半径2kmを定額乗り放題にしたワケーー移動を変える「mobi」とその課題

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

運輸事業を手掛けるWILLERとKDDIは2022年1月に合弁会社となる「Community Mobility」を設立し、その事業を4月から開始しています。定額乗り放題サービス「mobi(モビ)」は、半径2kmを目安としたエリア内であれば、月額(30日間)5,000円で何度でも乗車することができます。

アプリや電話で配車することができ、例えば家族3人で利用する場合は1人目の料金5,000円に追加で1人あたり500円、合計6,000円を支払えば利用することができます。9月時点での利用エリアは東京都豊島区、愛知県名古屋市千種区、大阪府大阪市北区・福島区、京都府京丹後市、三重県明和町で、今後、全国に順次展開する計画です。

定額乗り放題サービス「mobi」

本稿ではCommunity Mobility代表取締役副社長の松浦年晃さんと、取締役の菊池美緒さんのお二人にサービス立ち上げの背景および、今後の展開計画などについてお聞きしました。

まず「生活の足」を提供するに至った、課題認識の部分を教えていただけますか?特にここ数年は地方や地域における移動の問題がクローズアップされるケースが増えています

松浦:地域というところもあるのですが、特にロケーションに限った話ではなく、社会課題の1つである免許返納などについても、かなり課題感を持っています。

実は自分の親も札幌に住んでいて高齢なんです。札幌はまだ交通の便が豊かな方だと認識していますが、先ほど申し上げたように、札幌市内でもやはり免許を返納して困っている方々がいらっしゃします。こういった課題に対して地域コミュニティの足になるようエリア拡大を含めて考えているという状況です。

これまでの「生活の足」については地域において様々な実証実験が実施されていました。ただ、実験の域をなかなか超えないという課題もあったように思います

菊池:そこがポイントのひとつでもあります。自治体や行政の方にも、期間限定でサービスが終わってしまう点については課題として認識されています。例えば、これまで自転車を利用している人がmobiを使って帰るようにするとか、2台目のマイカーを手放してmobiに変えるといったライフスタイルに関わる思い切った変更は、やはり継続性が見えないと、なかなか踏み切れません。

そのためには、継続的に利用料という対価をいただいて求めていただけるようサービスとしてしっかり生活に根付けられるかというところが重要なポイントだと思っています。

生活の移動というインフラを扱う上で、行政との連携も大切と考えますがいかがでしょうか

菊池:それぞれの地域・行政単位で交通計画をしっかり立てられていますので、そこにいかにフィットした形で提案できるかがポイントだとは思っています。

社会課題やニーズ、既存交通のネットワークなど、地域によって環境はさまざまです。その中でオンデマンド交通であるmobiがどういう役割を果たすことができるのか、地域住民、自治体、地元事業者の皆さまと共に、しっかりとお話をしていきたいと考えてます。

サービスを定額制にされました。このメリットや狙いを改めて教えてください

松浦:mobiは最初からサブスク定額の5000円という形でやっているのですが、非常に分かり易いと思います。今後はお客様の声を聞きながら、利用し易いサービスを作って行きたいと考えています。

ところで5000円ってどのように感じるでしょうか。運転手付きの自分の思い通りに動く車両が乗り放題で月々5,000円です。家族は追加500円で利用できるので、3人家族であれば1人あたり2,000円で半径2kmのところを自由に乗り降りできる。そう考えると、すごく面白いものを提供できるんじゃないかなと思っています。

例えば、働くお母さんのご利用も多くなっています。生活圏内における買い物、お子さんの保育園への送迎にmobiを利用して、そのまま会社にも行けるんです。これらをサブスクというサービスの中で本当に価値あるものだと感じてもらえるのではないかと考えています。

移動サービスにはテクノロジーの活用が不可欠ですが、mobiはどういった面を重要視していますか

松浦:やはりマッチングのテクノロジーが重要なものとなってきます。車両台数が増えたり、お客様の数が増えたり、刻一刻と変化する道路状況を掛け合わせてAIがルート情報を算出します。どんどんデータが蓄積されることでAIが賢くなっていくのですが、そこにさらにKDDIが持っている人流データをうまく掛け合わせることで更なる高度化が可能と考えています。

例えば、mobiのエリアを検討する際には、ここのエリアでのサービス提供が良いのではと思っていたけど、KDDIの人流データを詳細に見てみると人はあまり動いてないよね、とか、データを見てもうちょっとこっち側にずらしてみるといいよね、といったことです。

菊池:これまでの都市計画によってできた大きな人の流れに対して、半径2kmのラストマイルという個人の移動に対応したオンデマンドのサービスができることによって、人の移動全体が変わったといった変化が長期的に見えてくるのではないかと考えています。

最後に近い将来像について教えてください。向こう数年後のビジョンがあれば聞かせていただければ

松浦:3年後、5年後といったビジョンを語るには早いかなと思っています。今はエリアの話だったり、データを集めたり、本当にこの料金プランでいいの?といった課題をお客様の声を聞きながらそれぞれ地域のニーズにあったサービスになるようみなさんと一緒に作り込んでいるような状況です。中・長期的なビジョンや想いはありますけども、まずはひとつひとつ丁寧に作り上げていくことが優先課題です。

菊池:海外ではさまざまな移動サービスが日常生活に取り入れられています。しかし日本はまだスタートしたばかりという段階にあり、生活にしっかり取り入れていただけるようなサービスの土台づくりの段階にあると考えています。

ありがとうございました!

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