#22 DAO運営の魅力と課題 〜Shugo & Kohei × ACV唐澤・村上〜

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

今回はサンフランシスコを拠点に Web3 スタートアップを創業された若手日本人起業家のお二人がゲストです。

永田公平さんは、Intex CoopというDeFiインデックスファンドのDAOで日本チームのリードを担当され、現在はDAO向けの報酬設計ツールを作りながら、Web3コミュニティ「和組」の運営や、「This Week In DAOs」というメディアを運営されています。辻周悟さんは、ブロックチェーン上の活動をベースに独自のメタバースを構築できる Web3プロジェクト「Phi」を立ち上げられました。

後半では、永田さんが考えるDAOの現状や将来像などについてお話を伺います。

ポッドキャストで語られたこと

  • 永田氏がDAOを好む理由、DAO報酬設計ツールを開発する理由
  • DAO 関連の事業を始めた起業家たちも、実はDAOの可能性をまだわかっていない
  • 大企業×DAOの可能性、DAOの向き不向き

前回からの続き)

村上:ただ「流行ってる」「バズってる」だけではなくて、「人との繋がりを潤滑にしたい」みたいな話が出ましたが、そういったところが2人(永田氏と辻氏)共にあるのかと思っています。永田さんが運営されている DAO to DAO みたいなプロジェクトの発想もそうだと思うんですが、やりたい世界観とか、どうコラボレーションしていていこうと考えておられますか?

永田:世界観ですか。あまり無いですね(笑。僕が DAO 向けにツールを作っているのは純粋に僕は DAO が好きだからというのがありますが、もっと根本的なことを言えば、世界中で使われるプロダクトを作ってみたいということからです。その思いをもって、最初サンフランシスコに来て、そのHOW(実現方法)がWeb2からWeb3的なプロダクトになって、Web3の中でDAOが一番好きなので、DAOのツールを作っています。

村上:お聞きたいことが2つあります。僕も結構実は DAO が好きな方で、世界で使われるプロダクトを作りたいというモチベーションは僕も持っているんです、Scalar(関連記事)に最初誘われたときにCTOが言っていたのが、「日本は技術的にはすごい地道に良いことやっているけれど、日本から出てくるソフトウェアで世界で戦えるものがあまり無くて、ハードウェアだったら自動車などいっぱいありますけど、それが結構悔しいんだよね」と言っていました。「世界で戦えるものを作りたい」と聞いて、僕は結構共感して一緒にやりたい、となりました。永田さんもそう考えるようになったきっかけが、何かあったのでしょうか?

永田:17歳のときに初めてシンガポールに行って、オーチャードロードで、大きなオフィスを構えて、日本人が従業員1人もいない中で、マレー人やシンガポール人の中で、事業をやっている日本人の起業家に会えた時に、「かっこいいな」と思って、それが一番のきっかけかもしれないですね。

それで世界で事業を作るのはかっこいいな、起業家かっこいいな、みたいな想いが生まれました。でも、その時は僕はアジアにいたんで、東南アジア全体で使われるのが世界だったんですよ。以前、マレーシアで会社をやっていたんですけど、全然うまくいかなかったんです。

その後サンフランシスコに移ったら、ベイエリアスタートアップみたいな、本当に世界中で使われるプロダクトを作るためにアメリカからスタートする人たちが周りにたくさんいて、「世界って、本当に世界なんだ」「じゃあ、僕もそこを目指そう」と思うようになりました。サンフランシスコに3年前に移ったんですが、そこから真剣に世界中で使われるサービスを作りたいな思うようになりました。

村上:なるほど。そういうきっかけでそのコミュニティに入ってみたら、気がついたら進んでいくみたいな不思議な力がありますよね。縁とかも含めて。では、なぜDAOが好きなんですか?Index DAOでは結構ゴタゴタあって、痛い目にも遭っているのではないですか?

