1号投資事業有限責任組合(AMLV1号ファンド)は23億3,000万円規模で2017年に組成され、これまでに国内27社、海外15社の累計42社に投資を実行している。

独立系のファンドでは自らもファンドに出資(通常は約束金の1%程度)し、無限責任組合員(ジェネラルパートナー・GP)がその運営責任を負うことが一般的。一方、企業が作るCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)では、GPは個人ではなくファンドを組成する企業とVCなどの組織が二人組合という形で設立することが多い。

GPは無限責任のリスクを負う代わりに、管理報酬やファンドの成功報酬(キャリー)などの設定、交渉ができるようになる。これまで朝日メディアラボベンチャーズではあくまで朝日新聞社のグループ社員という形で1号ファンドを運営してきたが、今回の2号ファンドではチームはGPとしても参加している。その件について同社にその意図を聞いたところ、次のように回答した。

「2017年に設立した朝日メディアラボベンチャーズは、朝日新聞社100%の子会社であると同時に、運用しているファンドは、いわゆる2人組合ではなく、朝日新聞社以外のLPにもご出資頂いています。事業会社系VCでは、人事異動や退職で投資担当者が交代する可能性があり、投資を受けるスタートアップや協調する他の投資家、ファンドにご出資頂くLPの皆様からみて、不安定な状況に映ることがあります。

2号ファンドでは、個人としてのコミットメントをすることで、ファンド期間中、他のVCと同様に責任を持って、ベンチャー投資に携わることをスタートアップや協調するVC、ファンドにご出資頂くLPの皆様にお示しする。というのが一番の目的です」。

CVCでありながら「個人GP」として出資参加することで、一般社員の給与報酬とは異なるファンドパフォーマンスに応じた成果報酬を設定することになる。会社員としての報酬体系と成果の部分をどのように設計したのか。同社では詳細は非公開としつつ、次の回答を返してくれた。

「スキームの内容は詳しくお伝えするのは難しいのですが、事業会社の子会社としてできる最大限の範囲で、独立系VCと同様のスキームを採用しています。ベンチャーファンド特有の業法やスキーム、商習慣や個人のコミットメントの必要性について、親会社含む様々なステークホルダーの皆さんの理解を得るところに、様々な工夫と多くの方のご協力を頂きました」。

彼らの課題としてあげられていた「CVC担当者のコミットメント」は確かに頭の痛い問題だ。ファンドの償還期間が10年設定されたとして、この期間中、投資担当者がずっと会社員として在籍している保証はどこにもない。一方のCVC担当者も同じだ。メガヒットのIPO案件をもたらしたとしても何か決まってない限り、給与や賞与以外で報いられることはない。このCVCの担当者問題はずっと囁かれてきた。

朝日メディラボベンチャーズのようなスキーム調整の動きは、他のCVCなどでも聞こえてきている。独立系VCと変わらないコミットメントが実現するかどうか、その結果が分かるのは案外早いのではないだろうか。

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