#13 誰もが素を出せるweb3時代のバーチャルワールドYay! 〜ナナメウエ石濵CEO × ACV唐澤・村上〜

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

SNS は、他の人が見ていることが気になり、気軽な投稿ができなくなってしまいました。その結果、ユーザは自ら投稿せず、インフルエンサーが投稿したものを閲覧するという傾向が顕著になりつつあります。Facebook を運営する Meta の株価が一時30%近く下げたのも、こうした現状が一因かもしれません。そんな中で、ナナメウエは Web3 のコンセプトを積極的に取り入れ、従来の SNS が持つ短所を排除した、新しいソーシャルメディアを作り出そうとしています。

今回はナナメウエ CEO の石濵嵩博さんをゲストに迎え、石濱さんの考える web3 が実装された数年後の世界、ナナメウエのサービス「Yay!」が実現したい世界などについて、お話を伺いました。話のお相手は、アクセンチュアの ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクターの唐澤鵬翔さん、Accenture Song シニア・マネジャー 村上仁(ひとし)さんです。(ポッドキャストの一部をテキストにしてお届けしています。)

ポッドキャストで語られたこと

  • ナナメウエがやっていること
  • ナナメウエが考える〝メタバース〟とは
  • 「Yay!」誕生までの軌跡

石濵:ナナメウエという会社をやっております、代表の石濵と申します。よろしくお願いします。ナナメウエは、今10期目の会社になっていて、大体メンバーとして100人ぐらいいますが、そのうち40人日本で、60人海外にいるような感じの会社です。子会社がタイにあり、社内公用語は英語で、7割ぐらいが外国人のメンバーで構成されています。

唐澤:日本の中でですか?

石濵:そうです。日本は6割〜7割くらいが外国人です。今主力としているのが Yay! というSNSサービスでして、これは誰もが素が出せるバーチャルワールドといったものです。機能としては、Twitter と Discord のいいとこどりという感じで、タイムライン機能や、趣味・趣向で集まるコミュニティ機能、グループ通話などの機能があり最大18人でお喋りができるようになっていて、リリースが2020年の1月頃だったのですが、2年半が経ち、540万以上の方に使っていただいてます。

最近、Lobi という大きなゲーム系コミュニティの事業を譲受を進めています。これによって国内最大の匿名系サービスになるというのが今の Yay! の状況です。

Yay!をどういうコンセプトで進めているかを一言で表すと、ソーシャルの民主化。どういうことかと言うと、例えば Facebook などに、僕がグアム旅行の写真を載せられるかというと、ちょっと載せづらいんですね。VC に見られたりしないかと。(笑)

唐澤:遊んでるように見えてしまう(笑)。

石濵:そう、仕事をやってないように思われる。また、たとえば、インスタに田んぼの写真などは載せられないじゃないですか。インスタ映えしないといけない、という感じがして。こうなってくるとなかなか本心で自由に投稿することが、今のSNSではしづらくなっていて、僕たちはこのことを「メディア化している」と表現しているんです。

こうした従来のSNSメディアでは面白いコンテンツを見る分には良かったり、インフルエンサーやオピニオンリーダーの投稿を見るのも別にいいのですが、SNSって本来それだけだっけ?という疑問があって。

僕たちは、SNS の価値はやはり承認だと思っています。自分のオピニオンを投稿した時に、それに対してコメントやいいねが来る。承認というか共感、そういったものがやはりコアになるのがSNSの良さではないかと。そこに焦点を当てたサービス、つまりそのサービスの中に階層構造を作らず、アンチインフルエンサーを含め本来であれば見るだけだった人たちが主役になれるソーシャルとしてYay!を作ったのがきっかけです。僕たちとしてもそういうのをやりたかったし、領域としてそこをやっているサービスがあまりなかったので、僕たちが先行して立ち上げられたというのが大きかったです。

今後 Web3 化に際して、冒頭でソーシャルの民主化を僕たちはやりたいという話をしましたが、金融の民主化がクリプトだと思っています。金融市場でのクリプトの立ち位置としては、既に130兆円近い流動性があり、日本の株式総額の5分の1近くにきている。たった4年でここまで到達している中、僕たちのサービスとどう組み合わせられるかなど色々考えました。元々僕たちは SNS をやっていて、フラットな構造でみんなが素が出せるというコンセプトで、運営がコミュニケーションにあまり介入すべきではないという理念がある一方で、全く介入しないで野放しにすると、悪い、ひどい投稿をしてしまう人もいる。

こうした現実的な問題に直面する中でに、どうしたらユーザーに正しい自律性を持ってもらえるか思考した中で出てきたのが、トークンのインセンティブでした。要は僕たちが目指してる姿と、ユーザーのインセンティブを一致させることで、僕たちにとって損害のある行為をユーザーがするとユーザ自身が損失をくらう。資産が毀損されてしまう、という考えです。互いの利害を一致させることができたら、僕たち(運営が)が、個々のコミュニケーションやユーザーの表現に対して介入をしなくてもよくなる。そのように考えていた時に、これこそトークンだ、と思いました。

