
サッカーの試合やロックコンサートを観に行ったとする。
甘いもの、塩辛いものを食べるのは当たり前。しかし、売店には数人の行列ができ、レジ係も慌ただしく働いている。
しかし、小さなキオスクもある。ハンバーガー、ホットドッグ、キャンディー、プレッツェルを載せたトレーをデジタルスキャナーに置き、カードをスワイプすると、あっという間に会計が完了する。商品一つ一つを手作業でスキャンしたり、SKU 番号を入力したり、バーコードの無い商品を識別するためにデジタルメニューを見たりする必要がないのだ。
そして何より、長蛇の列に並んでイライラすることもなく、ただただイベントに集中することができる。
イベントの世界では、売店は昔からファンの満足度が最も低く、その結果、大手会場では毎年推定2,000万米ドルがテーブルの上に放置されていると言われている。
しかし、Mashgin は、スタジアム、アリーナ、エンターテイメント施設、食料品店、コンビニエンスストア、小売店などにおけるレジ体験の未来を後押ししているという。同社の画像認識技術を搭載したセルフレジは、全米で1,000ヵ所以上、そのうち30ヵ所は最も象徴的な会場に設置されている。
スピードは、人々と根本的なレベルでつながるものだ。あまりの速さに、「もういいの?」という不信感を抱いてしまうほどだ。(CEO 兼共同設立者のAbhinai Srivastava 氏)
紙か、プラスチックか、それともタッチレスか?
間違いなく言えるのは、今日の消費者は即座に満足することを好むだけでなく、要求しているのだ。その結果、Mashgin のようなタッチレス・セルフチェックアウトシステムが普及し、好まれるようになってきている。
Grand View Research によると、2021年のセルフチェックアウトシステムの世界市場規模は34億4,000万米ドルだった。同社は、この分野が2030年まで13%以上の複合年間成長率(CAGR)で成長すると予測している。
この成長は、新型コロナウイルスの感染拡大(社会的距離の維持、行列時間の短縮、店外での商品提供が必須となった時期)、小売スペースのコスト増、熟練労働者の不足、よりパーソナライズされた体験に対する消費者の要求によって促進されたと、同社は述べている。
世界的な感染拡大がタッチレス技術の普及を加速させ、消費者行動はタッチレス技術をベースラインの期待に変えた。(Mashgin CTO 兼共同設立者 Mukul Dhankar 氏)
この新市場には、多くの企業が参入している。Abto Software、イギリスの Autocanteen、食品認識を専門とするコンピュータビジョン企業の Proppos、ドイツ語圏の市場をリードし、セルフレジを27秒からわずか3秒に短縮できると主張する Dishtracker など、多くの企業がこの新市場に参入している。
数秒で決済
一方、Mashgin は、世界最速のタッチレス・セルフレジシステムを開発したと主張している。9台の3Dカメラで実物をリアルタイムに再現し、あらゆる角度から商品を識別して瞬時に会計を済ませることができると Srivastava 氏は説明する。このシステムは、バーコードや RFID タグ、一貫したパッケージングを必要としない。消費者は商品をスキャナーの上に置いて、10秒以内に支払いを済ませ、店を出ることができるそうだ。
同社によれば、Mashgin は複数の商品を0.5秒以内に認識し、99.9%の識別精度を有するという。このシステムにより、1秒あたりの取引件数であるスループットは400%も向上する。さらに、同社はこの技術によって、消費者が列に並ぶ時間を33年分以上節約できると見積もっている。
Mashgin の技術は、顧客優遇システムとの連携、コンビニエンスストアでのガソリン代の支払い、現金支払いの促進を可能にする。同社は、レジの行列を早め、待ち時間を減らし、衝動買い(レジ横にわざと置かれた魅力的なキャンディーバーやドリンク、旅行用サイズのチップス)を増やすことができるとアピールしている。
(後編に続く)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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