永田:本当にいろいろあって、政治的な戦争みたいなものもたくさん起こって、それを僕が他の人のポッドキャストに出て、ずっと愚痴る時期もあったんです。でもDAOのスペースで、「DAOはめちゃくちゃすごい」という時と「本当に価値無いんじゃないか」と思う時があって、この上がり下がりをずっと繰り返しているんです。

なぜ DAO が好きなのかというと、やはりインターネットネイティブな組織であり、その国や特定の場所に囚われないという点ですね。東南アジアにずっと強い思い入れがあって、Index Coop とか他のDAOで働いてる時に、米国外から参加して、自分の才能を生かして稼いでる人がたくさんいるのがすごい面白いと思いました。

自分がそこからどんどん深みにはまっていくなかで、自分の中の Tipping Point だったのが、MakerDAO のマーケティング責任者のダリアという方と話したときに、「採用する時に学歴とか、どこの会社で働いたとかは一切見ない。私はその人がディスカッションフォーラムで何をコメントしていて、Discordでどんな活動しているか、あとはMakerDAOのオンチェーン上でどのVoteしてるかしか見ない」というのを聞いて、すごく実力主義だなと思いました。

働いてるときも顔を見せる必要無いし、僕の昔の会社の上司的な存在の方は「レモネード」という名前で別の同僚は「土根(ジャガイモ)」という名前でした。彼らのプロフィールとかを全然知らないけれど、実力でちゃんと評価されて、どの場所で生まれたとしても、経済的に平等機会を得られるという考えがすごく好きになりました。それがDAOにハマった一番のきっかけですね。

ただそこからもっとDAOについて調べていくと、DAOの雇用機会にちょっと違和感を感じ始めて、今DAOが好きな理由がそれがメインかと聞かれると答えるのが難しいんですが、分からないけれど、なんかすごい好きなんですよね、ずっと調べてられていられるし、議論できます。

でも一つDAOの面白いところは、その正体がまだ誰もわかってないというところなんですよね。僕が覚えてるのが、去年の10月にNFT New Yorkに行って、それが僕が参加した初めてのクリプトのカンファレンスだったんですけれど、DAOツールの創業者たちが参加者に結構いたんです。

そこで「DAOについてどう思う?」「DAOって、何だと思う?」「DAOのキラーユースケースって何だと思う?」とか結構話を聞いてみたんですけど、本当に皆、自分独自の回答を一切持ってなかったんですよ。結構回答が薄っぺらくて。そのTwitterで調べたら出てくるような、一般的な回答しか返ってこなくて、フォローアップで質問したら止まってしまうし。

実際DAOツール作ってる人たちでさえも、DAOについて分かっていないのは結構面白く思いました。実際今もDAO界隈の中では、いろいろな派閥があります。どれが合ってるかも分からないし、全部間違ってる可能性もあります。でもこの全く価値が無いかもしれないし、めちゃくちゃ価値があるけれども誰もそれに気づけてないだけかもしれない、みたいなものがすごく楽しいなと思っています。それを掘り続けて探すのは結構楽しいですね。

唐澤:よく僕らは大企業から「何がDAOに向いてるんですか」「DAOって、どうやったらうまく回せるんですか」という質問をよくもらうんですよね。でも今の話を聞くと、「それはもう皆さんで見つけてください」というか、逆に言えば、何とでもなるっていう感じなんでしょうか? 大企業×DAOの可能性はあると思いますか?

永田:いや、僕は全然イメージがつかないですね。DAOは、向いている/向いていないが相当あると思っています。僕の考えでは、プロトコルベースでパブリックグッズに近いようなものを、コミュニティ全体で管理するためのメカニズムがDAOというのが一番しっくりくるユースケースです。

例えば利益を最大化するために効率化を求めてシーズン制でリーダーを作ろうとか、もっと権力をメンバーに付与しよう、みたいなものにはちょっと違和感を感じるんですよ。別にそれって、DAOじゃなくてもいいんじゃないかと思います。むしろ、DAOの強みって効率性より回復力というか、パワーが一点に集中してなくてコミュニティ全体に分散化されていることが大事で、それが必要なものが例えばパブリックグッズなのだと思います。

唐澤:なるほど、さっきの問いも大企業がということではなくて、公共財みたいなものが対象であれば、それは一つの企業で管理するものじゃないので、DAOの分散型の意思決定はワークするだろうし、そうではなく、特定のエンティティがオンしてる対象に対してオペレーションを回すのであれば、C-Corp(株式会社)で中央集権的にやった方がいいということですね。

永田:そうなんですよ。普通のスタートアップはC-CorpもしくはDAOじゃなくても、勝手に中央集権でやったらいいんですよ。DAOにする必要ないんじゃないかなと思います。

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