SlackにGmailにTwitter——たまり続ける「タブ消化」に特化したブラウザSigmaOS/GB Tech Trend

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400万ドルの調達を果たした「SigmaOS」
Image Credit: SigmaOS

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

今やSlackやGmail、Twitter、Dropboxに至るまで、多くの人が各アプリを縦横無尽にスイッチングしています。このスイッチコストを減らすプロダクトが多く誕生しており、2018年のY Combinator参加組である「Station」などが有名どころとして挙げられます。

今回紹介する「SigmaOS」も、こうした一括管理ニーズに通底したサービスを展開しています。ユーザーが普段使うサービスと連携して1つのウェブアプリ上でサクサクと使えるようにする概念のもので、同社は11月16日に400万ドルの資金調達を発表しています。Stationと同じくY Combinator参加組です。

SigmaOSの特徴は、アプリではなく「タブのスイッチコスト」に注目している点です。Safari、Chrome上で2つ、3つとウィンドウを開き、各ウィンドウ上で多くのタブを開いてしまうといった使い方を誰もが一度はしたことがあるのではないでしょうか。

このタブ問題に一括管理の思想を持ち込んだのがSigmaOSです。同社はブラウザそのものを開発し、「Workspace」と呼ばれる大カテゴリー別にタブを開くことで管理しやすく、かつショートカットキーを使って即座に閉じることができるようにしました。

タブを「タスク」と捉え、なるべくユーザーが大量のタブを抱えないようにする考え方です。

従来の一括管理サービスは、各種メッセンジャーやSNS、データストレージサービスを一つに集約させ、「見やすくなる」「スイッチしやすくなる」といったニーズを満たす目的がありました。他方、SigmaOSは「タブ消化」に特化した生産性ニーズに応えています。

SigmaOSのプロダクト開発が始まったのが2021年で、約2年でここまでの調達に漕ぎ着けています。彼らの成長を加速させた要因としてはStationのような先行事例があったことに加え、「エクストリームユーザーニーズ」の存在が挙げられます。

ここでいう「エクストリームユーザーニーズ」とは、ビジネスマンの中でも特に多忙でありながら、メール対応やブラウジングといった仕事に多くの時間を割いてしまっている、エクストリームユーザー層の生産性ニーズを指します。

このコンテキストにうまく応えた例として、Gmailと連携して高速にメール返信できるサービス「Superhuman」が挙げられます。

Superhumanは1日3時間以上メールに使う、マネージャークラス以上のハイエンドユーザー向けメールサービスです。Gmailと連携すると、Superhuman独自のインターフェース上でGmail経由で舞い込んでくるメールに対応できるようになるもので、月額30ドルとかなり高価なサービスです。特徴的なのはSigmaOSと同様に、メールを「タスク」だと捉え、ショートカットキーを用いて秒速でタスク対応できるUXを採用している点にあります。

現在、SigmaOSがSuperhumanほどにハイエンドユーザー向けに振り切っている印象はありませんが、少なくとも「メール消化」を「タブ消化」に置き換え、ショートカットキーですぐに対応できるようにする導線には共通点が多くあります。

Superhuman同様、1つの仕事に1日の大半の時間を費やすハイエンドユーザー層へアプローチできる可能性をSigmaOSは秘めています。今後どこまでユーザー数を伸ばせるのか期待が高まります。

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