モバイルで洗濯が頼める「LaundryGo」がソフトバンクらから49億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(11月21日~25日)

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「LaundryGo」
Image credit: LifeGoesOn(의식주컴퍼니)

11月21日~11月25日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは14件で、資金総額は2,070億ウォン(約207億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • ランドリーサービス「LaundryGo(런드리고)」運営会社 LifeGoesOn(의식주컴퍼니)がシリーズ C ラウンドで490億ウォン(約49億円)を調達した。新型コロナウイルス感染拡大にも関わらず年平均300%のペースで売上を伸ばしている。昨年、無人スマートランドリー、ホテルランドリー分野に新規進出し、2021年に比べ3倍近い売上を記録した。調達した資金を使って、スマートファクトリーの物流自動化、CS システムの高度化、新規サービスの地域拡大を推進する。
  • aweXome Ray(어썸레이)がシリーズ B ラウンドで170億ウォン(約17億円)を調達した。カーボンナノチューブを実装難易度の高い繊維形態で大量生産する技術を開発しており、これをもとに室内空気殺菌・浄化装置、マルチエネルギーによる検査・医療用低線量 X 線など多様な産業機器を生産している。調達した資金で生産ラインを拡大する計画だ
  • 水産物プラットフォーム「The Pirates(더파이러츠)」がシリーズ C ラウンドで160億ウォン(約16億円)を調達した。同社の時価総額は1,000億ウォン(約100億円)に達した。2013年、水産市場情報ブログで事業を開始し、その後、水産物流通の構造革新を追求してきた。新規に調達した資金で海外インバウンド需要に対応し、グローバル事業の拡大を加速する
  • 医療データプラットフォーム「JNPMEDI(제이앤피메디)」がシリーズ A ラウンドで140億ウォン(約14億円)を調達した。累積調達金額は160億ウォン(約16億円)に達した。製薬、バイオ、デジタル治療薬、デジタル医療機器など多様な医療領域に適用できる臨床試験データ管理プラットフォームを開発し注目を集めている。調達した資金を使って、製品を高度し、グローバル市場への進出を本格化する。
  • 経営データ分析サービス「HyperLounge(하이퍼라운지)」が106億ウォン(約11億円)を調達した。経営コンサルティングノウハウとデータ収集・分析・見える化技術を融合した SaaS を開発、経営関連のコアデータや分析をモバイルで提供している。
  • サービスロボットスタートアップ XYZ がシリーズ A ラウンドで100億ウォン(約10億円)を調達した。さまざまな分野に適用可能な人工知能ロボット技術を開発するサービスロボットを開発している。調達した資金を使って、屋内ロボットが飲食n製造から配達まで提供するロボットビルソリューションとして、技術適用できる分野を拡大する計画だ。

トレンド分析

投資会社・製薬会社も目が覚めたか……デジタル治療薬スタートアップの存在

今年の医薬品バイオ分野への投資は大幅に萎縮しているが、デジタルヘルスケア、特にデジタル治療薬(Digital Therapeutics)分野の企業の成長性は高く、資金調達にも成功している。デジタル治療薬は、病気を予防管理するために医薬品ではなくソフトウェアを利用した新しい形態の治療薬だ。アプリ、ゲーム、仮想現実などのソフトウェアを活用し、不眠症、不安障害、認知症などを治療できるというものだ。

政府もデジタル治療薬産業に注目し、2020年にはデジタル治療薬認可ガイドラインを発表、国政課題として「バイオ・デジタルヘルスグローバル中心国家跳躍」を提示し、この分野の企業競争力強化を支援している。高成長分野であるだけに、ベンチャーキャピタルや製薬会社などの戦略的投資会社もデジタル治療薬開発スタートアップに注目している。今年は昨年より多くの関連スタートアップが登場して資金を調達した。どんな企業がどんな治療薬を作っているかを見てみることにしよう。

最も多くの資金を調達したのは Emocog(이모코그)で、設立から1年で150億ウォン(約15億円)を調達した。高度認知障害治療薬を作るイモコグは、高度認知障害を持つ患者を対象に認知機能を監視し、カスタマイズされた認知トレーニングを提供するアプリ「Cogthera(코그테라)」を開発している。韓国をはじめ、アメリカとヨーロッパで臨床を推進中だ。

Haii (하이)は75億ウォン(約7.5億円)を調達、汎用不安障害治療薬「Anzeilax(엥자이렉스)」を主力にデジタル治療薬を開発している。Anzeilax を処方するための診断用アプリ「Mental Health Checkup(마음검진)」は KMI 健康検診センターで使用されており、認知症診断と治療のための「Alzguard(알츠가드)」、ADHD 児童 のための「Bomi(뽀미)」などを開発している。

Rowan(로완)は、脳疾患デジタル治療薬の開発で60億ウォン(約6億円)を調達した。2017年に設立されたローワンは、デジタル認知刺激治療プログラムで「Super Brain(슈퍼브레인)」を開発、臨床試験を進めている。認知刺激治療は、学習問題を解いたり、運動したりすることで脳に刺激を与え、認知能力を改善する治療法でアルツハイマー認知症などの進行を遅らせることができるプログラムだ。以前は、医療スタッフが学習の解決を助けていたが、Rowan はこれをデジタル化してアプリにした。

Welt(웰트)はスマートベルト医療機器から事業を開始し、現在はデジタル治療薬に注力しており、特に不眠症治療のためのデジタル治療薬を作っている。アプリを通じて生体情報データを収集、睡眠スケジュール、適切な睡眠時間、生活習慣をアドバイスしてくれる。昨年の60億ウォン(約6億円)に続き、今年初めに50億ウォン(約5億円)を調達、合計110億ウォン(約11億円)のシリーズ B ラウンドをクローズした Welt は、不眠症治療薬の確証臨床を終え、許可手続に向け注力している。

Hippo T&C(히포티앤씨)は ADHD 関連の診断技術と治療薬として注目されている。VR 機器を利用して ADHD を診断し、集中力強化と過剰行動調節を訓練できる「AttnKare Solution(어텐케어 솔루션)」を開発したのだ。瞳、手、体の動きデータを AI が分析してくれる。開発完了後、確証臨床試験に突入するそうだ。このほか、口腔内科専門医が設立した Click Sound(클릭사운드)は、顎関節疾患の治療を支援する顎関節デジタル治療機器アプリを作っている。

現在、Emocog、Haii、Welt はいずれも許可直前の段階であるデジタル治療機器の確証臨床承認を受けている。また、Welt は品目許可承認申請を準備しており、年内に国内1号目となるデジタル治療薬が市場に出てくるかもしれない。健康保険の適用など解決すべき問題は残っているが、デジタル治療薬の活用性が多様な分野に拡大しており、関心は続く見込みだ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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