複製されたインフルエンサーが働く世界:ディープフェイクをビジネスに活用する方法(2)

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Image credit:Hour One

合意契約がカギ

(前回からのつづき)Hour Oneはグリーンバッグで最高品質のビデオキャプチャーを得るための方法をユーザーに提供している。ベースとなる映像は、AIの学習データだ。Monbiot氏は次のように述べている。

「基本的にその人物のデジタルツイン、例えばCEOを作成します。CEOは私たちが映像を撮影し、バーチャルツイン作成を許可する契約書に署名することになります。この契約には、バーチャル・ツインでコンテンツを作成する権限を持つ人が明記されます。私たちのバーチャル・ヒューマン・コンテンツによって非常にポジティブかつ快適で、心地よい経験をして欲しいと思っています。もし、人々が少しでも混乱や不安を感じたら、それは不信感を生みますし、私たちがなぜこのようなことをしているのかに反するのです」。

Synthesiaによると、このような認可はあらゆる種類のライセンス契約において一般的なものだという。Riparbelli氏は次のように述べている。

「Kim Kardashianは、数十億ドルを売り上げたゲームを作るために、文字通りアプリ開発者に自分の肖像権をライセンスしています。あらゆる俳優や有名人は、自分の肖像権をライセンスしているのです」。

インフルエンサーに画像をスケールアップして提供

合成メディアの一社であるDeepcakeは企業向けではなく、有名人やインフルエンサーがブランドのために使用する公認ディープフェイクのビジネスを手がけている。例えば、ロシアの通信会社MegaFonの広告に使用されるBruce Willis氏の「デジタルツイン」を作成した。このため、DeepcakeがWillis氏のデジタルツインの権利を所有しているという噂が流れたこともある(実際には所有していない)。CEOのMaria Chmir氏は、次のように述べている。

「タレントマネジメント事務所が持つスターと直接仕事をし、TikTokのCMなど、あらゆるタイプのコンテンツに投入できるようなデジタルツインを開発しています。これは、常にロケ地を探したり、非常に長く高価なポストプロダクションのプロセスのような古典的な方法抜きにコンテンツを制作する新しい方法です。数十ドルでブランドアンバサダーになれる完全に合成された人々もいます」。

ユーザーは、これらのキャラクターが言うべきことをテキストで入力するだけだ。「もちろん、カリスマ性をクローンして即興で喋らせることはできませんが、私たちはそれに取り組んでいます」と彼女は続ける。

公認ディープフェイクの未来

Synthesiaは今後数カ月の間でビデオに感情やジェスチャーを追加していくという。Hour Oneは最近、真に没入できる体験を実現するために3D環境をリリースした。Riparbelli氏は次のように語る。

「AI技術の成熟度を考えると、その規模が上がるたび、より多くのユースケースが見出されます。来年は、Facebook広告のようなマーケティングコンテンツが多く見られるようになるのではないでしょうか」。

合成メディア ディープフェイク の企業利用は、まだ始まったばかりだとMonbiotは言い、「しかし、この経済はすでに始まっている」と付け加えた。

via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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