AWSがコミュニティスペース再始動へ、公共・ディープテック・地域の分野でスタートアップ支援も拡充

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記者会見の冒頭で挨拶をする AWS Japan 代表執行役員社長の長崎忠雄氏
Image credit: Masaru Ikeda

E コマース大手 Amazon Japan と、クラウド大手 Amazon Web Services Japan(AWS Japan)は、約3年前に目黒駅前にデベロッパ向けコミュニティスペース「AWS Startup Loft Tokyo」を開設した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、この施設は2020年3月から閉鎖されていたが、感染拡大の沈静化に伴い、11月1日(午前10時)から再開されることが明らかになった。AWS Startup Loft Tokyo は、閉鎖される前までの1年半で数万人に利用されてきた。

再開に先立って27日に開かれた記者会見では、AWS Startup Loft Tokyo で新たに追加されるサービスについても紹介された。これまでコワーキングスペース、AWS エキスパートへの技術相談、イベント開催を基本的な機能としてきたが、これに加えて、リアルイベントのストリーミング配信、ベンチャーキャピタリストによるメンタリング、元 CTO の AWS ソリューションアーキテクトによる非技術面での相談や壁打ち、Web3 に関する技術勉強会やワークショップなども提供する。

AWS Startup Loft Tokyo の再開を発表する AWS Japan スタートアップ事業開発部本部長の畑浩史氏
Image credit: Masaru Ikeda

なお、AWS では今年5月から、新たに公共分野の課題解決に取り組むスタートアップ支援プログラム「AWS Startup Ramp」を展開している。このプログラムでは、行政、スマートシティ、シビックテック、ヘルスケア、サステナビリティ、防災、農業、宇宙など、公共分野で革新的ソリューションを開発する創業10年未満のスタートアップに対し、実証実験への AWS 無料利用クレジットの提供、公共に特化したトレーニング、自治体とのコミュニティ形成、公共分野の顧客へのリーチなどで支援を提供している。

今後、AWS Startup Ramp では、公共を軸にディープテックや地域にも支援を広げ、政府調達や SBIR 制度活用によるスタートアップの成長を加速する。具体的には、経済産業省 新規事業創造推進室長の石井芳明氏らを講師として招き、SBIR や公共調達の活用、政府や自治体との関わり方に関する勉強会やセミナーを開催する予定だ。SBIR は、政府が中小企業の研究技術開発や成果の事業化を一貫して支援する制度だ。岸田政権のスタートアップ支援の一環として、SBIR はスタートアップ向けに大幅に拡充された。

「今、スタートアップ支援に求められること」と題したパネルディスカッション。左から:AWS Japan スタートアップ事業開発部本部長の畑浩史氏、経済産業省 新規事業創造推進室 室長補佐の岡本英樹氏、インキュベイトファンド代表パートナーの村田祐介氏、TURING 共同創業者兼 CEO の山本一成氏
Image credit: Masaru Ikeda

記者会見の終盤には、経済産業省 新規事業創造推進室 室長補佐の岡本英樹氏、インキュベイトファンド代表パートナーの村田祐介氏、TURING 共同創業者兼 CEO の山本一成氏を招いて、「今、スタートアップ支援に求められること」と題したパネルディスカッションが持たれた。モデレータは、AWS Japan スタートアップ事業開発部本部長の畑浩史氏が務めた。畑氏は、アメリカで AWS がスタートアップを政府に紹介する活動が頻繁に実施されており、日本でも同様の動きを活発化していきたいと述べた。

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