Startup Alliance、韓国スタートアップ10社のデモデイを東京で開催——日本のパートナーを求め各社がピッチ

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Image credit: Masaru Ikeda

Startup Alliance(스타트업 얼라이언스)は、2013年7月にソウルで発足した、韓国のスタートアップの世界進出を支援するための NPO だ。韓国政府のイノベーション支援担当省庁である未来創造科学部(미래창조과학부)と連携し、韓国 NAVER(네이버)が運営を支援している。

同組織では2014年から年に一度の頻度で、日本市場への進出を希望する韓国スタートアップを招き、東京各所のスタートアップハブでピッチするデモデイイベント「JAPAN BOOTCAMP」を開催している。今年は新型コロナウイルスの感染拡大が沈静化しているのを受け、3年ぶりに韓国スタートアップが日本を訪問する形でイベントが10月17日〜19日に開催された。通算で9回目の開催となる。

グローバル・ブレイン、Plug and Play Japan、Z ホールディングス、Z Venture Capital を訪問してのデモデイのほか、Plug and Play Japan のプログラムマネージャー伊藤啓太氏と、「トド英語」や「トドさんすう」を展開する韓国のエドテックスタートアップ Enuma(에누마)の CTO イ・ガンホ(이건호)氏によるパネルディスカッションなどが行われた。

また、KOTRA(大韓貿易投資振興公社)東京東 IT 支援センター所長のイ・スンス(이승수)氏、朝鮮日報東京特派員のソン・ホチョル(성호철)氏、韓国スタートアップ Allganize 日本法人代表の佐藤康雄氏、Uniplatform(유니플랫폼)のキム・ユンギョン(김윤경)氏、JETRO(日本貿易振興機構)プロジェクトマネージャーのムン・ヒョンイル(文炯逸、문형일)氏が講演した。

「JAPAN BOOTCAMP」に参加した韓国スタートアップの皆さん
Image credit: Startup Alliance

ネットワーキングイベント「日本の韓国人」では、日本市場への進出済の、金融情報サービス Woodstock 代表のブライアン・ユン(브라이언 윤)氏、接客チャットサービス運営の Channel Corporation 日本代表のチェ・ジェヨン(최재용)氏、ゲームパブリッシャー SUBETE 代表のイ・ミリム(이미림)氏、ファッション通販「NUGU」展開のパク・ハミン(박하민)が経験談を語った。

本稿では、Startup Alliance が JAPAN BOOTCAMP の最終日程として19日に東京・虎ノ門の CIC Tokyo で開催した「K-Startup Open Demoday」から10社のピッチの様子を紹介する。すでに日本に進出し法人を有するスタートアップから、これから進出に向けて日本のパートナーを探すスタートアップまで、レベル感はさまざまだ。

K-Startup Open Demoday には、日本国内の投資家や起業家など約70人が集まった。JAPAN BOOTCAMP に参加した韓国スタートアップの日本市場へのマーケットフィットを評価する観点から、日本市場に詳しい日本の投資家らがピッチ審査員として招かれコメントした。審査員を務めたのは次の方々だ。

  • イム・サンウク(임상욱)氏(Xenon Partners パートナー)
  • 海老原秀幸氏(PKSHA Capital マネージングパートナー)
  • キム・ギョンフン(김경훈)氏(グローバル・ブレイン ディレクター)
  • 金田真人氏(みずほ銀行 イノベーション企業支援部 部長)
  • 名倉勝氏(CIC Tokyo ゼネラル・マネージャー)

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以下、参加した韓国スタートアップを紹介する(記事中の調達額の日本円換算は、それぞれ、実施当時の中間レートを適用)。

Uprise(업라이즈)

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Uprise は、仮想通貨に特化した投資ロボアドバイザー「Heybit(헤이비트)」を運営している。ボラティリティの高い仮想通貨を24時間自動運用することから、損失を抑えながら安定的に収益を得ることが可能だ。今年1月にシリーズ C ラウンドで100億ウォン(当時のレートで約9.5億円)を調達し、累積調達額は460億ウォン(約44億円)に達している。現在、日本進出に向けて現地パートナーを求めている。

Gaudio Lab(가우디오랩)

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Gaudio Lab は、ヘッドフォンの空間音響(Spatial Audio)技術(バイノーラル方式の立体音響レンダリング)が国際規格に採用されたことをきっかけに2015年に設立された。音響工学の博士号取得者を含む約20人のオーディオ専門家が在籍し、没入型かつ対話型の360度音声ソリューションを開発している。同社は昨年、シリーズ B ラウンドで113億ウォン(約11億円)を調達し、累積調達額は169億ウォン(約16億円)に達している。日本の音楽産業や映画産業などとの協業に期待を込める。

RoboArete(로보아르테)

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RoboArete は、チキンフライに特化した協働型の調理ロボット「Robert」を開発している。自社でチキンフライ専門店「Robert Kitchen」を展開するほか、コンビニチェーン大手「GS25」にも導入し店頭でのチキンフライ調理を可能にしている。コンパクトな設計であるため、フライヤーが入るスペースがあれば、どんな店にでも設営が可能だ。今年5月に、シリーズ A ラウンドで75億ウォン(約7.5億円)を調達した。日本では、唐揚げや天ぷらなど揚げ物料理の分野、ゴーストキッチンなどへの参入に期待を賭ける。

