3Dプリンターが環境問題改善に貢献、製造業を支えるユニコーン「Formlabs」/ユニコーンになった気候変動スタートアップ(3)

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Image credit:Formlabs

Climate Techのユニコーンスタートアップ特集、最後に取り上げるのは3Dプリンタを製造するFormlabsだ。これまでにソフトバンク・ビジョン・ファンドを含む投資家からシリーズEラウンドの資金調達を行い、総資金調達額は2億5370万ドルとなっている。

3Dプリンターのイメージが試作品を安価で迅速に制作できるもの、という考えにとどまっている読者も多いのではないだろうか。実際これまでは可動域のある製品の動作検証・確認や、治具(加工や組立ての際、部品や工具を案内し位置決めするとともに固定する補助具)といった製品制作におけるサポートを担ってきた。しかし、昨今アディダスのランニングシューズ「4DFWD 2」のミッドソールを3Dプリンタで製造するなど、最終製品を3Dプリンタで製造する事例も増えている。

特筆すべきは航空機にも3Dプリンタで製造した部品が用いられ始めている点だろう。航空機を作るエアバスから3Dプリンターを開発するマテリアライズがレーザー焼結技術を用いた航空機の実装部品の製造資格を取得した。航空機部品に求められる厳しい品質基準を満たしつつ、高い費用対効果と再利用率を実現するという。

3Dプリンタを用いた部品は材料の性質上軽量化されるケースがほとんどだ。航空機の重量を1kg削減するごとに、25年間の寿命で25tのCO2排出が防止されるため、3Dプリンタで製造された部品が採用されればされるほど環境に与える影響は少なくなるわけだ。さらに3Dプリンタは元々製造時間とコストの短縮を強みとして持つため、製造にかかるエネルギー消費量削減を実現している。これが3Dプリンタを開発する企業がClimate Techに分類される理由となっている。

今回取り上げたFormlabsは生産向けに低コストで複雑で精密な製品を作成するための3Dプリンタを開発するマサチューセッツ州サマービルに拠点を置くスタートアップだ。大量生産品ではなく、一個一個特注に近い製品作りに強みを持っている。

製品は日本でも取り扱っているため、実際に使用している読者もいるだろう。光造形法 (SLA)や粉末焼結積層造形(SLS)を採用した3Dプリンターをラインナップしいているだけでなく、BioMed Clear ResinやRigid 10Kなどの貴重な新素材を定期的に市場投入することで存在感を示している。同社の3Dプリンターで作成された部品は医療機器や歯科矯正模型や義歯、車のパーツとして実際に使用されている。

また、同社は南フロリダ大学とヘルスケアプロバイダーであるNorthwell Health 、州政府と協力してコロナウイルス検査用の鼻咽頭綿棒を開発に成功。CNBCによると、ニュージャージー州で毎日7000〜9000件のコロナウィルス検査が行われて鼻咽頭綿棒が不足していた2020年4月に生産を開始した。鼻咽頭綿棒が規制要件に準拠する必要がある医療機器であるにも関わらず、テストに2日、アイデアから生産まで1か月という驚異的なスピードでの開発だったが、各病院で製造できるまでに到達しことで3Dプリンターと同社の実力を証明する衝撃的な事例となったようだ。

同社が特に医療分野において事例を増やしているように、各分野で生産品としての事例が今後も増えていくことが予想される。製造業の環境問題に貢献するとき、基盤を支える技術として認知されていくだろう。

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