バッテリ製造のルーツが強み、中国でEV販売台数トップに君臨する老舗BYD(比亜迪)の世界戦略

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Image credit:BYD(比亜迪)

BYD(比亜迪)は中国市場で自動車販売台数トップを走る1995年創業の大手メーカーだ(ちなみに、世界市場では Tesla についでシェア2位)。二次電池産業から自動車産業に参入した歴史を持つ同社は、2008年に世界初となる量産型プラグインハイブリットカー「F3 DM」の販売を行い、その後続いた後継機も合わせて人気の車種となっている。

中国自動車産業の今後の発展の余地、最先端技術導入、さらなる競争の促進を目的に北京では2018年以降、外資企業の市場参入の制限が撤廃されたことを受けて、BYD はトヨタと2020年に出資額折半の合同会社を設立した。この合弁会社では、EV に関連する技術開発を BYD がサポートし、トヨタブランドの EV を中国市場に投入することを目指している。

さらに BYD は国内販売に留まらず、海外にも市場開拓の機会を探している。ブラジルの配車サービス「99」に対して、BYD が製造する EV を使用する試験を開始する予定だ。2022年末までに300台以上を導入する。99は中国の配車サービス大手 Didi(滴滴)の子会社であるため、2020年に発表された DiDiと BYD の共同開発による配車サービス専用のEVが投入される可能性がある。

冒頭にも書いたように、BYD はバッテリメーカーである。世界の EV 用バッテリは中国メーカーに依存しており、BYD  のバッテリメーカーとしてのポジションはトップの CATL(寧徳時代新能源科技)に次いで2位だ。CATL は全方位型営業で Tesla を含む中国国内外の EV メーカーにバッテリを供給しているが、まもなく BYD も Tesla にバッテリ供給を開始することが明らかになっている。

BYD はリン酸鉄リチウムイオン電池に強く、CATL は三元系リチウムイオン電池に強いという違いがある。リン酸鉄リチウムイオン電池は安全性が高く、三元系リチウムイオン電池は航続距離が長いという特徴があるが、技術進化でリン酸鉄リチウムイオン電池も航続距離を伸ばしていることから、Tesla なども BYD のバッテリ(リン酸鉄リチウムイオン電池)の採用に動いたとみられる。

今年7月、BYD は日本市場に進出を発表した。2025年までに販売店舗を日本国内で100店舗規模にまで拡大する計画だ。日本のガソリン車領域では国内メーカーがほぼ市場を独占し、高級イメージを醸したヨーロッパ系のメーカー以外に参入する余地は残されていないが、EV はこれから新たに構築される市場だ。自動車メーカーの世界地図の塗り変えは、ここ日本にも波及するかもしれない。

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