D2CコマースをブーストさせるShopify人気アプリ「Mason」が軌道に乗ったワケ/GB Tech Trend

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

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つい先日、AppleがiOS上におけるNFTの発行および売買を正式に認めるルールを明確化しました。しかし、これは手数料として30%の「アップル税」が課せられることを意味します。こうした巨大プラットフォームの手数料徴収は、とりわけ中小規模の事業者の成長を妨げるのではという疑問の声にもつながっています。

今回紹介する「Mason」は、Amazonが事業者に課す30%の手数料、言わば「アマゾン税」をなくすためのShopify向けハイコンバージョンEC作成サービスです。同社はインドと米国カリフォルニアを拠点としており、AccelとIdeaspring Capitalがリード、Lightspeed India Partners、Mana VC、Gaingels、Core91、VH Capitalなどが参加したシードラウンドで、総額750万ドルを調達しています。

MasonはECサイトプラットフォーム「Shopify」との連携をベースに、誰もがコンバージョン率の高いEC店舗を立ち上げられると謳うアプリ「ModeMagic」を提供しています。なかでもターゲットとしているのがD2C企業です。TechCrunchによると、Masonの利用に切り替えたことで、EC店舗は30日間の平均注文額を23%改善、60日間のセッション時間を17%、セルスルーを35%改善できたそうです。

フラッシュセール表示、事前販売商品や希少在庫商品の訴求など、ECにおいてはコンバーションを高めるためのセールスタッチポイントがいくつか存在します。Masonではそれらの機能をすぐに実装できるよう、Shopify向けのアプリストアにおいて「ModeMagic」という機能パッケージの提供を行っています。Shopifyのテンプレートはいくつもありますが、その中でも中小規模のEC企業が好むセールス機能セットを組み込んだ、というわけです。

さて、Masonに注目が集まる理由は1,000以上の顧客をすでに持ち、世界中で8,000以上のブランドを支援しているトラクションにもありますが、冒頭で紹介した「アマゾン税」からの脱却トレンドが日に日に高まっていることも背景としてありそうです。

同じトレンドに乗った企業には、たとえば「Scalefast(ESWによって買収)」が挙げられます。同社は大手ECサイトのバックエンドシステムを提供していました。Shopifyより強力でスケール感のあるECサイトを組みたいが、Amazonには依存したくない。そんな、「アマゾン税」を支払うことなく自社ブランドサイトとして大規模なEC販売体制を確立させたい、という事業者のニーズに応え、EC向けクラウドインフラ領域で価値を発揮していました。

もうひとつ、MasonはノーコードやD2C市場の成長に乗って大きくグロースしているようです。というのも、彼らはあくまでShopifyをベースにしたハイコンバージョン機能テンプレートを提供しているに過ぎないため、既存アセット(プラグイン)を活用している点は巧いと感じました。

Masonの創業者は、元々ファッションコマース企業でECサイトの開発に携わっていたことから、EC事業を急速に成長させるためのTipsとそれに対応する機能セットを熟知しているそうです。同様のスキルとノウハウを、この事業モデル領域に参入する際は求められますが、それらをShopifyへと応用する開発思想は大いに参考になりますし、日本でも類似企業の流れが大きくなってきても不思議ではないでしょう。

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