台湾発の直前予約アプリ「FunNow(瘋哪裡)」、日本やマレーシアで受け入れられるまでの軌跡

FunNow(瘋哪裡)のチーム
攝影:蔡仁譯氏

バーで友人とビール、居心地の良いレストランで家族で夕食、スパでのリラックスした午後……すべてのレジャー活動は、ロックダウンとソーシャルディスタンスによって一掃された。世界が元に戻っていく中で、人々は友人や家族と再びつながることを待ち望んでいる。文字通り、待ちきれない人々は、その瞬間に予約を入れようとする。

台湾のライフスタイル予約アプリ「FunNow(瘋哪裡)」は、その直前予約サービスでベンチャーキャピタリストを魅了し、2021年にシリーズ B ラウンドで1,500万米ドルを調達した。このラウンドの投資家コンソーシアムには、韓国の Ascendo Ventures、日本の NEC キャピタルソリューション、マレーシアの Perfect Hexagon、台湾の Wistron(緯創)と PChome(網路家庭)が名を連ねた。

FunNow は、直接的、自発的、のんびり、現在進行形といった、オランダの生活様式からインスピレーションを得た。航空券やホテルの予約、外食やオペラ鑑賞など、直前の予約でも、自分でコントロールすることができる。

FunNow が多国籍 VC に乞われる理由は、堅牢なソフトウェア・アーキテクチャ、共同創業者の共通のビジョン、海外サービスのローカライズ能力にある。

パンデミックを、我々は自分達のソフトウェアの強さをアップグレードする好機と捉えた。

さらに、パンデミックの影響で単一サービスのライフスタイルアプリが事業を停止、マッサージ予約や食事予約アプリの多くが、トラフィック不足のために閉鎖された。ジャカルタのテック大手 gojek は、マッサージやホームクリーニングのサービスをオンデマンドで提供する GoLife を2020年に終了せざるを得なかったのはその好例だ。

このような単一サービスアプリの失敗は、FunNow にライフスタイルの統合予約プラットフォームを構築するという使命を再認識させた。美容院や高級レストラン、手芸教室の予約など、幅広いサービスを提供する FunNow は、東南アジアの Yelp に相当する存在になることを目指している。

2年後には、東南アジア最大のライフスタイル予約アプリに成長させたいと考えている。(FunNow 共同創業者兼 CEO の Ting-Kuan Chen=陳庭寬氏)

バックパッカーからスタートアップ創業者へ

旅行好きのチームによって設立された FunNow は、台湾を拠点とするスタートアップで、長い海外経験の系譜を受け継いでいる。オランダに留学・勤務していた Chen 氏は、ヨーロッパ大陸を縦横無尽に駆け巡った。

旅行中、飛行機のチケットやブロードウェイのショー、宿泊先の予約に予約アプリをよく使っていた。

当時、台湾はまだ予約アプリの未開拓の地だった。特に Chen 氏は、自然発生的に生まれる顧客に対応した「直前予約プラットフォーム」を目指したが、技術的に複雑なため簡単にはいかなかった。そこで希少な競合相手と高いソフトウェア要件を組み合わせ、Chen 氏と彼のチームはオンデマンド予約という広大なブルーオーシャンに乗り出すことにしたのだ。

直前予約のビジネスモデルは、都心に住む人々が常に街に繰り出している大都市にぴったりだ。FunNow は東アジアの人口密集地に目を向け、現在、台北、東京、クアラルンプールでサービスを提供している。これらの都市はいずれもレジャーが盛んで、活気に満ちている。

マレーシア最大のライフスタイル予約アプリになるまで

マレーシアチームとの共同作業により、FunNow は地域最大のインスタント予約プラットフォームとなった。
Image credit: FunNow(瘋哪裡)

マレーシアは、FunNow にとって最大の商業的成功を収めている。2020年、パンデミック真っ只中のマレーシアで、FunNow はレストラン予約のリーディング企業 TABLEAPP を買収した。この買収は、FunNow が東南アジアという、言語の多様性から取り組むのが大変な市場でサービスを拡大するためのもので、驚くに値しない。また、現地に精通したチームや専門家がチームに加わることは、FunNow にとって大きな助けとなることが後に証明された。

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FunNow マレーシアの共同努力により、このスタートアップは地域最大のインスタント予約プラットフォームとなった。2022年4月には、その業績が2019年の新型コロナウイルス感染拡大前の2倍にまで達している。FunNow は、これまで以上に強くパンデミックから脱却しつつある。

FunNow は、2年後に東南アジア最大のオンデマンド予約プラットフォームとなることを目標としている。台湾のソフトウェア力を活用してアプリのインフラを構築し、グローバルチームの貴重な洞察を組み合わせることで、FunNow は消費者と投資家の注目を一挙に集めているのだ。

