AIでサプライチェーン改善、食品ロスを減らす「Afresh」

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Image credit:Afresh

ピックアップ:Announcing $115 Million Series B Funding Round for Afresh

ニュースサマリ:AI を活用した生鮮食品管理システムを開発する「Afresh」は8月4日、1億1,500万ドルのシリーズ Bの資金調達を発表した。Spark CapitalがリードでInsight Partners、VMG Partners、Bright Pixel Capital、Whole Foods Marketの元共同CEOであるWalter Robb氏が個人としてが参加している。また、これまでに出資したMaersk Growth、High Sage、Innovation Endeavorsなど既存投資家も全て参加した。

話題のポイント:食品ロスは経済的な無駄だけなく、温室効果ガス増加への影響も大きい問題です。こちらの研究報告によると、2015年時点で日本では年間646万トンの食品ロスを発生させており、その経済的損失は年間4兆5,870億円、これらの処分によって発生する温室効果ガスは1,566万トン(CO2)にも及ぶそうです。これは温室効果ガス発生量全体の1.2%に相当します。

食品ロスには発生する箇所がいくつかあるのですが、家庭で発生する量と事業で発生する量はほとんど同じなのだそうです。家庭においては食べられる箇所を捨てたり、購入に適切な量の見誤りなど個人によって問題の所在が異なるため、現在のところ意識改革による解決が主な方針となっています。

一方、事業においてはサプライチェーンの仕組みによって食品ロスが発生します。年月日で商品管理をしており、一日でも古い商品は納入しないなどの慣習による在庫処分が多発しているのが現状です。これに対して日本では「賞味期限表示の大括り化」が進められて是正が図られています。

Image credit:Afresh

こういった課題に対し、主に事業系のロスについて小売の悪しき慣習をAIテクノロジーで解決をしようというのがAfreshです。これまで小売では、需要を正確に把握しながら在庫を管理するという絶対的な解がなかったようです。加工品で消費期限が年単位であればさほど大きな影響はありませんが、足が早い生鮮食品ではリスクが高いことは言うまでもありません。

そこでAfreshは生鮮食品ファーストなシステムを提供し、需要予測、発注、店舗運営を合理化することを目指しています。商品管理の決断がリアルの動向に濃く紐づくようになる小売企業が増えるほど、メーカーの非効率的な生産までの最適化が期待できる、というわけです。またAfreshはソフトウェアのみを提供するため、店舗がこれまでに利用している使い慣れたフローに適合したシステムになっており、導入した小売事業者は平均して25%の食品廃棄を削減できているそうです。

AIなどのアプローチで食品ロス問題を解決しようというスタートアップは他にもあります。例えば最近ではキッチンオペレーションを効率化し、需要予測をすることでロスを減らすPreciTasteが8月にシリーズAラウンドで2,400万ドルを調達していたり、食料品サプライ チェーンを最適化するVoriがやはり8月に10万ドルの資金調達を成功させています。

各社、サプライチェーンの効率化でコスト効率を上げると同時に、食品ロス削減に繋げるのが大きな流れです。日本は世界的にも食品ロスが多い国です。社会課題として絶対的な解決策がまだない中、国内でもどのようなアプローチが出てくるのか注目の領域になるのではないでしょうか。

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