自販機にはできない、AIカフェロボット「root C」の価値創造/完全無人化ビジネス(2)

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Image credit:New Innovations

前回からのつづき)日本で注目の無人化事業に取り組むのは2018年創業、非接触なAIカフェロボット「root C」を開発するNew Innovationsだ。創業5年目を迎えたにも関わらず、代表の中尾渓人氏はまだ23歳と若い。14歳で「RoboCup Junior」世界大会にて入賞、15歳でシステム開発事業を始め、智辯和歌山高校在学中の2018年にNew Innovationsを設立した経緯がある。

同社が開発するroot Cは注文されたコーヒーの提供を無人化するだけでなく、AIを用いてコーヒーをユーザーに提案する点が特徴だ。パーソナル診断「root C MATCH」を用いて、初回はコーヒーやライフスタイルに関する簡単な質問をし、サービス提供後に表示される質問に回答すると好みを学習、次回以降のレコメンドに反映される。

これまで2019年に南海電気鉄道2020年に三菱地所と実証実験を実施し、通勤通学者、ショッピング利用者、オフィスワーカーの消費者行動をデータ取得し、AIとハードウェア改善を重ねた。ユーザーからのアンケート調査では、約半数のユーザーが2回以上利用したという結果を得たことからサービス需要は大きそうだ。

これらを踏まえて1月に南海なんば駅直下の都市型複合施設「なんばスカイオ」2022年9月にオープンしたコンパクトオフィスビル「CIRCLES西新宿」、9月に東急線日吉駅などの設置、営業が始まった。過去のBRIDGEで実施したインタビューでは、自動販売機のような無機質な存在ではなく、生活、仕事の基盤となる場所で新たな付加価値とテナントへの好影響をもたらすことを期待されての設置となっていると答えてくれた。単なる無人化ではなく、人のスタイルに適応して溶け込むことで、さらに価値を発揮する好例と言えるだろう。

<参考記事>

次:無人化で韓国クリーニング市場の総取り狙う「LifeGoesOn」/完全無人化ビジネス(3)

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