ChatGPTに兄弟分登場、メールを自動返信してくれる「Ellie.AI」に2日間で500人の利用申込が殺到

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「Ellie.AI」
Image credit: OpenAI

OpenAI が作成した自然言語会話モデル「ChatGPT」は、近年世界的に普及し、エッセイの執筆、絵本の執筆、質問への回答など幅広い用途で利用されている。今月、OpenAI モデルをベースにしたもう一つのボット「Ellie.AI」が誕生した。

Ellie.AI はチャット用ではなく、受信箱にあふれるメールを解決するためのものだ。 自動的に返事を書くことができ、さらに返事のトーンを選ぶこともできる。フォーマル、インフォーマル、インタレストというボタンがあり、クリックすると Ellie.AI がすぐにメールを書いてくれる。

Ellie.AI は、どのように人間の感情や口調を真似てテキストを書くのだろうか。

ユーザの書き癖を模倣し、丁寧なメールを自動で書くEllie.ai

Ellie.AI は、ChatGPT と同じく、14日に発売されたばかりのデジタルツールで、OpenAI が開発した言語モデルをベースに、ユーザに代わってテキストを自動で書いてくれるというものだ。

OpenAI は、Tesla の CEO で Twitterの新ボス Elon Mask氏、Y Comnbinator の元社長 Sam Altman 氏が設立したアメリカの AI 研究所で、AI の力を社会全体のために活用することをミッションに掲げている。

2022年11月、OpenAI が ChatGPT をリリースすると、生成される答えはまだ不正確で、データベースも2021年までしか更新されていないのに、1週間で数百万人のユーザが使用し、すぐに普及した。

文章の自動生成も得意とする Ellie.AI は、この製品をオンラインワークプレイスに応用し、全く白紙の状態からメールを書き始める場合、あるいは、途中まで書いていて Ellie.AI に続きを書いてほしい場合、いずれでも自動的にメールを書くことを支援するのだ。

同時に、Ellie.AI は5つのボタンで「敬語」「カジュアル」「迷惑」の3つの形容詞と「面白い」「面白くない」の2つの形容詞から1つを選び、メールにふさわしいトーンを演出することができ、さらにユーザのいつもの返信のクセを学習して、できるだけ自然な返信になるように設計されている。

例えば、仕事のメールに返信する場合、「尊敬」「笑わない」をクリックすれば、フォーマルな文章のメールが生成されるし、「イライラ」「面白い」を選択すれば、#ハッシュタグのジョークが使われたり、ノリの良い文章が追加されたりする可能性がある。

 

Ellie.AI を創業した James Iving 氏とは

Ellie.AI 創業者 James Ivings 氏の過去と言えば、2017年にソフトウェア開発会社 Squarecat を設立し、ソフトウェアのフロントエンド技術を中心に、企業の MVP(最小実現商品)や SaaS ソフトウェアのプロトタイプの構築を支援してきた。

2019年にはメール領域に参入し、人々のメールボックスをよりすっきりさせることに特化したデジタルツール「Leave Me Alone(仮訳:私のことはほっといて)」を生み出し、多くのスタートアップがプロダクトの発表に選ぶプラットフォーム「Product Hunt」の年間ゴールデンキャット賞(ベスト副業賞)に認定された。過去に受賞した Figma や Robinhood とともに歴史に名を刻んでいる。

Leave Me Alone は、メール送信者を選別し、ニュースレターの「配信停止」を支援するデジタルツールだ。送信者ごとに送信されたメールの数を計算し、ユーザが一部を残すかブロックするかを選択できる「Inbox Shield」と、配信停止するかどうか悩んでいるメールを受信トレイ以外のエリアにまとめ、ユーザが随時閲覧できる簡単なまとめメモを生成する「Rollups」の2つの機能を備えている。

「Leave Me Alone」のロールアップ機能では、ニュースレターの内容を要約してまとめることができる。
Image credit: Leave Me Alone

メールには「力の不均衡」が存在すると考えている。メールユーザであるあなたは、誰があなたにメールを送ることができるかを制御することはできないからだ。

Ivings 氏は、受信箱の乱雑さの問題を解決するだけでなく、Ellie.AI を使って迷惑メールに自動的に返信することで、メールユーザの主導権を取り戻したいと考えている。

こうした人々は、ほとんど罰なしに大量のメールを送ってくるが、Ellie.AI を使って、簡単かつなりすましで自動的に返信すれば、その力を少しは取り戻すことができるのだ。

Ellie.AI は現在 Google の拡張機能としてのみ提供されており、まだ正式に提供されていないため、Ivings 氏が Twitter で招待コードを共有し、一般の方が試せるようにしたところ、2日間足らずですでに500人が招待状を請求し、年間20米ドルの早割価格で Ellie.AI が提供されているとのことだ。

世界で最も人気のあるチャットボット ChatGPT にしろ、未来の職場を再構築する駆け出しの Ellie.AI にしろ、考えなければならないのは、そうした技術がテキストクリエイターのプロの領域にも侵入しつつあるのではないかということだ。 もし答えがイエスなら、人間である我々は日々の仕事をどのように改善できるか——それが新しい技術の賛美を超えた最大の問題となる。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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