#29 日本から世界へ投資、エンタメ特化web3ファンドの強み〜Emoote 熊谷GP × ACV唐澤・村上〜

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容の一部をテキストとして掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を組み、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

web3の可能性については、国・地域や市場の違いをあまり意識せずに成長を続けるグローバルなムーブメントとなっていることは各所で言及されています。それだけの可能性がありながら、日本から世界のweb3スタートアップへの投資は、まだまだ限定的なものです。海のものとも山のものとも分からないという人たちや、そういった懐疑心が可能性にベットしようとする思いを上回っているのが現状でしょう。

そんな中で、日本を代表するゲーム開発やIPプロデュース会社であるアカツキはいち早く、昨年9月にweb3ファンド「Emoote(エムート)」を立ち上げ(公表されたのは今年5月)、ここ1年あまりの間に数十ものweb3スタートアップへの投資を実行しました。「移動で稼げる(move-to-earn)」モデルを提案したGameFiプロジェクト「STEPN(ステップン)」への早期の投資は、このファンドの存在を世界に知らしめるきっかけとなりました。今回は、Emooteのジェネラルパートナー熊谷祐二さんにお話を伺います。

ポッドキャストで語られたこと

  • エンタメ領域に強いグローバルweb3ファンド「Emoote」とは
  • あえてシナジーを求めない理由
  • コミュニティへの還元を意図した勉強会「Booost」への反響

熊谷:Emooteのジェネラルパートナーをやっております熊谷祐二と申します。Emotteはアカツキという日本のエンタメ会社の100%子会社としてシンガポールベースで今Web3ファンドを運用しています。

昨年の9月にWeb3の投資を始めまして、特徴としては大きく3つあると思います。

一つ目がシンガポールをベースにして、グローバルに投資をしていることです。元々母体が日本にあるので、日本やアジアの強みを生かしながらグローバル市場に出ていきたいと思っています。

二つ目が領域を絞っていることです。エンタメ・メディア・ライフスタイルにずっと絞っていまして、これは元々アカツキのミッションとも関わってずっと投資をしてきてるところです。

三つ目がトークン投資を中心にしているということです。エクイティとトークンとそれぞれ投資の仕方があるんですけれども、僕らはトークノミクスをどう描くのかっていうところが一番の関心ごとで、これこそがWeb3の大きなイノベーションだと思っています。なのでトークンの投資を中心に展開するのが大きな特徴かなと思っています。

後ほど詳しく説明すると思うんですけれども、STEPNというmove to earnのランニングアプリとか、BreederDAOという、Andreessen Horowitzなども投資しているGamiFiのNFT Factoryとか、GamiFiの会社などに主に投資をしているファンドです。

唐澤:Emoote は、日本でもかなり流行ったSTEPNにいち早く資本を入れられたことで有名ですけれども、なぜ先ほど挙げられた投資領域にフォーカスされようとしたのですか。

熊谷:Web3をどう捉えるかは、皆さんそれぞれどう参入するかによって変わってくると思うんですけれど、僕らはまずアカツキという会社を母体にスタートしているところが大きな軸だと思っています。

アカツキでは「世界をエンターテインする・クリエイターと共振する」というのをミッションとしてやっていまして、10年以上エンタメの領域を深堀してきたような会社なんです。Web3の投資もあくまでそのアカツキの歴史を踏まえて、未来のエンタメだとかクリエイターの方々の創作活動というものをエンパワーメントする役割にクリプトがなるなということを昨年私の中で確信をしまして、そこからスタートしたというのがすごく大きな賭けですね。

そのきっかけはAxie Infinityだったんですけれども、それ以外の領域、例えばDeFiだったり、プロトコルのレイヤーだったりとかは、僕らが一番関心事があるとか、僕らが一番得意な領域から外れているというところを考えて、あくまでWeb3がエンタメ・クリエイターの方々の創作活動をエンパワーする役割だと定義したときに、そこへの投資や今後の事業機会を模索していこうというのが大きなきっかけで、それを今もずっと貫いてるところです。

