触覚で独自路線、医療VRトレーニングの「FundamentalVR」が2,000万ドル調達

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FundamentalVR

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ニュースサマリー:ロンドン拠点の医療シミュレーションプラットフォーム「FundamentalVR」は8月11日、シリーズBラウンドで2,000 万ドルを調達した。EQT Life Sciences がリードで、前回シリーズから継続してDowning Ventures、Tern Plc、Sana Klinikenが参加している。前回のシリーズAラウンドは2019年10月で、同社がこれまでに調達した資金は3,000 万ドルを超えた。FundamentalVRが特許を取得しているHapticVR技術は外科手術における物理的な触覚を再現するとし、手術における視覚・音、身体的感覚を体験できるとしている。

重要なポイント:VRの代表的なアプリケーションになりつつあるもののひとつが医療分野です。仮想的に整形外科のトレーニングを提供するPrecision OS(2017年創業)や、2012年創業の老舗FundamentlaVR、遠隔・オンデマンド研修プラットフォームのOsso VR(2016年創業)、 脳手術など精密な視覚化技術を提供するProprio(2016年創業)、心臓を3D化したプラットフォームを提供するSentiAR(2017年創業)などなどです。

特に外科医のトレーニング需要は大きくなっており、その背景には、手術方法の低侵襲化(体への負担をやわらげること)や日々進歩する医療装置の習得を如何に低コストで時間をかけずに実施できるかという医療機関の思惑があるように思われます。今回取り上げたFundamentalVRはこういったニーズに対して独自の特許を取得しているHapticVR技術で解決を図ろうとしています。

多くの医療VRサービスが汎用のヘッドマウントディスプレイ・ヘッドセットを利用するのに対し、FundamentalVRの方は実際の手術に使われるものと類似した専用デバイスを用意しています。いわゆるVRシュミレーターの要素で、この辺りは動画を見ていただくのがわかりやすいです。一方、例としてOsso VRの動画を見ると仮想的な医療機関での研修要素が強いことがわかります。

FundamentalVRのHapticVR 技術を使うと、現実世界のデバイスと仮想世界でのシミュレーションがリンクし、外科手術のリハーサルを仮想的に実施することができます。同社曰く「外科医は人間の解剖学的構造と同じ視覚、聴覚、正確な身体感覚を体験できる」と謳っており、このフィードバック技術が強みになっているようです。今年に入ってから「眼科手術」「血管内手術」へのトレーニング対応を発表しており、この辺りもロボティクスに強みがあるからこその展開スピードのように思えます。

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