【追記あり】250億円評価でMUFGが買収、カンムとは何者か【報道】

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カンムでPool事業に取り組んだチームのみなさん(写真提供:カンム)

12月27日17時追記:正式発表となったので公表された事実含めて追記する。本誌ではカンム代表取締役の八巻渉氏にインタビュー予定でこちらは後日公開予定。

ニュースサマリ:国内フィンテック・スタートアップのカンムが年末に大型買収の話題を持ってきた。日経が報じている内容によると、三菱UFJ銀行が来年春にも同社を子会社化するとしている。発行済み株式の7割を約200億円で買い取るもので、本紙が得た情報を元にそこから割り出した評価額は約250億円。

追記:公式の発表があったので、該当箇所を追記する。カンムは株主であるフリークアウト・ホールディングスおよびその他の株主が保有する一部株式を三菱UFJ銀行に譲渡することでMUFGグループへ参画することを公表した。既に本誌でも伝えているが、関係者などの話をまとめると、MUFGが取得する株式はカンムの発行済み株式の約7割、カンム全体の株式評価額は約250億円となる見通し。

フリークアウト・ホールディングスが出した適時開示の情報(リンク先はPDF)によると、同社が保有するカンムの株式を総額約140億円で売却する。譲渡契約は27日付で、取引の実行日は3月31日を予定。同開示によると、カンムの2021年度12月期の決算は売り上げが約38億8500万円、経常利益が8,000万円。フリークアウト・ホールディングスでは今回の取引で得た108億円(税引き後で106億円)をM&Aの資金に充てるとしている。

カンムが公表している最終の投資ラウンドは2020年8月。資本政策を整理すると2013年にはEastVentures、ANRI、個人投資家を引受先とする第三者割当増資で4300万円を調達。2016年9月に公開したプリペイド型Visaカード「バンドルカード」が若年層を中心にヒットした。これを受けて2018年1月にはフリークアウト・ホールディングスとは資本業務提携を実施し、およそ30億円の段階的な出資を受けている。上記以外でカンムに出資している株主はISGS、アドウェイズ、クロノスファンド(現アントレプレナー)、TLMおよび有安伸宏氏、梅田裕真氏を含めた個人投資家5名と創業者となっている。累計調達金額は約44億3000万円。

MUFGによる連結子会社化についての追記はここまでとする。

現在、カンムが発行するプリペイド型クレジットカード「バンドルカード」をMUFGのデビッドカードに取り込む狙い。10代から20代が支持しているカードで、アプリから即時発行できるのが魅力。ダウンロード数は公表されている数値で600万件で利用者の流通総額などは開示されていない。現在のカンム経営体制についてはそのまま継続される。

参考記事

話題のポイント:ということで正式発表となりましたカンム買収の件、国内のフィンテック・スタートアップ(投資金を入れて急成長する未公開企業)買収ではここ10年で2番目、全体通しても5本の指に入る高評価を得た形になりました。

なお、国内組で最大の買収案件は昨年9月に大きな話題になったPayPalによる日本のBNPL(Buy Now, Pay Later、後払い)スタートアップ Paidy(ペイディ)で、買収金額は27億米ドルです。当時の為替では110円ほどだったので、おおよそ3,000億円と桁違いです。国内における大企業・スタートアップ同士の買収であればKDDIが創業3年のソラコムの発行済み株式の過半数を200億円で取得し、子会社化した件があります。

2022年のスタートアップ・マーケットはご存知の通り各種要因から冷え込んでおり、IPO組の公開価格の平均が82億円(中央値)と昨年から半減しています。上場かM&Aか、という二極論はナンセンスですが、それでも内部留保が厚い大手としては新しい成長ドライバーを事業に組み込むチャンスといえるかもしれません。

さて、カンムといえばバンドルカードです。以前の取材でその利用シーンを次のように記載しました。

普段、クレジットカードやデビットカードを使っている人からすると一瞬、用途が分からないかもしれませんが、主に活躍するのはオンライン決済のシーンです。特に若年層でクレカがそもそも持てない年代だったりすると、オンラインでアプリをひとつ買うのに親のカードを使う必要があります。そういうケースにさっとアプリでVisaの番号を発行し、必要な分だけチャージして使わせることが可能になります(セブン銀が11億出資したカンム、250万DL「バンドルカード」の次に狙うは“決済×投資”領域)。

この成長を後押ししたのが今回、MUFGが狙いを定めた「後払い(BNPL)」機能でrす。バンドルカードには「ポチッとチャージ!」という後払いの仕組みがあるのですが、これを提供してから利用者が一気に伸びたという話もあります。

日経の記事も指摘している通り、ネット銀行やカンムに代表されるネオバンク系サービスが若年層の利用を取り込む中、自社よりも買収という選択肢を取ったのは納得感があります。ちなみにMUFGは同じような動きとして東南アジアでもBNPL関連の投資を加速させており、先日にも新たな投資検討の報道があったばかりです。

参考記事

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2011年当時にカンムも入居していた柳ビル。写真中央はみんなのマーケット社(写真提供:カンム)

そしてカンムの八巻さんと言えば、2010年代を代表するスタートアップ集団の一員という側面もあります。今回、彼らに投資をして大きな譲渡益を得ることになったフリークアウト・ホールディングスをはじめ、クラウドファンディングのCAMPFIRE、流通総額がすごいことになっていると噂のみんなのマーケット(くらしのマーケット運営)、コイニー(現在はSTORES)、メルカリ、BASEなどと共に「柳・セイコー・六本木ビル(※現在は取り壊されてなくなってます)」に入居していました。

全員、学生や若手起業家ばかりで、私も時折、この場所で取材させてもらっていたのを記憶しています。2000年には渋谷ビットバレーという集まりがありましたが、2010年代は六本木でみな、スマートフォンシフトの波乗りをしていたのです。結果、多くのスタートアップが大きな結果を残したというのはひとつ、語り継がれるべきストーリーかもしれません。

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