唐澤:なるほど。エンタメとかは分かりやすいんですが、ライフスタイルは人の捉えようによって結構広いのかなと思うんですよね。皆さんの中で、ライフスタイルをどう捉えているのですか。

熊谷:もう少し違う言い方をすると消費者に関わるtoCビジネス全般と考えています。ライフスタイルの領域でいうとWeb3に関係なく言えば、例えばDtoCみたいなものってのもそうですね。

新しいコンシューマーブランドを作るというのも、コンシューマービジネスでありライフスタイルの一つだと思ってます。その他で言うとヘルスケアとかフィットネスとか運動みたいなところもそうですし、あとはファッションみたいなものもそうだなと思ってます。こういったもの全般をライフスタイルと定義しています。

唐澤:実はアカツキのミッションは、私も拝見していて、「ハートドリブンワールド」とかいうお話をされて、エモいというか、ハートを大事にするとか、しかもかなり大胆に世の中をエンターテインしていくとか、そういうところに対して共感を持ってたりしたんです。

今回このファンドを通じて、企業側のミッションだけじゃなく、事業とシナジーみたいなものを作っていくっていうのも、事業会社がファンドやるからこそ出てきたりするんじゃないかと思うんですが、そのあたりどういう議論をされるんですか?

熊谷:実は僕らはシンプルに、あまりシナジーは求めてませんというのが結論です。これは今までもいろいろ投資をやってきて思ってるんですけれども、やっぱりシナジーを求めるのは相当難しいですね。直接短期的に協業ができるとか、自分たちのサービスを使ってくれるとかに絞ってしまうと、かなり投資できる領域が狭くなってしまいます。

僕らが今どういうふうに捉えてるかというと、一定しっかり投資のリターンを出しながらも、大きく領域は決めているので、この中で投資している限りはどんなものであっても、知見やネットワークとしてはフィードバックがあると思っているんです。

例えば我々は運よくSTEPNという話題になったものに投資ができましたけど、STEPNがどのようにこのプロダクトを作ったのか、どういうチームでやっているのか、その後この半年どういう歩みをしてきたのかと、大体知ってるわけですね。これを本体にノウハウとして還元したりだとか、ネットワークを還元することができるので、これはもう十分プロジェクト単位で見たときに大きなリターンがあると思ってます。こういった形で領域を絞って、その中に投資をするところのシナジーだけを求めていて、あまり直接的、短期的なシナジーは求めないというのが僕らのやり方です。

村上:知見をうまく活用するみたいなことでは、「Booost勉強会」もされていると思うんですけども、そういったところってすごい良いですね。

熊谷:そうですね、別の角度で例えば、アカツキ本体にはフィードバックは常にしていますし、「Booost」というのは我々が5月から7月にやった勉強会のことなんですけれども、日本のWeb3のコミュニティが、いろんな理由で、どうしても世界から見るとBehindしてるなと思ってるんです。

一方ですごく可能性があると僕らは信じているので、僕らもちょっとだけ世界の投資をさせてもらってノウハウを持ってるわけなんですけども、そのネットワークとノウハウを少しでも何か皆さんに還元して、一緒に日本の起業家やビルダーが世界に出ていくチャンスや土壌にできたら嬉しいなと思って、そういった還元目的で、あの企画はやらせていただきました。

唐澤:僕、もし3ヶ月前に出会ってたら是非Booost一緒に参加させてくださいってお願いしてたと思うんですけど。実際やられてみてどうでしたか? どれぐらい参加者がいらっしゃったのかとか、そのあとの皆さんのフィードバックとか。

熊谷:ありがたいことに、応募はものすごく(多く)いただきました。そこからかなり絞らせていただきました。これまでやられてきた方というよりは、興味あるんだけどまだ知らないっていう方々が取っ掛かりとして使ってくれたりですとか、すごく気合入っている学生の方々だとか、すごく一つのきっかけになったかなというようなイメージを持ってます。

今すぐに彼らがプロジェクトを作って、すぐに世界出ていくかって分からないんですけれども、多分あれをきっかけに、ちょっと一つNFTプロジェクトやってみようだとか、DAOに参加してみようかとか、そういう一押しにはなったんじゃないかなと総括しています。

次回へ続く)

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