#25 web3で実現できる、継続的な努力が報われるハッカソンの形とは 〜trevary金城CEO × ACV唐澤・村上〜

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

web3や、web3がもたらした組織の形である「DAO(分散型自律組織)」を何に使うのがいいのか。世界中のweb3起業家たちがトライ&エラーを繰り返しています。web2では実現できなかったことにweb3を適用する、というのも一つの方法ですが、そういう点では、webの歴史を知り、web2の事業を経験してきた起業家はきっと強いはずです。

今回お話を伺った金城さんは10年以上にわたってスタートアップシーンで活躍されており、web2の酸いも甘いも知った上でのweb3への挑戦は、これからweb3のビジネスを始めようとする人々にも、きっと示唆に富んでいると思います。最近、立て続けに複数のweb3サービスをローンチされ勢いづく金城さんに、web3に賭けた理由と業界に対する洞察をお聞きしました。

ポッドキャストで語られたこと

  • 金城氏がweb3に興味を持ったきっかけ、AKINDOを始めたきっかけ
  • DAOにおけるジョブの課題、DAO型雇用の課題
  • 一過性ではない、継続的な努力が報われるハッカソンの形とは

金城:AKINDO」というハッカソンプロトコルを開発している金城と申します。web3では、結構ハッカソンが開催されているんですが、ブロックチェーンやプロトコルレイヤーの事業者が、自分たちがいかにデベロッパーコミュニティを作っていくかを考えていらっしゃるので、そこに対してのベストなソリューションとして、AKINDOを開発しています。

それ以外にも「Yours DAO」というweb3の求人メディアや、Airtableを使った「Web3 Database」というweb3プロジェクトを600〜700件リストアップしたデータベースを公開しています。他には「web3 FM」というポッドキャストを配信しています。web3やクリプトやブロックチェーン周りを分かりやすく伝えることでプレイヤーが増えると良いと考え、プロダクト面からも情報発信しています。

松村:web3に興味を持ち、取り組もうと思われたきっかけは何ですか。

金城:元々ずっとインターネット業界におりまして、2010年くらいから起業をしようと思っていろいろ動いていて、2013年にネットショップが簡単に作れるサービスを提供しているBASEに、3人目の初期メンバーとしてジョインしました。

スタートアップのグロースみたいなところを見てきて、やっぱり自分でやりたいなと思い、2016年に会社を辞め、一旦、地元の沖縄に戻って起業したんですが、2017年は暗号通貨のバブルで、結構新しいテクノロジーがめちゃくちゃ好きなのでガッツリはまってしまったんです。

今でいうDAOみたいな共通のお財布のアプリとかも作ろうとしたんですが、一旦、冬の時代になって離れてしまっていました。でもそのタイミングで、FC琉球というサッカーチームのICOのお手伝いをすることになり、個人的に「琉球コインを僕だったらこう設計する」みたいな記事を書いたところ、それが結構読まれ、サッカーチームとしてそれをやりたいと言われ、5年越しにやっとこの前実現しました。

そして、2017年頃から暗号通貨やweb3に携わりはじめ、一旦また離れ、観光動画アプリ、Zoomを簡単に有料化できるサービス、インスタグラマー向けの収益活動などいろいろ作ったんですが、今の時代、ピュアなインターネットサービスを伸ばすのは非常に難しいなと感じました。

このタイミングから、SNSを作るとか、動画サービスを作るとか結構無理ゲーな状況じゃないですか。SaaSや、既存のレガシーのDXをいかにしていくかみたいなところに優秀な方々もどんどん入ってきています。僕もずっとベンチャーにいて、ピュアなインターネットサービスを作ってた人間なので、2020年〜2021年にピボットを繰り返していました。世界中に使われるサービスを作りたいと思って起業したのに、もうD2Cといってもなんか微妙だしなぁ、とか。

僕はソーシャルメディアマーケティングが得意領域なんですが、なかなかもう伸びづらいんです。そんな中で(web3を)ウォッチはしてたんですよね。NFTとかも去年の初め頃から伸びていてずっと気になっていたんですが、シード出資も受けている中、「よく分からないけど、こちらへ行く」ということも言えず、どんな感じにしようかなと思っていたんです。

2021年10月とかに、web3というキーワードが結構一気に浸透したタイミングがあったと思うんですが、そのタイミングで、もうこの何も持ってない僕がチャレンジできる新大陸は、このグローバルでやっていけて、新しく、ゼロスタートで競合のいないこの領域しかないなとすごく感じました。

テクノロジー的にはすごいワクワクしますし、グローバルで使われるサービスを少ないチームで作れるっていうところにすごいしびれて、ここへのフルべットを去年10月ぐらいからやってきたところです。Web2でくすぶっていたところから、最後とは言わないですけど、もう10年20年腰を据えてやっていけるような領域だと感じました。