ちょうど金融の民主化の動きがあり、テーマとして近いと思い、そこを合わせて進めることにしました。僕たちは、デジタル空間の自分の居場所、民主化された自分の居場所と、金融のクリプトが混ざり合ったデジタル空間の世界をメタバースと呼んでいるんです。メタバースというと、アバターとか VR とか NFT が重要という人もいますが、僕たちの考えではそれらはあくまで手段。1番重要なのは、そこにいるコミュニティ。リアルな自分ではないデジタルのアイデンティがそこにあり、リアルと切り離されたコミュニティを日々使う人がどれくらいいるかでメタバースの価値が決まると考えています。本当の意味でのメタバースってこうだよねっということを提起し、世の中に示している段階です。

唐澤:メタバースの話は、まさしくおっしゃるとおりで、共感です。私も結構メタバースの議論をお客様としていますが、おっしゃるように結構捉え方に誤解があり、手段が先に来てしまいがち。空間作ってアバター作っても、誰も来なくては意味がありません。空間もさることなから、そこにコミュニティができ、更には金融だったり法律だったり、コントラククトだったり、そうした下支えの仕組みが全部揃ってようやくという気がします。石濵さんの目線で改めて、メタバースとは何か、たとえば10年後にどのようなものを目指すべき、と思われますか?

石濵:さきほど、デジタル空間のアイデンティティの話をしました。例えば、Facebook で気まずくなるという話がありましたが、それはリアルな僕が紐づいていて、僕がなにか発信すると「石濵あんなこと言っているよ」となったり、僕たちの会社の投資家が僕のことを見て「遊んでるねぇ」と思ったりするかもしれない。だからこそ匿名。それこそ手段としてアバターのようなものを用いた別の自分が存在しうると思ってます。

人によるんですよね。たとえばインスタグラマーなど、容姿に自信があってその発信を楽しんでいるのであれば Instagram が自分の居場所であって、デジタル空間のアイデンティティを必要としないかもしれません。成功している起業家で、Facebookで快適なコメントをたくさん受けたり発信できているような人もデジタルに自分のアイデンティティを移す必要は無いかもですよね。

唐澤:むしろそのままでいいですよね。

石濵:そうですね、一方で、デジタル空間でこそ本来のアイデンティティを出せる人もいる。ここであれば男性でも女性になれるとか、自分の好きな発言ができるとか、自分の趣味嗜好について話せるといったように。僕たちもソーシャルでこのニーズに応える場を作っている感じです。

そして、こうしたデジタル上のアイデンティティがどんどん大きくなっていく予感もあります。リアルな自分とバーチャルな自分の両方を両立しながら持っていくっていうところがメタバースにとってすごく重要なポイントだと思っています。

メタバースの中で、デジタル空間のアイデンティティが宿るその場所でお金を運用したり、お金を使う流れができるのではないかと。企業がみんなメタバースに関心を持ち、バズワード化している中、暗号資産全体の最大のユーティリティがメタバースであり、それを取れたらめちゃくちゃでかいですよね。だからこそ、ここを取りたいと思っています。

今はいわゆるユーティリティが全然ない。言うなれば、NFT の jpg 買って喜んでいるぐらいの黎明期です。ここからお金の使い先がどんどん増えていくと思っています。日本人にとって有利だと思うのは、これから金融リテラシーが上がると同時に、日本円の危うさのようなものが広まった際に、代替手段として Ethereum などを持ち、かつ、Ethereum を稼ぐためのサービスを真剣に作っていこうという動きがありうるという点です。

村上:考え方が面白いですね。すごい尖ってる。教科書的ではないモノの見方といいますか、普通トークン使うのならファントークンを配って、と考えるところを、着想から違う。そもそもブロックチェーンとかビットコインのマイニングは、そもそも悪い人のインセンティブを逆転の発想で使ったところから生まれている。

総当たり攻撃という行為を、あえてマイニングという報酬に置き換えることで、セキュリティを担保するという。同じように、それをソーシャルの世界でやろうとすると、さきほどのようなパトロール的な発想といいますか、インセンティブをうまく、良い方向に変えていけるという。まさに逆転の発想ですね。

石濵:とはいえマーケットの中でチャンスを考え実践する中、失敗もあります。僕たちはソーシャルをやろうというのが前提としてあり、8年ほど SNS をやっています。

結局、人生は周りにいる人で決まるというのがベースとしてある。その当時から、本当に人の幸福度を上げるものは何か、人生の質は周りにいる人だという考えがありました。だから、そこを科学できるようなサービスをしようとSNSを軸に8年やってきた。動画系サービスをしたり、学生系サービスをしたり、様々な試行錯誤の末 Yay! にたどり着いた。

Yay! にたどり着いたのも、マーケットの中で既に解決されてる問題とされてない問題がある中、リアルの友達同士のミュニケーションツールは、LINE や Facebook、あるいは Twitter や Instagram でもうよいと思っており、僕たちは、今はまだ友達にもなっていないけれども、そこでベストマッチングが作れるようなサービスがニーズとしてあるし、課題感としても非常に大きいと感じ、そこを深掘りしていった。だから最初からソーシャルの民主化だ!という感じでは無く、2〜3年くらい前に、ここはマーケットとして湧いているし、いけると感じて始めたのが実体です。

村上:それが2年間で500万ユーザー(編注:最新発表では540万人)というのは本当にすごい。

唐澤:人はその周りの人によって決まるっという信念を貫いている。信念がブレない中で、リレーションやソーシャルについては、すでに様々なサービスがあり、普通の人だと「今から参入できるかな」となるところも踏ん張り続けてきた。だからこその今ですよね。

次回へ続く)

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