10月17日~10月21日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは11件で、資金総額は856億ウォン（約85.6億円）に達した。

主なスタートアップ投資

• おひとり様用ピザブランド「GoPizza（고피자）」がシリーズ C ラウンドで250億ウォン（約25億円）を調達した。累積調達額は450億ウォン（約45億円）、時価総額は1,500億ウォン（約150億円）に達した。インド、シンガポール、香港、インドネシアに進出し、5カ国で160店舗オープン運営。CJ など大企業との協業で新規事業モデルを開発する一方、調達した資金で海外攻略を本格化する。
• メタバースプラットフォームの Anipen（애니펜）が、170億ウォンを調達しシリーズ B ラウンドをクローズしあ。累積調達額は300億ウォン（約30億円）で IPO を準備中だ。拡張現実（AR）技術を保有し、文化財メターバス、マルチ IP 対応可能コマースメタバースなど事業を進めている。
• Vault Creation（볼트크리에이션）が100億ウォン（約10億円）を調達した。時価総額は1,500億ウォン（約150億円）に達した。ドライエッチングのコア技術を保有しており、マイクロメートル（ミリメートルの1,000分の1）単位の穴を均一にエッチング可能な低温イオンビームドライエッチング方式を開発した。OLED ディスプレイに適用する準備を完了。IPO に向けた手続を始めている。
• ベトナム金融 API の Infoplus（인포플러스）がシリーズ A ラウンドで60億ウォン（約6億円）を調達した。累積調達額は75億ウォン（約7.5億円）に達した。2018年からベトナムで金融ソリューションの開発とサービスを進めている。ベトナムに進出している韓国金融会社各社をはじめ、ベトナム現地の金融会社と直接契約を締結。ベトナムでの売上は今年120億ウォン（約12億円）を上回った。
• 空間管理スタートアップ Korea Space Data（한국공간데이터）が40億ウォン（約4億円）を調達した。専任マネージャーを割り当て、美化から備品管理まで提供するメンバーシップサブスクサービス「Cleanier（클리니어）」を提供。 6月の売上高は8億ウォン（約8,000万円）記録し、創業以来毎年3倍ずつ成長中。共有オフィスをはじめ、ホテル、リゾートまで顧客を拡大している。調達した資金を使って、人材営業や Cleanier のサービス拡大などを推進する。

トレンド分析

資金調達に成功した、ウェブトゥーン・ウェブ小説スタートアップの顔ぶれ

投資環境の悪化にも K コンテンツの人気は冷めない。その中でもウェブトゥーンとウェブ小説分野のスタートアップには着実な資金が流入している。ウェブトゥーン、ウェブ小説はグローバルに拡大できるという点、そしてオリジナル IP を活用して映画やドラマ市場まで拡大できるという理由で成長可能性が大きく認められている。このようなウェブトゥーン市場の成長可能性に、Naver（네이버）や Kakao（카카오）など IT 企業からベンチャーキャピタルまで製作、流通能力、技術を保有したスタートアップに目をつけている。

Kakao は昨年、ウェブトゥーン「Tapas Media」やウェブ小説プラットフォーム「Radish」を買収し、Naver は世界最大のウェブ小説プラットフォーム「Wattpad」を買収した。ユニコーンになった Ridi（리디）はウェブトゥーン、ウェブ小説プラットフォームにピボットし、Copin Communicaions（코핀커뮤니케이션은）は NPX Capital（NPX캐피탈）に買収されアメリカ企業に転身、グローバル企業への跳躍を準備している。

OTT スタートアップの Watcha（왓챠）は最近、ウェブトゥーン市場に参入すると明らかにした。さらにフードデリバリの Woowa Brothers（우아한형제들）もウェブトゥーンコンテンツを作っている。韓流をリードする次世代分野といわれるだけに、市場の見通しは非常に明るいと評価されている。

昨年は Radish、Tapas、Topco（탑코）、Copin、Contents Lab. Blue（콘텐츠랩블루）など主要スタートアップに数千億ウォン〜数百億ウォン台（数百億円〜数十億円台）の資金が集まったとすれば、今年はシードやシリーズ A ラウンドなどで100億ウォン未満（10億円未満）の初期投資がほとんどを占めたことになる。

資金調達したスタートアップの共通点は、オリジナル IP の確保を通じてグローバル市場攻略に乗り出している点だ。その中で、ウェブ小説プラットフォーム「Novelpia（노벨피아）」の運営会社 Metacraft（메타크래프트）は、今年だけでシリーズ A、シリーズ B ラウンドに相次いで成功、125億ウォン（約13億円）を調達し、業界で最も多い調達額となった。

Metacraft は設立から1年で会員数90万人を達成し、ウェブ小説 IP 25,000本と作家15,000人を確保するなど急速に成長中だ。調達した資金を使って作家を発掘し、ウェブ小説 IP を活用してオリジナルコンテンツのクロスメディア展開に注力し、多様な IP 事業を進める計画だ。

ウェブトゥーン、ウェブ小説コンテンツサプライヤ Nuonmedia（누온미디어）も40億ウォン（約4億円）を調達、海外市場進出資金を確保した。Nuonmedia はロマンスファンタジー中心のノーブルコミックス（ウェブ小説原作のウェブトゥーン）を韓国内外の主要プラットフォームに配給しており、今後オリジナルウェブトゥーンまで領域を広げる計画で、オリジナルコンテンツのクロスメディア展開を積極的に推進し、海外市場を積極的に開拓する計画だ。

特定領域と特定対象のウェブトゥーン製作会社にも、投資会社は目をつけている。ウェブトゥーン製作会社 U-Jewel Media（유주얼미디어）は女性向けウェブトゥーンで NHN から36億ウォン（約3.6億円）を調達した。U-Jwewel Media は Naver、Kakao Page（카카오페이지）、Lezhin（레진）などとウェブトゥーンを提供しており、この調達で NHN とグローバル女性向けプラットフォームへの跳躍を推進する。

知識教育分野でウェブトゥーンサービスを提供する Nautilus（노틸러스）は歴史、科学、人文学などの学問をウェブトゥーンを通じて学べるサービスで34億ウォン（約3.4億円）を調達した。捨てられる知識をウェブトゥーンで学習できるように支援している。 40代〜60代を狙ったウェブ小説購読サービス展開の DLP Studio（디엘피스튜디오）もシード調達に成功した。

創作者のためのサービスを提供したり、新しい方式のウェブトゥーン創作が可能なプラットフォームを披露したりしたスタートアップも投資を受けた。21億ウォン（約2.1億円）を調達した Webtoon Today（오늘의웹툰）は、作品の商業的な成果を制作の初期段階で分析できるデータ分析サービス「Webtoon Analytics」を個人創作者向けに提供、作品開発方向の設定に役立っている。

Universe Stationary（우주문방구）は世界観を共同創作できるプラットフォームを構築した。読者が世界観を作成した後、他の読者とコミュニケーションをとり、プラットフォーム内でウェブ小説の出版が可能で、出版プロセスを他の読者と協力して行うことができる。Conpapa（콘파파）はウェブトゥーン創作の効率性を最大化した創作プロセスを実現する製品を開発する。クリエイティブの段階を簡素化し、素材の再利用範囲を拡大し、繰り返し作業を減らすのに役立つ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】