アフリカのインフラ改善をトラック輸送から解決する「Lori System」(3)

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Image credit:Lori System

Lori Systemは2017年創業のトラック輸送のためのデジタルロジスティクスを提供するケニアのスタートアップだ。2017年のTechCrunch Startup Battlefield Africaでの優勝を皮切りに数々の賞を獲得しており、今年3月にはFinancial Timesが発表したアフリカで最も成長している企業ランキングで7位に選出されるほど勢いのあるスタートアップだ。

同社はアフリカ全体の貨物輸送を改善するための物流プラットフォームを提供している。荷送人と運送業者を適切に繋げ、荷送人は貨物をリアルタイム管理できるようになり、運送業者はトラック運送における見えない無駄を削減するために情報に基づいた意思決定を行えるようになる。また請求、決済などの会計サポートも行うため、シームレスな運送業務を実現する。

同社のミッションは商品のコストを下げることだ。同社ブログの中で述べられている通り、アフリカでは運送費に年間1,800億ドルが支払われている。物流によって製品価格の75%のコストがかかっており、米国の6%と比較すると破格の割合だ。Business Insiderの取材の中で同社の共同設立者兼CPOであるJean-Claude Homawoo氏が「貨物所有者の価格を最大 20%引き下げ、輸送業者のトラック利用をほぼ2倍に増加した」と答えていることから、同社は設立5年でロジスティクスの透明性の実現を通じてコストを大幅に改善することに成功している。

今年8月にはGoogle が他の既存の投資家とともに参加したプレシリーズ B ラウンドを調達した。この投資はGoogleのCEOであるSundar Pichai氏が昨年10月に発表したアフリカ大陸のスタートアップを対象とした5,000万ドルのアフリカ投資基金から行われた。

直接的な競合にはGoldman Sachsが資本を入れたナイジェリアの貨物物流スタートアップKobo360がいる。TechCrunchによると、2019年にKobo360がケニアに進出、2018年にLori Systemsがナイジェリアに進出したことで市場争いが勃発している。

2021年1月1日に運用開始されたアフリカ大陸自由貿易地域 (AfCFTA) でアフリカ内の貿易に関する協定が結ばれた。THE WORLD BANKによると、アフリカでは貿易が81%増加し、219億ドルの取引になることが予想されており、アフリカ全土にとって今後同社はこの成長の機会を掴むための鍵となるかもしれない。

次:ナイジェリアでB2B向け消費財流通のワンストップソリューション展開「Omnibiz」(4)

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