台湾のTuring International(図霊証書)が100万米ドルを調達、日本でDX支援の子会社設立へ

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Turing International(図霊証書)創業者兼 CEO の Hu Yiu-Kit 氏(胡耀傑)氏
Image credit: Turing International(図霊証書)

デジタル ID やクレデンシャル管理のスタートアップ Turing International(図霊証書、旧社名:Turing Chain=図霊鏈)は、プレシリーズ A ラウンドで100万米ドルを調達した。このラウンドに参加したのは、元 Google 台湾代表の Li-Feng Chien(簡立峰)氏が共同設立した Taiwan Leap Venture(台灣飛躍天使創投)をはじめ、医療、建設、産業、自動車産業の組織や個人だ。投資銀行のシニアバンカーを含め、前回のシードラウンドに参加した投資家もフォローオンで参加した。

今回の資金調達は、チームを拡大し、情報セキュリティや暗号技術、国際的な事業開発、影響力のあるマーケティングなどの分野でより多くの人材を Turing International に集めるために使用される予定だ。また、Turing International は今年、アメリカに本社を設立し、日本にも子会社を設立して、現地政府と連携して日本市場に参入する予定だ。

学術資格から多業種にわたる偽造防止機構まで、偽造の解決を目指す

同社は「Turing Chain(図霊鏈)」という名前からブロックチェーン事業をしていることは想像がつくが、実のところ、パブリックチェーン「IOTA」に認証サービスを適用したものだ。Turing International 創業者兼 CEO の Hu Yiu-Kit 氏(胡耀傑)氏は、今年後半に Turing Chain から Turing International に正式に社名を変更すると述べた。

紙の卒業証明書を受け取ることの不便さから、Hu 氏は2020年に技術コンサルティング会社をブロックチェーンスタートアップに転換し、ESG サステナビリティ報告、不動産契約、農産物トレーサビリティ、アートワーク偽造防止など、幅広い学歴認証シナリオに使用できるデジタル証明書発行プラットフォームとワンストップ個人ID管理システムを提供している。 台湾の国立清華大学、キプロスの EUC 大学、国立台湾大学の GIS 台湾 Global Initiatives Symposium(全球集思論壇)が Turing の証明書サービスを利用している。

Turing International は、台湾の清華大学でブロックチェーン卒業証書の提供を開始した。
Image credit: 清華大学

Turing は今年上半期、企業データベースを運営する D&B(Dun & Bradstreet)と契約を締結し、ESG インサイトレポートや GHG(温室効果ガス)レポートの認証・保証にデジタルスタンピング(ブロックチェーン技術によるデジタル資産認証)を適用し、企業のサステナビリティ市場に参入した。この仕組みにより、企業はより安全な方法で報告書を公開することができ、対象者を限定し、中間業者による改ざんのリスクも排除することができるのだ。

Turing International によると、この提携が発表されたことで、会計事務所の協力意欲が大幅に高まっただけでなく、アイルランドやヨーロッパの企業信用格付け機関からも提携について話し合おうと連絡が寄せられたという。信頼の大幅な向上に加え、100%ペーパーレス化、低炭素化も ESG の重要なポイントだ。

また、Turing International は今年、世界保健機関(WHO)とのパートナーシップを獲得し、来年ジュネーブで開催される PMNCH(Partnership for Maternal, Newborn and Child Health、妊産婦、新生児、小児の健康)フォーラムで、世界中の若者に数万枚の参加ブロックチェーン証明書を発行し、ほぼゼロカーボン、ペーパーレス、テクノロジーアプローチによる公共サービスの促進に貢献すると期待されている。我々は、台湾が世界の組織に積極的に参加するために、さらなるブレークスルーを果たし、技術外交に貢献することを望んでいる。

日本市場に積極参入、政府と共にデジタル政策を推進へ

Image credit: Turing International(図霊証書)

Turing International は今年、日本政府の招きで東京、沖縄、福岡、広島、神戸の国内5都市を訪問し、10以上の政府機関のデジタルトランスフォーメーション部門と面談した。中央(東京)と地方の声が一致せず、またペーパーワークの習慣が残っているため、政策実行が可能な部分は非常に限られている。Turing International は、年内をめどに日本法人の設立を進めており、すでに日本人スタッフもいる。

日本市場への参入戦略については、Turing International は大学やアカデミアからではなく、政府や関連するスタートアップトレーニングプログラムを通じて日本企業にアプローチし、紙の書類や証明書を多用している国が100%デジタル化を成功させるために、日本企業と一緒にプロモーションを行いたいと考えている。

今回ラウンドに参加した元 Google 台湾マネージングディレクターが共同設立した Taiwan Leap Venture は、アーリーステージの SaaS、AI、Web3 分野のチームにフォーカスしている。同社は Turing International のサービスの世界進出を支援したいと考えている。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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