台湾のスタートアップイベント「Meet Taipei」から、ピッチコンペティション上位入賞チームをご紹介——日本からEAGLYSも

Photo credit: 侯俊偉

2022年の Meet Taipei(創新創業嘉年華)「Neo Star Demo Show」が18日、台北市内の花博公園で開催された。35社のスタートアップの中から、ヴィーガン向け脂肪を開発する Lypid が「Annual Neo Star(年間 Neo Star)」の最優秀賞を獲得した。Business Next Media(数位時代)の CEO Katie Chen(陳素蘭)氏によると、2022年の Neo Star Demo Show では、12年ぶりに上位3名に60万ニュー台湾ドル(約270万円)の賞金が授与されるとのことだ。

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アフターコロナにおいて、デジタル化は多くの企業にとって必須条件となり、SaaS 市場の活況にさらに拍車をかけている。Quadintel によると、SaaS 市場は2018〜2023年の間に複合年間成長率(CAGR)34.28%で成長すると予想されている。昨年、台湾には、顧客管理を容易にする AI を搭載したスタートアップ Appier(沛星互動)という初のデジタル SaaS ユニコーンも誕生した。このスタートアップは昨年2月、東京証券取引所に上場した

2022 Neo Star Demo Show に参加したスタートアップは、宇宙技術、Web3、ESG ソリューションなど、さまざまな分野から集まった。今年は、Meet Taipei が日本から4チームを招待し、Neo Star Demo Show でプレゼンテーションを行った。

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2022 Neo Star の最優秀賞は、肉のクリーミー感、噛み応え、ジューシー感を維持しながら、100%植物性の脂肪を作り出すディープテックスタートアップである Lypid(活優科技)に決定した。コーネル大学の台湾人科学者2人が設立したこのスタートアップは、SOSV の IndieBio に選ばれ、シードラウンドで400万米ドルを調達し、製品を産業レベルにまで引き上げる準備ができたと発表した。

Neo Star は、収益モデル、技術、グローバル化の可能性、革新性、チームなどを基準に選出された。過去の受賞企業には、電子署名サービスの Kdan Mobile(凱鈿行動)、AI マーテック・スタートアップの iKala(愛卡拉)、エネルギー管理ソリューションの NextDrive(聯斉科技)などがあり、いずれもグローバル市場での足場を固め、その後も規模を拡大させている。

Slasify(商寰宇優仕)

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パンデミック発生以降、リモートワーク率が51%に倍増した。(Slasify =商寰宇優仕のソリューションコンサルタント Kris Chiu 氏)

リモートワークのトレンドを予測した Slasify は、2018年からグローバル採用を促進するグローバルペイロールのサービスを提供している。各国の現地労働法に基づいて、リモートワークの法的安全性やコンプライアンスに対応している。

この3年間で、Slasifyは28倍に急成長した。Slasify は自らもリモートチームであるため、13カ国以上にチームメンバーがいて、世界中のリモートワーカーを雇用する企業の給与支払に対応することができる。オールインワンの人事管理システムで、多通貨の給与計算だけでなく、仮想通貨による給与支払も実現した。

Slasify は現在、世界150カ国以上でサービスを提供し、130以上の通貨で給与を支払うことができる、信頼できるパートナーネットワークを構築している。シンガポールを拠点とする Slasify はまず、金融機関や国境を越えたフィンテックスタートアップと協業し、決済や精算のペインポイントを解決してきた。その後、国ごとに異なる労働福祉制度に合わせ、システムをローカライズしている。

EAGLYS

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日本の EAGLYS のグローバルビジネス開発ディレクター Michal Kiezik 氏は、データのセキュリティは、特に企業がデジタルトランスフォーメーションを進める際に、差し迫った問題であると指摘する。EAGLYS は、暗号化されたデータを共有、保存、分析するセキュア・コンピューティング・プラットフォームを開発する日本企業である。企業の既存データベースを常時暗号化された形式に変換し、安全なデータ交換を実現する。

〝Stay encrypted and stay connected(暗号化されたまま、繋がったまま)〟 が同社の暗号化技術の大きな特徴で、プライバシーと保護を確保しながら、データへのアクセスと利用を可能にする。セキュアコンピューティングの方法論は、データ移行中やデータインレストにさらされる危険のペインポイントを解決する。

2020年、EAGLYS は Forbes JAPAN Rising Star に選ばれた300社の中から「No.1 次世代ユニコーン」の座を獲得した。同社は、日立や三菱自動車などの大手企業と密接に連携するスタートアップだ。 EAGLYS は処理を1,000倍に高速化し、暗号化エンジンのリソースフットプリントを削減することに努めている。

Sustaihub(永訊智庫)

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CSR(企業の社会的責任)は、世界的なトレンドとして浮上している。Sustaihub(永訊智庫)は、サステナブル開発に関する国際的なトレンドに対応して、AI を使用して CSR レポートを生成し、政府の規制に従ってグリーン化を進める企業を支援する。

SustaiHub の創業者 Chengpei Lee(李振北)氏は、次のように述べた。

CSR レポートを作成するには、少なくとも半年と100万米ドルが必要だ。

CSR レポートの国際的な規制は2~3年ごとに更新されるため、企業はデータを収集し、正確に分析するために多くの時間を費やしている。このスタートアップは、AI を使って CSR レポートのテンプレートを生成し、データの収集、分析、報告に関する具体的な指示を企業に提供する。

最新の規制やサステナブル戦略に対応した SustaiHub のプラットフォームは、現在、電機メーカーの Wistrn(緯創)やデータソフト会社 Systex(精誠資訊)に採用されている。SustaiHub は、ESG データベースを構築し、企業のサステナビリティを高めるためのアドバイスや、グローバル企業が参考にするトレンド指標をユーザに提供している。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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