Web問合せからテレアポを自動ブッキング、商談化率向上の「immedio」が正式ローンチ——1.5億円をシード調達

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左から:寺田親弘氏(Sansan 代表取締役)、南場智子氏(デライト・ベンチャーズ マネージングパートナー)、浜田英揮氏(immedio 創業者)、倉林陽氏(DNX Ventures マネージングパートナー)
Image credit: immedio

新型コロナウイルスの感染拡大で、業務のデジタル化は5年分進んだと言われる。ビジネスエリアの地域密度が高い日本では、営業は客先に顔を出すことが前提とされてきたが、感染拡大が後を推す形でインサイドセールスの普及も加速した。しかし、インサイドセールスにも課題がある。インサイドセールスの場合、電話(オンラインの場合もあるが)をかけてそのまま営業活動をするため、通電率(電話をかけて担当者につながる率)=アポ率と見なすことはできるが、この通電率が一般的に2〜3割程度なのだという。

immedio を創業した浜田英揮氏は、三井物産に10年勤務したのち、bitFlyer のアメリカ拠点責任者、Sansan で「Bill One」のマネジメントなどを担当してきた人物だ。彼は長年のマーケティングや営業経験から、セールスエネーブルメントなどのツールは発達してきたものの、企業は新しいサービスを出しても時が経つにつれアーリーアダプタを取り尽くし、規模が大きくなるほど顧客獲得コストが高くなり、一方で、インサイドセールスの部署は人の出入りが激しいため、ノウハウの蓄積が難しくなっている、と考えている。

営業効率を上げるには、セールスエネーブルメントだけでは難しく、インサイドセールスにおけるコネクト率(通電率)を上げることを考えた。(浜田氏)

Web サイトに問い合わせが来て、5分以内に電話などでレスポンスを返すことができると商談化率は8倍になることがわかっている。しかし、それを実践できている会社は5〜10%程度。なぜなら、企業においては新規流入リード以外に既存リードが数多くあるため、営業担当者は新規流入のリードはすぐにはさばけない、というのが実情のようだ。こうした問題を解決すべく、浜田氏は、企業が問い合わせページにコードを1行挿入するだけで、サイト訪問客にアポのブッキングしてもらえるサービス「immedio」を作った。

Image credit: Immedio

SpirCalendly のような日程自動調整ツールとの違いは、サイト訪問客が問い合わせページで回答した情報を元に、アポのブッキングをしてもらえる点だ。条件は immedio を使う企業側で制御できるが、例えば、商品購入に繋がらなさそうな一般的な問い合わせにはアポの選択肢を表示しない(メールなどで回答を想定)、フリーメールからなど確度が低いと想定される問い合わせには優先度を下げてアポの選択肢を表示、エンタープライズからの問い合わせには特定の担当者と日程調整する、といった芸当が可能だ。

immedio では今年3月から複数の PoC を実施、その中で、ある SaaS 大手の見積依頼フォームからの商談化率は6割から8割へ向上、また、歯科領域の事業会社では、診療時間外(夜間・休日)に問い合わせてくる歯科医からの問い合わせへの即時オファーにより、自動獲得した商談の7割が受注に至ったという。浜田氏は、「自動獲得した商談は質が悪いと見られがちだが、受注率が上がっている事例を見れば、決してそうとは限らないことは明らか」と自信を隠さない。

昨年10月、デライト・ベンチャーズがベンチャービルダーを DeNA 以外の起業家にも門戸を開いたことをお伝えしたが、immedio はその第一号案件だ。immedio は14日、シードラウンドで、DNX Ventures、デライト・ベンチャーズ、Sansan(東証:4443)、浜田氏の古巣である三井物産出身者有志らが出資する元物産会ファンド(合同会社 MBKF による運営)らから約1.5億円を調達したことを明らかにした。

海外ではこの分野には Chili Piper などが存在する。Chili Piper は昨年4月、Tiger Global がリードしたシリーズ B ラウンドで3,300万米ドルを調達した。

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