やっていいこと・悪いことーー海外進出3つのルール(3)

本稿は1月に開催されたオンラインイベント「BRIDGE Tokyo」で配信したセッション動画です。アクセンチュア・ベンチャーズはグローバル化するスタートアップシーンに必要なノウハウやトレンドの話題を提供しました。前回からのつづきです。最終回です。

池田:ありがとうございます。お二人にもう一つだけ質問をしたいと思います。日本の国内経済というのは・・・自活していくのには十分な内需規模があるんですね。すごく小さくもなければ、大きくもない。多くの事業体にとっては、食っていだけの規模感が国内市場にあるわけです。

だから典型的な日本のスタートアップというのは国内市場から始め、その後で国際事業をどう始めるかを考えます。創業初日から世界展開を考えるべきという人もいるし国内市場で成功してから、海外を攻めるべきという人もいます。これについて、お二人の意見を聞きたいのです。まずは Sharma さんから、どう思いますか?

Sharma:自分の地元から事業を始めて、それから他国に企業を展開するのは我々の会社や事業形態とは異なるものですね。我々は Enora Media Holding の支援を受けていて、彼らは欧米に複数の子会社を持っています。BidMath の設立は、成長市場進出がポイントだったので、我々はインターネット人口が多い市場に特化したのです。

そこが、インターネットビジネスの成長が速い場所だから。でも、どこでも常に困難はつきまといます。地元市場で〝宿題〟をして、ブランドや顧客にとっての事業機会や困難を理解したら、その知見をもとに成長スピードの速い市場に進出して困難を解決したり、生産性を向上したりすることもできるでしょう。

池田:三木さんからも、この質問に対する意見を伺っていいですか?

三木:私は10年超にわたり海外事業に携わっていますが、私の意見では、国内と海外の間に障壁を作る必要は無いと思います。事業は事業です。最も重要なのは、どこに市場・顧客がいるのかを見極めること。それがもし日本にあるなら、日本から始める可能性を活用すべきです。これが正答だと思います。

しかし、もし海外顧客との事業をやりたかったら日本市場にこだわる必要はなく、海外で始めればいい。例えば、シンガポールとかインドとか、タイとか。どこに市場があるか、潜在顧客がいるかを見極めるべきです。「Domestic Global(国内にいながらグローバル)」と言っています。2022年に生きているのなら、事業を始めるのに障壁は不要でしょう。

海外進出でやっていいことと悪いこと

池田:ありがとうございます。では、次の質問に。これが最後になると思います。事業進出に関してやっていいこと、悪いことを挙げてください。簡単な質問ですが回答は難しいかもしれません。では、Sharma さんからお願いします。

Sharma:いい質問だと思います。我々は今日、事業の海外進出において、市場によって異なる困難、可能性、事業機会があることを議論してきました。しかし、ここで敢えて皆さんに問うてみたいのです。「なぜ、アジアに進出するの?」って。もちろん、我々はアジアで事業展開しているのですが、顧客の数が多いことに加え、話しておきたいポイントがあります。それは、顧客の多さに加えて、驚異的な成長を遂げていること。我々が話しているアジアには、45億人が住んでいて、世界人口の3分の2を占めています。

アジアをインターネット革命が席巻し、欧州よりアジアの方が人々はデジタルに強いんじゃないかと感じることもあります。東南アジア市場では資金調達が多くなっています。これは重要なことです。毎年、インターネットユーザが増え、今では地方にもインターネット人口が広がっています。これは消費者を増やすことにも貢献し、ブランドはデジタルマーケティングで消費者とつながりやすくなります。

これはいいことです。アジアに進出し、事業成長したい企業には、大きな機会が広がっているのです。2つ目に重要なことに、アジアには、ビジネスフレンドリーで、スタートアップ的なマインドセットがあると思います。これらの国々の間では「我こそは、次のシリコンバレーに」というある種の競争があります。

シンガポール、香港、ホーチミンシティ、クアラルンプール、バンコク。どの国も、自国の市場に来てもらおうと外国人投資家を魅了するのに躍起です。そこには事業機会があるからで、現在は法律が厳しい国も、よりよい、フレンドリーな法律へと改定しつつあります。

興味深いのは、アジア市場に進出すると都合がいいことに、こうした国々で仕事・生活する外国人に対して国際二重課税防止の観点から、法人税の軽減措置がとられています。それが経済を成長させる原動力になるからです。西洋諸国がアジアに進出し、アジア諸国はそこから利益を得る。双方にとって都合がいいのです。これは重要なことになると思います。進出する際には、顧客の大きさや市場のフレンドリーさなども考慮に入れるべきでしょう。

池田:ありがとうございます。三木さんにも同じ質問をさせてください。海外進出で、やっていいこと、悪いことです。

三木:海外進出に関しては、次の3つのことをアドバイスしたいと思います。・ビジネスプランを書く勇気を持て・最初のプランに固執せず、柔軟であれ・状況に応じて変更を元々のプランに固執すると、海外展開を始めると適合しないかもしれません。なので、柔軟に。変更・調整をしながら、事業を運営することですね。

そして2つ目ですが、一度計画を立てたらそれから遅れないように。可能な限り素早く、光速のごとく行動すること。日本語で言うなら「爆速」。一般的に、日本企業は準備に時間をかけ過ぎで、最良の方法を見つけようとしますが、見つかった方法が最良とは限らない。だから、計画を決めたらまずやってみること。正しい解決策はそれから探せばいい。考え過ぎず準備し過ぎないこと。最初は小さく試しうまくいったら大きくする。

できるだけ速く。3番目に日本品質を押し付けず、ローカライズすること。高品質であることは、それに要するコストや時間から、時として過ぎることがあります。80%の品質でいいから、現地市場の需要に対して、より安いコストと短い準備時間で実現できるものを考えるべきです。以上が私の経験からのアドバイスです。

高品質や高スペックはいいことではあるのだけど、市場ニーズは、高過ぎる品質やスペックはおそらく求めていない。現地市場の需要に合わせるよう努力してください。そして、最後に、チャレンジを楽しんでください。

池田:ありがとうございました。これでこのセッションを終わります。2人のスピーカーに、盛大な拍手をお願いします。

カバー画像:Credit Photo by Ann H: https://www.pexels.com/photo/stop-text-6480766/

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