500万社超のリアルタイム企業データでB2B顧客開拓を半自動化、「SalesNow」運営が2億円をシリーズA調達

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「SalesNow」
Image credit: QuickWork

519万社のリアルタイム企業データを元に、B2B 顧客開拓を支援するプラットフォーム「SalesNow」を運営する QuickWork は16日、シリーズ A ラウンドで約2億円を調達したと発表した。このラウンドは KUSABI がリードし、ココナラスキルパートナーズ、SMBC ベンチャーキャピタルが参加した。いずれも事業シナジーなどは求めない純投資だ。

QuickWork は2019年、学生時代から Web サービスの起業を経験、その後、セールスマネージャーのほか、Python を用いたデータ分析業務や Ruby を利用した Web アプリの開発や運用に従事した村岡功規氏(現、代表取締役社長)により創業。営業活動を支援するサービスのローンチを経て、現在は SalesNow と企業情報データメディア「SalesNow DB」の2つが同社の柱だ。

同社が強みとするのはリアルタイムの企業情報。いわゆる企業情報データベースと異なり、「10分前に、React のエンジニアの募集を開始した」とか、「Salesforce を導入している」とかいった、企業が投稿した情報を元に整理された鮮度の高い情報だ。リアルタイムゆえ、この情報は「興味関心データ(インテントデータ)」として扱うことができ、B2B 営業に繋げることができる。

その情報を元に、誰にコンタクトすればよいか、決裁者へのコミュニケーションチャンネルも SalesNow は教えてくれる。個人情報保護法に抵触するためメールアドレスを開示することはできないが、その代わりに、情報公開されているソーシャルメディアのハンドルなどを示してくれるので、B2B 営業は決裁者への直接的なアプローチも可能だ。

QuickWork のツイッターから

このインテントデータと決裁者コミュニケーションチャンネルの提示により、飛び込み型の営業活動に比べ、商談に発展したり、成約に結びついたりする確率が格段に上がるという。SalesNow ユーザの企業には、原則として、営業担当者全員分の ID が付与されるため、運用時に ID を管理している限られた人員に代わりに調べてもらうとか、そのリストを転記・共有してもらう、といった手間も省ける。

SalesNow はあらゆる B2B 営業に活用できるが、なかでも、人材営業、さらには社会状況を反映して、Web 人材の営業に利用されているケースが多いそうだ。これは村岡氏がもともと人材系の業界の出身ということも影響しているそうだが、恒常的に人材不足に悩む企業は、人材募集の情報を積極的に更新・発信する傾向が強いので、インテントデータを掴みやすいという側面もあるように思う。

SalesNow は Slack とはすでに連携していて、予め設定した条件に基づいた企業情報が見つかったら通知を受けることができるが、今後、Chatwork、Teams、Salesforce、HubSpot、Senses、kintone といった各種ツールとも連携を検討しているという。QuickWork のオウンドメディアとの連携を強化し、ユーザのインテントデータをより詳しく把握できるようにする考えだ。

QuickWork はここまでほぼブートストラップモードでやってきた。現在数十名の社員がいるが、そのうち、SalesNow の肝となるデータを扱うチームは、データエンジニアが10名、システムがアルゴリズムで自動対応できないデータをマニュアル操作で収集・整理するリサーチャーが15名ほどいるそうだ。今回の調達資金は、QuickWork ではサービスをさらに進化させるボードメンバーなどの人材採用に充当するとしている。

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