コロナ対策緩和の中国でパニック買いが急増、品薄薬の購入や配達遅延対策にあの手この手

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Image credit: Marco Verch Professional Photographer
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中国が3年近く続いたゼロコロナ対策を急速に緩和したことで、消費者は大きな影響をいくつも感じている。注目すべきは、特に中国の主要都市で、オンラインとオフラインの両方のチャネルを通じて、解熱剤とラピッド抗原検査キットが品薄になっていることだ。宅配便の滞留、フードデリバリの遅延、さらには近隣のゴミの堆積も、広範な感染が見られた最初の都市の一つである北京や、その他の都市で見られるようになってきている。

先々週、中国当局は厳しいコロナ政策を緩和し始めた。この政策は、最初の感染拡大以来、感染状況を低く抑えることに貢献してきたが、個人の動きを抑制し、経済にショックを与えることにもつながっいた。この変化の最新の兆候として、中国の国家衛生委員会は14日に、大量検査の減少により正確なデータの把握が不可能になったとして、無症状の患者を今後数えないと発表した。

アナリストの中には、この政策転換が中国経済の活性化につながり、中国国内の最近のサプライチェーンの混乱が解消されると期待する人もいるが、主要都市部の消費者は特に困難な時期を経験している。

解熱剤の駆け込み需要

イブプロフェンやタイレノールなどの解熱剤や、ビタミン C が豊富な桃の缶詰やレモン関連食品が、Taobao(淘宝)や JD(京東)などのオンラインショッピングで品薄になっている。こうした品不足のため、消費者は現在進行中の新型コロナ感染への対策として、これらの必需品を購入するクリエイティブな方法を模索している。

今週初め、ソーシャル e コマースプラットフォーム「Xiaohongshu(小紅書、またの名を RED)」の一部のユーザが、へき地の薬局から発熱薬や風邪薬を元値で購入するあまり知られていない方法を紹介し、話題となった。

ある Xiaohongshu のユーザーは、生活サービスプラットフォーム「Meituan(美団)」の位置情報を中国南西部の雲南省、四川省、広西省などに変更すると、イブプロフェンを簡単に手に入れることができると主張した。そして、宅配便業者に薬局から商品をピックアップしてもらい、2〜3日かかるものの、自宅のある場所まで郵送してもらうことができるのである。

このような取り組みにより、中国の多くの都市で不足している解熱剤を数千キロ離れた場所でも手に入れることができるようになった一方で、へき地では在庫切れが相次ぐという事態を招いた。

中国メディアの Jiemian(界面)によると、13日の午後から、ユーザは Xiaohongshu で、住んでいる場所とは違う場所での薬の購入に関する内容を検索できなくなったという。

新型コロナの感染拡大が始まって以来、解熱剤、咳止め、抗ウイルス剤、抗生物質を購入する個人に対して、全国的に厳しい管理が行われており、当局は感染者の早期発見に注力している。これらの医薬品を購入しようとする人は、2020年初頭から、医薬品を販売する薬局に個人情報を登録することが義務づけられた。

例えば、北京では1月から、これらの薬の購入者は72時間以内に PCR 検査を受けるか、公共の場に立ち入れないよう警告を受けることが新たな規則として義務づけられた。しかし、しかし新型コロナの感染が全国的に急増しているため、需要が急増しているのだ。

上海に住む Saya は TechNode(動点科技)に、香港で働く彼女の友人が最近、中国本土で抗原検査キットや風邪薬などの市販薬を地元薬局で買えない人を助けるようになったと語った。この友人は、薬を梱包して購入者に宅配便で送り、購入者は200香港ドル(約3,500円)程度の送料で、最短で2週間程度で商品を受け取ることができるという。

一方、香港紙 Ming Pao(明報)は先週初め、中国本土出身者のパニック買いはすでに香港でも影響を及ぼし、地元薬局で解熱剤が不足しているとの見方を示したと報じている。

中国メディア The Paper(澎湃)によると、Meituan の薬チャンネルは、北京、上海など需要が急増している6都市で「市中薬検索」機能を開始したという。

圧力にさらされるデリバリサービス

中国での突然の解放策は、オンデマンドデリバリや宅配サービス事業者にも新たな課題を突きつけた。

発熱関連薬の駆け込み購入に加え、スーパーマーケットやショッピングモールなどの高密度な場所に足を運ぶ消費者が少ないため、全国的に日用品をネット宅配サービスに頼るようになったのだ。こうした急激な需要増に加え、宅配業者の仕分けや配送を担当する従業員がコロナ陽性反応を示したため、人手不足に陥っている。

国家郵政局の公式発表によると、12月11日現在、全国で400以上の配送拠点がまだ閉鎖されている。

e コマース大手の JD は、北京での配達問題を緩和することを目的として、同社が一時的に動員した1,000人以上の配達員が14日に北京に到着した。先週、さらに数百人が到着するとの予定だ。

複数の北京市民が TechNode に語ったところによると、Meituan と Alibaba(阿里巴巴)傘下の「Ele.me(餓了麼)」では通常通り注文できるが、以前より配達時間が長くなっているとのことだ。以前は平均40分で受け取れた配達が、今では少なくとも90分の待ち時間になっていると言う人もいた。

北京でのサービスを安定させるため、Meituan はアルバイトの配達員を雇っているという。一方、Meitan は23都市で抗原検査キット、イブプロフェン、VC 発泡錠を配達員に支給しているという。

アリババ傘下のスーパーマーケットチェーン「Freshippo(盒馬鮮生)」では、北京の事務員の半数を梱包などのサポート職に配置転換し、一部の店員が配達員のアルバイトをしていると、地元メディアの China Times(中国時報)が13日に報じた。

【via TechNode】 @technodechina

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