種子をハック、世界で主食穀物の収穫量を増やすInari/食品のゲノム編集技術(2)

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Image credit:Inari

(前回からのつづき)マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くInariは、ゲノム編集ツールを用いてシードテック(種子技術)を開発するベンチャー育成機関「Flagship Pioneering」によって設立されたスタートアップだ。このベンチャー育成機関は一見途方もない仮説を科学者にぶつけることに重きを置いており、InariもFlagship Pioneeringの野心に満ちた仮説から生まれた。同社の取締役には、CRISPRの発明者Jennifer Doudna氏がいる。

同社の開発したプラットフォーム「SEEDesign」は、多くの農法で当たり前となっている大量の水、肥料、農薬が必要とする条件を、種から変えようとするゲノム編集ツールだ。遺伝子を素早く編集できるCRISPR技術を使用しており、植物の遺伝子配列を変更してより良い種子を開発している。つまり、遺伝子組み換えで度々物議をかもす外来遺伝子を投与するのではなく、植物にすでに存在する遺伝子のみを使うアプローチを取っている。

Forbesによると、SEEDesignによって水使用量を40%削減し、大豆とトウモロコシの収穫量を20%増加させることができるという。また、AgFunderの取材の中で、CEOのPonsi Trivisvavet氏は、種子をゲノム編集することは耐病性、水の消費、栄養、窒素の消費に良い影響を与え、経済的な点でメリットがあるという。AgFunderによると、同社は2021年夏から種苗会社と共に大豆のデモ区画を設けて実証実験を行っている。1万人以上の栽培者によって育てられ、間もなく初めての収穫が予定されている。

10月4日にはシリーズEで1億2400万ドルの資金調達を完了し、累計調達額は4億7500万ドルになった。今回の資金を用いて大豆、とうもろこし、小麦の製品開発を拡大、商品化を目指すという。食事の主食を担うこれら3種類の生産効率が上がるとなれば大きなインパクトになるだろう。

次につづく:高オレイン酸大豆油で一躍有名、Calyxtへの期待感

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