Enuma(에누마)

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エドテックスタートアップの Enuma は、日本でもすでに「トドさんすう」や「トド英語」といった子ども向け教育アプリを展開している。2012年創業という歴史のあるスタータップだが、トドさんすうはローンチから8年経っても、1,000万回を超えてダウンロードされ続けており評価は高い。2019年には、Xprize Foundation の識字率向上を目的としたソフトウェアコンペティション「Global Learning Xprize」で学習キット「Kitkit School」が優勝した。これまでに2,300万米ドルを調達している。

Sendbird(센드버드)

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Sendbird は2013年に設立され、Y Combinator の2016年冬バッチから輩出された。モバイルアプリやウェブサイトでチャットやメッセージング機能を使えるようにするメッセージング SDK やチャット API を提供している。シリコンバレーをはじめ世界6都市に拠点を置き、Reddit、PayPay、楽天、Yahoo!、Wolt(DoorDash)をはじめ、1,200社の顧客企業のアプリなどに連携しメッセージング機能を実現している。これまでに220万米ドルを調達しており、日本では Si-er などと連携しさらなる市場開拓を狙う。

EVAR(에바)

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EVAR は、サムスン電子からスピンオフした電気自動車向けの充電技術に特化したスタートアップだ。据付型充電器のほか、駐車場に停めた電気自動車に充電器の方からやってきてくれるロボットなど、さまざまなソリューションを開発している。同社は複数の充電器間で容量を調整しあう仕組み(ロードバランシング技術)を得意としており、これにより、電力源からの供給容量に限りのある環境下でも技術的制約が外れ、充電ステーション普及に向けたハードルが低くなる。これまでに73億ウォン(約7.3億円)を調達している。

SHOPL&COMPANY(샤플앤컴퍼니)

デスクレスワーカーのための業務効率化 SaaS は日本でも増えつつあるが、SHOPL&COMPANY は、まさにその韓国版のプロバイダと言えるだろう。現場職員のためのデジタル協業ツール「Shopl」と、現場施設管理デジタルソリューション「Hada」を開発・提供している。基本的な提供機能は、勤怠記録、スケジュール管理、タスク割当と検収、掲示板、店舗データの収集などだ。韓国以外では、南米やヨーロッパでもユーザを増やしており、現在、東南アジアに進出し始めたところだ。今年2月、シリーズ A ラウンドで60億ウォン(約6億円)を調達した。

COLLECTORS(콜렉터스

COLLECTORS は、韓国のファッションブランド、いわゆる「K ブランド」の日本進出を支援するサービスを展開している。e コマースの運営代行、物流フルフィルメント代行など、日本での市場展開をワンストップで丸ごと依頼できるのが特徴。特に、e コマースサイト毎の性格も的確に把握した上でブランドにアドバイスし、適切な出店計画やマーケティング支援が強みだという。自らも、「Chincha Store」というリアル店舗を運営している。今年2月、シードラウンドで2.5億円を調達した。

PLAIN BAGLE(플레인베이글)

PLAIN BAGLE は、チャット感覚で対話しながら、自分が小説のキャラクターになれるアプリ「Picka」を開発している。まもなく日本語版もローンチする予定だ。まるで人と会話するように、Picka を通じてバーチャルキャラクタと会話することで、ユーザは恋愛や事件解決などさまざまな体験ができる。ユーザの多くは10代〜30代の女性で、現在、韓国語版と英語版が提供されており、いずれも100万ダウンロードを突破した。今年5月にシリーズ A ラウンドで30億ウォン(約2.9億円)している。

d.code(디코드)

ファッションを予約販売する d.code は、ヨーロッパなどの高級ファッションブランドと顧客をつなぐ D2C プラットフォームだ。予約販売であるため、店舗や工場の在庫問題や衣料ロス問題を解決でき、ユーザに対しては新作を30〜40%の割引で商品を提供する。需要予測をブランドに提供することで、コスト削減と共に、廃棄物も減らせる ESG 的なアプローチが評価を受けている。これまでに220億ウォン(約22億円)を調達している。今後、日本のアパレルブランドとも積極的に協業を進める考えだ。


左から:イム・ジョンウク(임정욱)氏、チェ・ハンジプ(최항집)氏
Image credit: Startup Alliance

なお、Startup Alliance はこれまで、Lycos USA の 元 CEO イム・ジョンウク(임정욱)氏がセンター長を務めていたが、先週、韓国のスタートアップ支援政府機関である中小ベンチャー企業部(중소벤처기업부)の創業ベンチャーイノベーション室長に任命されたのを受け Startup Alliance のセンター長を退任、チェ・ハンジプ氏(최항집)が2代目のセンター長に就任した。

チェ氏は高麗大学で機械工学の学士号と修士号を取得後、自動車大手ヒュンダイ(現代)で研究員として22年間勤続した。これまでに、韓国政府のグローバル創業 R&D 事業(TIPS)に携わったほか、ヒュンダイの社内ベンチャーの CEO、ヒュンダイのオープンイノベーションプログラム「ZER01NE (ゼロワン)」のセンター長などを歴任している。

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