「脳チップ」でデバイス操作——イーロン・マスク氏のNeuralinkが開発計画を公表

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Image Credit: Neuralink

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

イーロン・マスク氏がCEOを務めるNeuralinkは11月30日、カンファレンス「Neuralink Show and Tell, Fall 2022」の壇上で現在の開発状況を報告した。同社が開発するのは人の新たなデバイス入力方法で、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI) の実現を目指している。同社が発表するのは2021年4月にサルがBMIでゲーム操作をする映像を公開して以来となる。

今回の発表ではチップを人間の頭に埋め込む臨床実験を6カ月以内に行うことを明かした。同社はこれまで、豚、サルの脳へ直接電極を指して実験を実施してきたが、人間での実験を予告したのは初である。実証実験に向けてのアメリカ食品医薬品局(FDA)との連携、書類の提出はすでに完了しており、現在は承認を待っているという。

頭蓋骨に穴を開ける大がかりな手術が必要となるため、装着をイメージできない人も多いかもしれないが、マスク氏は発表の中で「頭蓋骨の一部をスマートウォッチに置き換えるようなものだ」と説明している。

サルの実証実験ではゲーム「PON」のゲーム操作でとどまったが、実際人間での実験となると、マウス操作に加えて文字の入力などのキーボード操作などが想定され、例えば眼球の動きだけでデバイスが操作できる未来も想像できるようになる。

Image Credit: Neuralink

マスク氏はその他にも、2つのプロジェクトに取り組んでいることを明かした。1つは「脊髄インプラント」だ。脊髄損傷で下半身などに麻痺を抱えた人の運動能力を回復させる狙いがある。もうひとつが「眼球インプラント」だ。こちらは視力の回復を目的としている。マスク氏はどちらも実現に確信を持っていると語っている。

同社は脳インプラントのBMIを始め、侵襲的(身体の中に直接デバイスを埋め込み、ケーブルが身体から出ている状態)なアプローチを取っているため、非難の声も上がっている。

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