
2022年も12月に突入した。今年もテクノロジー業界では様々な出来事があったが、その中でもGenerative AIにはエポックメイキングなトピックが多かったように思う。特にテキストを入力すると二次元のイラストを自動生成するNovelAIとStable diffusionの登場とそのクオリティは大きな注目を集めた。
NovelAIは10月に登場して1か月の時点で1億2000万枚以上のイラストが生成され、後に続いたWaifu Diffusion、TrinArt、NijiJourney、Anything v3、EimisAnimeDiffusion、Cool Japan Diffusion、AltDiffusion、UPaintingなども合わせると10億枚を超える可能性がある。しかし、Generative AIが影響を及ぼす領域は身近なクリエイティブにはとどまらない。そこで今回は、サービスの一部に組み込まれることで大きな価値を生み出している事例を紹介しようと思う。Gartner が2022年のテクノロジートレンドになると昨年予想した通り、大きなトレンドとなったGenerative AIはどのようなサービスに活用されているのか、是非ご覧いただきたい。
Tabnine

AIコード補完サービスを提供するTabnineはイスラエルに拠点を置くスタートアップだ。Crunchbaseによると、これまでに3,210万ドルを調達している。
AI補完というと、Grammarlyのような間違い訂正のようなものを想起する人もいるかもしれないが、同社のサービスは記述されたコードそのものを過去のコードと比較することで再利用可能なコードを提案する。エディタにTabnine APIを接続すると、作成中のコードをリアルタイムで確認し、状況に応じてAI エンジンにクエリを実行し、次の行やスニペット、コードブロックなどを提案する仕組みとなっている。
VentureBeatの取材に答えた同社CEOのDror Weiss氏によると、Tabnine APIを接続するとコードの30%〜40%に自動生成されたコードが使用されているという。フレームワークやツール、新しい言語など、開発環境が目まぐるしく変化する一方で、コーディングの部分には大きな変化がないのが現状だ。同氏は「全コードの90%はすでに書かれており、ゼロから作成する必要はない」と主張する。現在同社はPython、JavaScript、Java、C#、TypeScriptなどを含むVisual Studio CodeとIntelliJ IDEのエディタで使える31の言語で利用することができる。
コードを自動生成するスタートアップは他にも存在する。同じイスラエルにあるCodotaはエンジニアが書いているコードをオートコンプリートする。こちらも資金調達に成功しており、シリーズAまでに1,600万ドルを調達し、GoogleやAmazon、Netflix、Alibaba、Airbnb、Atlassianなどの顧客を持つ。
アプローチが違う競合にはパリのSourceAIがいる。コードのアイデアを提案する点は前出の2社と同じなのだが、SourceAIはテキストに基づいてコードを生成する。「与えられた2つの値を足し算する」とテキストで打ち込むとコードで返してくれるというものだ。これまでも機械言語から徐々に人間が扱う言語に近付いてきたが、自然言語の技術とAIの発達で同化しようというところまで発達してきた。まだ実践投入の事例はないようだが、今後の展開が期待されている。
次につづく:AIと会話してシナリオ進行するRPG「Latitude」/注目集まるGenerative AI(2)
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