2009〜10年あたりでソーシャルメディアに同じような感覚を感じていたのですが、その時のソーシャルメディアやモバイルのトレンドの盛り上がり以上の興奮をしていますね。それ(ソーシャルメディア)も10年ぐらいやったんですが、それを確信していたにも関わらず、なかなか波に乗れなかった悔しさもあるので、その二の舞にはしたくないという思いで、今ここにいる状況です。

唐澤:AKINDOの詳細を教えていただきたいんですが、なぜそこに張ろうと思われたのか、すごく興味があります。

金城:web3は非常にギグワードになっていて、いろんな領域があると思うんですけれども、去年の秋ぐらいからNFT、DeFi、メタバース、クリプトゲームとかいろいろとリサーチし、ワクワクする分野を探していたんです。

いろんな事業やトレンドが乗っかってくる箱・器みたいなもの、DAOという組織によって、いろんなムーブメントが生まれていくというのをすごい感じています。ただ、NFTやDeFiにもある程度売り上げが立てられている成功事例がいくつかポツポツ出てきているわけですが、DAOが全然ワークしてないということをすごく感じていました。

ガバナンスも全然機能してないし、評価制度やDISCORDもカオスだし、株式会社に置き換わる400年ぶりの発明と言われているにもかかわらず課題だらけのこの領域で、あまりトレンドにも左右されずに会社に置き換わるような領域に張るんだったら、ここが面白いんじゃないかと思って、個人的にはDAO領域に張ったわけです。

もう一つの課題感としては、クリプトに資本の流動性や情報の透明性がある中で、人材に関しては、誰でもどこでも好きなプロジェクトで働けると言われているにもかかわらず、実際に蓋を開けてみると、全然そうなってないなとギャップをすごく感じました。

僕もいろんなDAOに入ったり、自分でもコミュニティみたいのを作ってみたりして、ジョブへのアクセスのハードルが非常に高いと感じたので、そのハードルをどんどん下げていかないと、web3への(人材の)移動は起こっていかないだろうと思いました。何万人や何千人と人がいるコミュニティで、めちゃくちゃ有名なDAOがあるにも関わらず、普通に有料の求人広告を出してたりするわけです。

唐澤:それぐらい困ってるってことなんですね。

金城:仕事を募集しているにも関わらず、そこのブリッジができていない。コミュニティにはメンバーはいるけど、そこでジョブをキャッチしに行くまでのハードルが非常に高かったりします。プロポーザルを出して、DISCORDの中身を読んで、課題を感じて、提案をして、面談をして、かつ、アウトプット出しても適切に評価されるかされないかわからないような状況です。お金も契約も何もないので振り込まれるか分からないような状況です。

そこがもったいないなと感じ、バウンティジョブのマーケットプレイスを考えたのが最初のきっかけです。バウンティジョブのツールからの今のAKINDOというハッカソンのツールに変わっていきました。

AKINDO の前には、DAOの全体像を把握するために、そして、名刺代わりになるものとして、2022年2月に3週間ぐらいでノーコードツールで作った DAOのキュレーションサイト Yours DAO を出しました。DAOはまだまだ人類には早いなというのを正直感じています。

唐澤:ハッカソンは、Polygonさんとかも今までやってきたと思うんですが、AKINDOがあるハッカソンとないハッカソンで、開催者や応募者側の体験はどう変わるんですか?

金城:一番やっぱり有名なのが、「Gitcoin」というweb3のサービスで、そこみは結構ハッカソンがいろいろ並んでるんですね。また、「Devpost」というのもあるんですが、結構web3ではハッカソンにGitcoinが使われています。AKINDO と彼らとの違いですが、僕たちはスモールハッカソンというポジショニングを取ろうと思っています。

Gitcoinは報酬が100万円とか数十万円とかで、締切が決まっていて、デモデイのタイミングで(アウトプットを)出して、評価されて終わりみたいな、一つのお祭りイベントみたいなハッカソンが並んでいるんです。僕たちが狙いたいのは、金銭的なモチベーションで参加してない人たちで、数万円とか数十万円とかの代わりに、そのアウトプットを継続的にしていただく形で優位性を出していきたいなと思ってます。

1回のアウトプットで終わりじゃなくて、例えば5回継続的にアウトプットしてもらえたら、報酬が最大化されたり、プロトコル側からのフィードバックだったり、〝なかのひと〟からのソースコードのレビューを密に受けられたりするなど、よりコミュニティ作りに最適化したようなソリューションにすることで、差別化していきたいと考えています。

村上:やって終わりじゃなくて、継続期間を見て、うまくいってたら、ちょっとずつ出して、ちゃんと時間軸で捉えるみたいなところですね。確かに今までのハッカソンって、「面白かったね」と、優勝したらそれこそ写真が載って、大々的にそこで認知度を上げるような使い方でしたが、それだけじゃなくて、その先も捉えてやっていくところが結構新しいんですね。

次回へ続く)

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