#24 インフルエンサーマーケティングで売れ続ける世界観への挑戦~ゼロスタ赤谷 × ACV飯澤~

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

企業における「営業」という活動は、英語でしばしば「Sales & Marketing」と訳されます。企業によっては、セールスとマーケティングで部署が分かれていることもありますが、セールスとマーケティングが企業活動の両輪であることは間違いないでしょう。

セールスとマーケティングのサイクルを自動化できれば、売れ続ける仕組み作りにつながります。マーケティングだけで終わらないインフルエンサーマーケティングの時代が、もうやってきているようです。前回に引き続き、ゼロスタの赤谷翔太郎さんにお話を伺いました。

ポッドキャストで語られたこと

  • 顧客の中心にいるインフルエンサーと共に事業開発・プロモーションを行うトライブマーケティングを実施する企業は増えていく
  • インフルエンサーが自身のセレクトショップを開設して商品を販売できるようにし、インフルエンサーを起用してマーケティングを実施する企業が、投資対効果(ROI)を分析できるようなプラットフォームを作っていきたい

前回からの続き)

赤谷:これからは、よりインフルエンサーとのコラボモデルや、インフルエンサーの意見を汲んだ商品や物作りが時代と共に流れてくると思うんです。ですので、そこに一歩先に取り組めているいうのは、先行者優位かなと思っています。

飯澤:確かにマスメディアに露出しているインフルエンサーが全てではなく、そのほかにもソーシャルメディアで活躍している人はたくさんいますよね。

赤谷:おっしゃる通りです。例えばヒカキンさんみたいに、マスメディアで活躍されてる方と3万人しかフォロワーがいないインフルエンサーさんのどちらが良いかと言うと、一概にどちらが良いとは言えないです。例えば、3万人のフォロワーを持ってるインフルエンサーの方がコアなファン層が多い場合もあるからです。

先ほどから何度も話題に出ている抹茶の領域にものすごく詳しいとかだと、抹茶のスイーツに関するマーケティングにおいては、その3万人のフォロワーを持つインフルエンサーさんの方が有用だったりするんです。ですので、変な言い方にはなってしまいますが、日の目を浴びていないインフルエンサーでもしっかり活躍されて、インフルエンサー自身で収益を生めるような、双方に利益のあるプラットフォーム作りをしていきたいんです。

なぜ、インフルエンサーの作った新商品に手を出したくなるかというと、自分が憧れている存在というのもありつつ、インフルエンサーはトライブ(「#23 インフルエンサーとバズる科学で人々の心を掴む秘訣」参照)のリーダー的な立ち位置なので、自分が感じていた商品に対する課題や、すごく良いと思うところが商品に組み込めるなど、そういう安心感があるからこそ購買が進むんだろうと思っています。トライブのリーダーと、その周りのトライブのメンバーの信頼関係があり成り立っています。

飯澤:わかります。何か商品を買う時って、テレビでCMしているからではなく、信頼してる人がいいねと言ったからですよね。

赤谷:例えば、Yahooなどで検索しようとするとバナー広告が表示されますが、現代ではバナーをクリックして商品を買う人はあまりいないですよね。特にZ世代とかは顕著かなと思います。ネットから企業側が能動的に発信する情報は企業が発信したい示唆が入っており、なかなか信頼されない広告のマーケティング市場になってきていると思います。

同じ商品ひとつ取っても、ネット上でおすすめされた3980円で購入できる商品ですよという訴求より、インフルエンサーが「3980円だけどこういうところが良くて、ここがおすすめだから買った方がいいよ」と教えてくれれば、絶対買うと思います。自分が憧れているインフルエンサーや、同じトライブに中にいる人たちが紹介してくれたら購買に至ると思っています。

だからこそ、今までテレビCMやネット広告からなかなか売り上げに繋がらなかった企業やクライアントは、トライブマーケティングに舵を切っていけばいくほど、盛り上がれる世界観が作れるんじゃないかなと思っています。

飯澤:なるほど。Z世代というキーワードも出てますが、やはりSNSを中心としたマーケティングで狙っていく対象はZ世代になるんですかね。

赤谷:Z世代の方が効果が高いとは思いますが、一方でそのZ世代以外の例えば主婦層がSNSを使っていないかと言われると、そうではないです。我々がブランディングとしてわかりやすくZ世代というふうに掲げている側面はあります。とはいえ、上の世代の方々にも同じようにマーケティング手法は活用できると思っています。

例えば、我々の事例で、何十年と同じ石鹸商品を作り続けており、どうしてもその石鹸のファンが高齢者の方々ばかりになってしまったという石鹼の老舗企業がいます。プロダクトの成長と共に顧客も高齢者になってしまった結果、売り上げは今後先細りする一方なので、どうにかリブランディングしたいという案件がきました。

