ここまで仮想空間におけるVRスポーツ、カジュアルなゲームからフィジカルなフィットネスについて取り上げた。
最後に取り上げるのは、VRゲームのほとんどが買い切り型なのに対して、サブスクリプションモデルを採用するVRフィットネス「Supernatural」を運営するWithinだ。Supernaturalは2020年4月にリリースされ、同年10月にはMetaから買収が発表された。FTC(連邦取引委員会)の動きによりまだ買収のクロージングは完了していないが、Road to VRによると取引額は4億ドル以上になるという。
Supernaturalは前述の通りサブスクリプション型を採用しており、従来のゲームとはゴールの概念が異なる。健康を目的にプレイヤー自身の身体の変化と継続がゴールとなっているため、プレイヤーがスケジュールを守り、飽きとリタイアをしないための継続的なサポートを必要とするところが大きいだろう。言わば、メタバースにおけるフィットネスジムだ。2022年1月にはアメリカのコメディアンTiffany Haddish氏と提携して、新しいワークアウトシリーズをリリースし、5月にはスターウォーズをテーマにした1日限定ワークアウトを公開するなど、ゲーム内コンテンツ課金を収益モデルとする無料オンラインゲームと同様、継続的なアップデートとイベントの開催を行っている。
Supernaturalは月額$15から利用可能で、仮想空間には専属のコーチが付いて指導とモチベーションUPの言葉をかけ、フィットネスの専門家や行動科学者の指導の元で新しい音楽と効果的なトレーニングを提供している。
外出の自粛が続くこの時期にリリースとなったのは偶然ではあるものの、フィットネスを目的として取り組めないゲーム好きの人たち、ジムで人の目に付くのが嫌いな人たちに届く形となった。ポケモンGOが多く人を外に連れ出したように、Supernaturalが運動不足で生活リズムが崩れ行く人たちに、自宅でのゲーム体験から最適な運動を副産物として享受するものとして認知されている。
Members
BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。無料で登録する