物流DXのモノフル、エコシステム活性化に向け150億円超規模のファンド組成へ——事業会社複数が出資

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Image credit: Monoful

モノフルは、世界的物流施設大手 GLP の日本法人である日本 GLP 傘下で物流業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)に特化したサービスを提供している。モノフルはスタートアップへの投資に特化したファンドとして、Monoful Venture Partners 1号ファンドを組成し、ファーストクローズを迎えたことを明らかにした。

モノフルはこれまでに129億円を集めており、最終的なファンド規模は150億円超を目指す考えだ。これまでに出資、または、出資をコミットした LP は、SMBC 日興証券、京王電鉄(東証:9008)、Sun Asterisk(東証:4053)、凸版印刷(東証:7911)、三井住友信託銀行、GLP グループ、名前非開示の事業会社1社の合計7社。各社はファンド出資を通じ、出資先スタートアップとの協業可能性などを模索する。

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モノフルは2017年に設立され、これまでに SaaS プロダクトの開発とスタートアップ投資(これまでに8社)を通じて、物流 DX を牽引してきた。モノフル代表取締役の藤岡洋介氏によれば、物流は一社だけに閉じることがないため、業界全体で DX を進めるべくエコシステムを構築してきたが、今回のファンド組成は、より多くのプレイヤーを巻き込み、この動きを加速させる意図があるという。

筆者が最初話を聞いたときには、モノフルがバランスシートから実施していたスタートアップ出資をファンドに付け替えるだけかと思っていたが、実はこのファンドは、CVC ではなく VC である。ステイクホルダーは GLP グループやモノフルだけでなく、業界の異なる複数社が、純投資、事業シナジー、オープンイノベーションの可能性を見出そう、というものだ。

モノフル代表取締役の藤岡洋介氏

業界全体に地殻変動を起こすには、金額は小さくはなかったものの、モノフルのバランスシートからの単独出資では限界があった。今回のファンドは GLP を成長させるというより、物流業界全体を DX するためのファンドだ。

GLP が日本国内で持つ(物流施設不動産の)床面積は1%台と決して大きくない。我々だけが DX しても業界全体に対するインパクトは弱く、物流業界と繋がりのある、より多くのプレーヤーに関わってもらう必要があった。(藤岡氏)

このファンドの性格で面白いのは、GLP グループの立ち位置だ。通常、物流会社が自ら CVC を作った場合、その CVC は自社の投資活動やオープンイノベーションのためのビークルであるから、競合他社が共同出資することはまず無い。ただ、互いに競合関係である物流会社も、GLP の前では等しく大事な顧客であるため、共に仲良く DX 促進に相乗りしましょう、という構図が作れる可能性があるのだ。

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また藤岡氏によれば、名の知れたメジャーを除き、物流業界の99%は中小企業で構成されていて、彼らは CVC を作ることはおろか、社内に DX を進めるような大規模な投資を行う余裕はないという。ファンドが中心となれば、スタートアップの作り出した DX ソリューションを複数社で共同利用するようなスキームも作りやすい。そのためにも、モノフルはさらに LP を集める計画だ。

モノフルがこれまでに出資したスタートアップへの出資は、今後、Monoful Venture Partners の1号ファンドからの出資に移管される予定だ。モノフルでは、これまでバランスシートから単独出資してきたポートフォリオの実績を新ファンドのトラックレコードとして捉えてもらうことで、新ファンドながらも新たな LP からの信頼獲得や出資に繋げたいとしている。

モノフルが開発・運営する SaaS、出資先スタートアップなどで構成されるエコシステム(2022年12月現在のもの)
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