「Voicy」、国内外から27.3億円を調達——高エンゲージメント&スティッキネスでさらなる成長目指す

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Image credit: Voicy

ボイスメディア「Voicy」を運営する Voicy は13日、直近のラウンドで27.3億円を調達したことを明らかにした。このラウンドのリードインベスターは非開示で、日本ベンチャーキャピタルが運営するファンド「阪大ベンチャー NVCC」、グローバル・ブレイン、電通ベンチャーズ、みずほキャピタル、千葉道場ファンド、まぐまぐ(東証:4059)、SKIYAKI(東証:3995)、PR TIMES(東証:3922)と、個人投資家や Voicy でパーソナリティを務める人物など複数が参加した。累積調達額は36億円に達した。

<情報開示> BRIDGE を運営する THE BRIDGE は、PR TIMES の連結子会社である。

ラウンドステージは不明だが、INITIAL は現在同社がシリーズ B ラウンドにあると伝えている。これは Voicy にとって、2019年2月3月に実施した合計8.2億円の調達に続くものだ。今回のラウンドに参加した投資家のうち、グローバル・ブレイン、千葉道場ファンド(以前は代表の千葉功太郎氏が個人として参加)、電通ベンチャーズ(以前は、電通イノベーションパートナーズが参加)は、前回ラウンドに続くフォローオンだ。今回ラウンドのリードインベスターは非開示だが、関係者によれば、音声サービスなどに投資する海外テック大手の一つと見られる。

Voicy は2016年、以前 は Ernst & Young やトーマツベンチャーサポートでスタートアップ支援を行なっていた、公認会計士の緒方憲太郎氏により創業。早いもので、創業から6年目を迎えるスタートアップだ。前回資金調達を発表した2019年からこれまでの間に、Voicy にもさまざまな紆余曲折があったようだ。その一つ、昨年は〝黒船襲来〟となった Clubhouse の存在。ただ、ある日突然一大ブームとなり、あれよあれよと言う間にピークアウトしていった Clubhouse とは対照的に、Voicy の成長路線は愚直だ。

「メディアのスタートアップのスケールには時間がかかる。」——これは、BRIDGE がかつて資金調達をした際にある VC から言われた一言だが、同じことは Voicy にも言えるだろう。ましてや、一定の市場の存在が確認できているフォーマットのメディアとは対照的に、音声メディアの市場は、良く言えば可能性無限大、悪く言えば不透明である。無論、その可能性を社員や投資家に説いてきたのが、他ならぬ創業者で代表の緒方氏なのだが、ここまで来るのにさまざまな苦労があったようだ。

Image credit: Voicy

ここ数年、SaaS スタートアップの資金調達動向は手堅い。需要が明確に存在し、T2D3(PMF 後、Triple, Triple, Double, Double, Double で事業を成長させること)のようなモデルが提示されているほどだ。VC のデューデリジェンスも MRR(月次経常収益)が指標の一つに捉えられることが多い。この傾向から、SaaS でもない Voicy に、日本の潜在投資家から SaaS の指標を当てはめられることもしばしばだった、と緒方氏は言う。(投資家の名誉のために言っておくと、本ラウンドに参加した投資家はそうではない)

SaaS ではないスタートアップが投資家からのエクイティ調達を目指す場合、ユーザの成長カーブを重点指標に見てほしいところだが、それをポジティブに捉えてくれたところが、今回、リードインベスターを務める海外のテック大手ということのようだ。緒方氏によれば、今回ラウンドの「投資家探し」には実質的に1年半を要し、Voicy の上向きのユーザ成長曲線とは裏腹に、キャッシュアウトしそうなタイミングをブリッジファイナンスで乗り切った局面も何度かあったという。

資金調達の成功には、サービスの解像度が上がったことも背景にある。ボイスメディアというカテゴリを超え、講演を IT 化できるメディアとして認知され始めた。Voicy では昨年末から一部チャンネルでユーザ課金を始めたが、なかには、月に数百万円を稼ぎ出す人気パーソナリティも生まれ始めた。撮影場所や機材の手配、撮影後の編集に手間のかかる動画コンテンツとは対照的に、Voicy は手軽に情報発信を始められ、それでいて、リスナーは作業しながら聞けて、スティッキネスが強いというサービス特性が顕著になった。

聞いてくれる人をたくさん増やすより、むしろ、自分の理解者を増やすことができるメディアだと思う。(緒方氏)

Voicy を使う企業はこの特性を活かし、ファンとの対話を通じたブランディングや、マネジメントの思いを社員に伝える音声版の社内報的な使い方をするところが増えているという。個人のパーソナリティやリスナーにとっては、ロールモデルの提示、知の共有、ライフスタイルの提案など、ウェルビーイングのための手段として Voicy が活用されるケースが増えてきているそうだ。Voicy はかくして、緒方氏の「サービスを通じて、社会一人一人のボトムアップに貢献したい」という思いに通じるサービスに育ちつつある。

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