カーシェアリング版Airbnb「Getaround」で環境貢献できる理由/ユニコーンになった気候変動スタートアップ(2)

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Image Credit:Getaround

今回取り上げるユニコーンCliamate TechはPeer to Peerのカーシェアリングマーケットプレイスを提供するGetaroundだ。Crunchbaseによると、これまでに5億6800万ドルを調達し、2022年5月にニューヨーク証券取引所に上場を果たした。車体価格だけでなく保険料や維持費を支払う高価な買い物であるにも関わらず、一日の95%を駐車されて過ごす自家用車を必要な時だけ支払うカーシェアリングに切り替えることが経済的インパクトがあることは多くの方が知るところだろう。

しかし、カーシェアリングがClimate Techと結び付くことを意外に思う読者もいるだろう。同社によると、カーシェアリングは自動車の排気ガスの削減に貢献するという。実際カリフォルニア大学バークレー校のTransportation Sustainability Research Centerの調査によると、車を所有するよりもカーシェアリングした方が排出量が平均で34%〜41%減少することがわかった。シェアリングカー一台で、自家用車10台分の役割を果たすことからも、移動資源の最適分配という観点からもエコと言える。

カーシェアリング版Airbnbである同社は、非接触型のカーシェアリング体験を提供している。ユーザーは近くの車両を予約して数分以内に利用できるのが特徴だ。シェアされる車両は個人所有の物で、車両保有者をホスト、ユーザーをゲストと呼び、ゲストが一時的に車両をレンタルする形式でシェアされる。車の所有者は異なるが、日本のタイムズモビリティが運営する「タイムズカー」に体験は似ているかもしれない。

同社によると、同社のプラットフォームは8か国の950以上の都市で稼働しており、6万6000台のアクティブな自動車とトラックをかかえている。Uberなどの配車アプリとパートナーシップを結び利用できるだけなく、トヨタなどと連携することで同社サービスを搭載できる車両を増やすことでネットワークを急速に拡大し続け、2021年には総予約額1億6700万ドル、収益8100万ドルを達成している。

同社はホストに「Getaround Connect」というGPS追跡、盗難防止機能、および安全なネットワークへのセルラー通信機能を持つ車に搭載するためのハードウェアデバイスを提供している。予約から返却確認まで全てをスマートフォンでのやり取りで済ませるため、車のセキュリティを保証できるよう資格を有する技術者が設置に1〜2時間をかけて行うほど強固なデバイスとなっている

Crunchbaseによると、ゲストの多くはちょっとした用事や日帰り旅行、地方で使用する都会の消費者だそうで、小型で燃費の良いガソリン車とハイブリッド車に人気が集まっている。

次につづく:3Dプリンターが環境問題改善に貢献、製造業を支えるユニコーン「Formlabs」/ユニコーンになった気候変動スタートアップ(3)

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