そこで我々はその石鹸を、お子さんがいる主婦/主夫や高校生に実際に使ってもらい、どういうところが良い/悪いのかの意見を聞き、その意見を踏まえて主婦/主夫の方々とプロダクトを開発しました。主婦から得られた意見は、保湿効果が高くてしっとりするということで、子供や赤ちゃんに使用するとより効用が高いというような発見をしてくださいました。

結果、その方と一緒に新しくリブランディングするためのマーケティングセンテンスやパッケージデザインを考えて新しく販売しました。それを、主婦/主夫の方にアンバサダーとなっていただいて、どんどんSNSで発信していただきました。

飯澤:なるほど。それは企業にとってみるとだいぶ大きな転換点ですね。自分や企業側が考えていると思いつかない視点が見えてきたということですね。

松村:裏を返してトライブマーケティング中心に、例えば人とか個人とか企業がインフルエンサーになれるような、リバースエンジニアリング的なことはありますか。

赤谷:これはまさに、今後、実装しなきゃいけないと思っているところです。我々のツールは、仮に飯沢さんがインフルエンサーでフォロワーが1万人いた時、飯沢さんの日々の投稿に付いているいいね数やコメント数、フォローの伸び率など、自分のフォロワー層の分析ができる基盤が整っています。

ですので、今後は新しくインフルエンサーになりたい人に対して、例えば「月曜日の18時に投稿するといいねが得られやすいですよ」とかの情報を、蓄積・分析したデータからリバースエンジニアリング的に提供できるようにし、誰でもインフルエンサーになれる世界観を作らなきゃいけないと思っています。今ある機能をもう少しチューニングすればインフルエンサーの皆様にご提供できると思っています。

飯澤:そうですね。それがあるとインフルエンサーの方にとっても企業にとってもそれぞれwin-⁠winな形ですよね。インフルエンサーにとってみると自分の投稿をどうすると皆がより喜んでくれるのかとか、いいねが得られるのかみたいなことがわかり、管理がしやすくなりますよね。

赤谷:費用対効果はとても良いと思います。先ほども出てきましたが、抹茶のスイーツを一緒に作ってくれたアンバサダー3人がそれぞれ10万人ずつフォロワーを持っていたとすると、その人たちがそれぞれ一度投稿するだけで、計30万人に見てもらえますよね。かつその商品を買った30万人の方々が合わせて100万人のフォロワーがいたとしたら、その人たちが見てくれるなど自然発生的に波及してくれる。そのアンバサダーと一緒に物作りをして、その人たちに熱意を持って自分ごとのようにアンバサダーとしてPR投稿していただくのはすごく費用対効果が高いものだと思いますね。

飯澤:今後、「INFRECT(ゼロスタのインフルエンサーマーケティングツール)」の発展の展望と提供していきたい分野や領域など教えていただけますか。

赤谷:いろいろ展望は考えており世界観が広いのですが、まず一番最初に、PR投稿の費用対効果を可視化できるAIを作る必要があると考えています。現状INFRECTでは、例えば「ヒカキンさんにこういう投稿してもらうと、いいね数がこのくらいつきそうです」といった、いいね数を分析するAI自体は実装されています。

それから一歩進んで、この商品をこのインフルエンサーさんに投稿してもらうと売り上げがこのぐらいになりそうですというROI分析ができるツールまでできれば、企業のマーケティングの透明化を図ることができるかなと思っています。それにより、市場自体もさらに発展していくだろうと思っています。

それを実装するためにデータの取得方法などをいろいろと考えているのですが、その一環として、今後はインフルエンサーが自分のセレクトショップをECサイトで開き販売できるようなプラットフォームを作っていきたいなと思っています。そうすると、あるインフルエンサーが特定商品を自分のセレクトショップに掲載した時の売り上げについて、見込みとその結果のデータが溜まっていくので、ROI分析にも繋がっていくと思っています。

ゼロスタの標語として「AIの力であらゆる企業のあらゆる商品サービスが売れ続ける世界観を実現したい」と掲げています。現状のINFRECTはインフルエンサーを市場理解のために、インタビューとして使うとか、一緒に物作りを行っていくとか、実際にアンバサダーとしてPR投稿を行っていくための検索ツールと共に、商品サービスが売れるまでの管理をするツールといった位置づけになっています。ですので、今後はちゃんと売れ続ける世界観を実現させるための場(プラットフォーム)を持つ必要があると思っているので、管理するINFRECTと売るための場を作ることが目下の目標です。

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