海外市場への進出は夢を追うものではない。そのため、市場評価は常に第一のステップとなる。元投資アナリストの Chen 氏は、FunNow が海外進出を決定する際の、基本的かつ核心的な計算方法を説明した。まず、ターゲット層は慎重に選ぶ。例えば、FunNow の場合は25歳から35歳だ。この年齢層はスマートフォンを最も頻繁に使うからだ。そして、その年齢層の消費支出から、エンターテインメントの支出を調べる。

適切な市場評価が海外展開の成功の第一歩だ。2つ目のローカライゼーションとともに、海外市場を開拓するための目印となるのが、この2つの要素だ。(Chen 氏)

市場には、言語、消費者行動、特別な嗜好性など、さまざまな特徴がある。それぞれ消費者文化が異なるため、FunNow では新しい市場でいわゆるローンチチームを採用し、地元の人々の嗜好について洞察を得られる現地専門家を雇用している。

現地の人を雇うことは、サービスをローカライズするための素晴らしい入口だ。(Chen 氏)

文化的多様性を重視し、それをビジネス戦略として実現している FunNow は、文化的・言語的背景が全く異なるユーザから信頼と支持を得ている。

マレーシアでは、現地の美容院やレストランが予約サービスに抵抗があることがわかったが、その理由は2つある。1つは、来店しなかったり、遅刻してきたりした客に嫌な思いをさせられたことがあること。また、iPad のようなデジタルツールに不慣れなため、予約サービスに不可欠なデジタルツールの導入に消極的であること、だ。

FunNow は、ローカライゼーションの重要性をこれ以上強調することはできない。そこで FunNow は、現地のビジネス開発チームに、中小企業のオーナーを説得sる、FunNow への参加を呼びかける、などのタスクを割り当てた。最終的に、FunNow はブランド名の露出機会などの特別なベネフィットを提供することで、プラットフォームへの美容院やレストランの参加を増やすことに成功した。また、前払い方式を採用したことで、経営者との信頼関係が生まれ、彼らは客に予約をすっぽかされる懸念を持たないようになった。

日本市場での展開

7月5日〜6日に東京で開催された日台スタートアップサミットで、FunNow は日本の企業、ベンチャーキャピタル、スタートアップと経験を共有した。写真で、CEO Chen 氏は前列右から2人目。
Image credit: FunNow(瘋哪裡)

言葉の壁がなくなったことは、FunNow のユーザ側とクライアント側にとって大きなポイントだ。日本市場は、参入障壁が高い一方で、顧客からの信頼が厚いことで知られている。友好的な二国間関係により、日本企業は一般的に台湾人観光客に対して好意的な見方をしている。FunNow はこれを自社の競争力に役立てた。

我々のプラットフォームを使えば、日本のショップオーナーは、つたない英語でのコミュニケーションの手間を省くことができる。一方、台湾人観光客にとっては、本物の日本のライフスタイルに簡単にアクセスできるようになる。(Chen 氏)

すべての人のための予約プラットフォーム

直前予約ビジネスにおいて、360度のソリューションが待望されている。FunNow は、「Fun Coin」という特典を提供する予約エコシステムを通じて、顧客の囲い込みを図る。エコシステムにはまだ続きがあり、FunNow は大人向けの都市型レジャーから、子供向けの学習型アクティビティまでサービスラインを拡大した。

FunNow は2021年、台湾の子供向け予約プラットフォーム「Niceday(玩体験)」を買収した。Niceday では、子供向けの料理教室や、小さな子供向けのペイントボール講習会、親子レーシングカーキャンプなど、さまざまなアクティビティが提供されている。少子化が進む一方で、親が子どもにかける予算は増えており、キッズラーニング市場は拡大すると予想される。

Chen 氏は、同社が提供する2つの主要サービスについて、言葉遊びを交えながら語った。

子供たちがキャンプで楽しく遊べば、親も楽しみを求めるようになると考えている。

FunNow は流れを変えることができた。パンデミックの中、FunNow は顧客の信頼を得ることで、プラットフォームのトラフィックを増やすことに努めた。マッサージ師には迅速なテストを義務付け、レストランにはテイクアウトのオプションを提供するなど、対策は万全だ。FunNow の迅速な反応とスマートな戦略が功を奏し、2021年の売上高は2019年比200%増となった。

KPMG-HSBCが今年7月に発表した「Emerging Giants in Asia Pacific Report」で、FunNowは台湾のトップ10スタートアップの第4位に選出された。
Image credit: KPMG

不利な条件への迅速な対応、予約エコシステムの構築、ローカライゼーションの効率的な実施など、FunNow は刻々と変化する環境の中で、より強靭になるためのステップを踏んでいる。

予約プラットフォームは勝者総取りのビジネスだ。デジタル化率の低さから、当初は市場からの抵抗を受けていた FunNow のチーム。しかし、時間が経つにつれ、多くの企業が参入してきた。

Chen 氏は楽観的なコメントを残した。

直前予約は参入障壁が高い。しかし、それが我々のビジネスの堀にもなっているのだ。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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