#11 ギフティ創業までのストーリー 〜ギフティ太田CEO × Droga5清水〜

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト。グローバル・テックシーンを見つめてきたITジャーナリストの松村太郎をナビゲーターに迎え、旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

ギフティが東証マザーズに上場を果たしたのは2019年9月。創業してから11年目のことでした。スタートアップの世界は変化の早いものであり、一つの一貫したビジネスを10年以上続けるための努力は並大抵のものではありません。それまで世の中に無かった新しい体験を消費者に受け入れてもらうには、相応の時間がかかるということでしょう。

今回は、ギフティの創業者で CEO の太田睦さんにお話を伺いました。ギフティは「 e ギフト」 という、オンラインのやり取りの中で、形のあるギフトを送るという、今までにあまり無かった体験をもたらしました。太田さんがなぜこれをビジネスにしようとしたのか、前編では起業までの経緯についてお話を伺いました。

ポッドキャストで語られたこと

  • ギフティの事業に辿り着くまでの経緯
  • 起業のアイディアが見つかった瞬間

太田:ギフティという会社を 2010 年からやっておりまして12 期目の会社です。オフィスは五反田にありまして、創業から一貫して「 e ギフト」 をやっています。

飲食や流通小売の実店舗で実際の商品やサービスと引き換えられる電子チケットを e ギフトと呼んでいます。代表的なものだとスターバックス、サーティーワン、ローソンがあります。コーヒー、アイスを気軽に「ありがとう」「お疲れ様」という気持ちに乗せてギフトとして贈ることができるカジュアルギフトサービスになっています。

元々は大学時代から起業したかったのですが、特にこれというテーマがなく、テーマ探しのためにアクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ(2015年にアクセンチュアと統合)でエンジニアとしてお世話になりました。その過程でテーマ探しをしてたところ、ちょうど国内でも SNS が普及し始めていたタイミングでした。 Twitter とか Facebook ですね。大学時代のサークルの友人やアクセンチュアの同期とはみんな SNS で繋がるようなことが当たり前になり始めていました。 2007 年ぐらいですかね?

今でもそうですけど、「誕生日おめでとう」「出産おめでとう」という感じで、みんな SNS 上でやりとりしていますが、SNS はいろんな人と繋がるところで、すごく仲が良い人もいれば、顔見知りぐらいで繋がってる人もいると思います。誕生日おめでとうと実際書き込むこともあると思いますが、僕は書き込む時にそこまで仲良くない人であればメッセージだけでいいのですが、もうワンプッシュ気持ちを送りたいなというときに、それ以上特にできることがないなという点に個人的なペインを感じていました。やろうとすれば、どこかに(贈り物を)買い物に行って手渡しする、配送する。でも住所が分からなかったら聞かないといけない。そのような手間があるなと思っていて、もっと気軽に気持ちを表現することができれば、受け取る側はもちろんだし、送った方もすごく良い気持ちになるかなと。

何が良いかなと考えたら、コーヒーが好きだったので、例えばスタバを一杯パッと贈れたらすごく素敵だなと思いました。そんなきっかけで始めました。

10年間かけて色々なブランド、飲食のブランド、流通系のブランドにお会いしていくと、e ギフトには興味を持っていただくのですが、e ギフトを生成する仕組みを持っていないことが分かってきました。今までは紙のギフト券を使ってきました。使われた時はハンコ押してレジにしてしまっておいて、最後集計するオペレーションなのですが、デジタルの場合はスマホに収まるので簡単にスクリーンショットで複製できてしまうところを、1 回しか使えないように制御をかけていく必要があります。

今の QR 決済みたいな仕組みが必要なのですが、飲食とか流通をメインにされてる方が自分で作ることはあんまりないので、e ギフトを普及させていくためにはインフラの部分からやらなきゃいけないと分かり、その部分をホワイトブランドで SaaS で提供して、各ブランドの e ギフト生成を裏方支援して、そこで生成されてきたものを自分たちのギフティというサイトで販売していました。

最初の 5〜6 年間ぐらいはそれに集中して、少しずつブランドが増えていきましたが、個人がいきなり贈るようにはならないので、どうしようかなと思ってたら法人側からニーズがありまして、キャンペーンで使いたいというニーズが出てきて「giftee for Business」が生まれました。それが結構ニーズが爆発しまして、そこから2〜3 年ぐらいで売上が急拡大して組織も大きくなって、上場もさせていただいてという形で大きくなっていきました。

清水:起業のアイディアが見つかったと思った瞬間はどういったものだったんですか?

太田:僕が大学 3 年生の就職活動した時にベストセラーになったのが、梅田望夫さんの 「ウェブ進化論」という本(ちくま新書刊)で、シリーズで何冊か出たじゃないですか?全部読んでめちゃくちゃ議論もしました。就活しながら何のために働くのかを自問をしてたところでもあったので、内容がささりました。GAFA という言葉は当時ありませんでしたが、世界の叡智がシリコンバレーに集まって、世界を前進させるために集中してやっている点や、ガイ・カワサキさんという Apple のエバンジェリストの方が「メイクマネーじゃなくてメイクミーニングしろ」とスタンフォード大学の起業家講座で話しているなど。やっぱりメイクマネーじゃなくて、メイクミーニングしたからメイクマネーできるんだなという順番を自分の中で腹落ちしましたね。でも、実際何をしたらメイクミーニングになるのかが学生だとかわからないじゃないですか。

だからまずは社会経験を積んで、社会の負がどこにあるのかを知ろうと思いました。アクセンチュアであればより見晴らしの良い場所でいろんな業界のトップ企業の方とお会いできそうだしやってみようという感じで入社を決めました。最初はコンサル枠とか営業枠で入ろうとしましたが、本当に自分で会社を起こすのであれば、裏側の仕組みを理解してないと難しいだろうなと思ってダメもとでエンジニア採用で受けますと伝えたら全然いいよと採ってくれました。

たまたまアクセンチュアに所属してる時に、世田谷ものづくり学校(2022年5月に閉館)というところで自由大学があったんです。起業塾みたいな講座があってそこに入りました。それまで企業とかスタートアップとかベンチャーをすごく固く考えていました。100 か 0 か、失敗したら全てを失うみたいな。なので、ものすごく1歩目が出しづらかったのですが、講座を受けて考えが変わりました。スモールスタートとか、アイデアといっても全く新しい概念をパッと思いつかずとも、今まインプットしてきたものに自分らしさを少々加えたら新しいアイデアになるなど。今の仕事をやめなくても、土日など平日の夜や朝早くにちょっとずつ始めていって、ある程度手ごたえが出たら、副業を本業に転換するのが良いんじゃない?と言われてからいろんなアイデアが出るようになりました。

自分の感じてる負というかペインに向き合った方がやりがいもありますし、最初に述べたSNSでの自分の気持ちがロスされてるなという感覚が、普通の人はそれをペインと感じなかったのかもしれません。ですが、僕はアカペラサークルにいたのですが、週 2 回練習があり、300 人ぐらいいると絶対誰かしら誕生日をその週に迎えていた。そして、毎回練習の終わりにハッピーバースデーを歌うのというのを 4 年間やってて、そうした原体験から誕生日を祝う、人を驚かせる、何かお祝いすることに敏感だった自分がいました。

なので、Facebook の誕生日メッセージで気持ちが通っていない「おめでとう」を言うとか、絶対行かない「今度飲みに行こう」というやり取りに違和感がありました。もったいないなと思って、気持ち100ある状態でちゃんと100を相手に届けることができれば、もっと気持ちは循環していくし、自分のこれまでの経験を踏まえて、これが向いてるかもと思ってこのテーマを選びました。

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