スケジュール作成・管理機能が充実、訪問看護・介護向けSaaS「CareMaker」/Monthly Pitch! スタートアップの扉

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CareMaker CEO 山村真稔氏
Image credit: CyberAgent Capital

本稿はベンチャーキャピタル、サイバーエージェント・キャピタルが運営するサイトに掲載された記事からの転載

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サービス概要:CareMaker」は、在宅医療・介護に特化したAIによる訪問スケジュール管理クラウドです。訪問ルートや希望条件を考慮し、スケジュールを自動で最適化できるAIを搭載。作成業務に必要な時間削減に加えて、スタッフの移動効率化を通じた稼働率向上までサポートします。

Monthly Pitch編集部はココに注目:近年の高齢化もあって、訪問看護や訪問介護のニーズは高まっています。その際の課題は、移動を伴うスケジュールの調整です。利用者が増えれば増えるほどスケジューリングは大変になりますし、利用者の体調の変化に伴い緊急で訪問しないといけないといった特別な事情が発生することもあります。単純に空いている枠を埋めればいいというわけではなく、ルートや条件を考慮しなければならず、これに現場は非常に苦労しているそうです。また、情報はアナログで非効率に管理されており、朝に作成したシフトが夕方には赤ペンで修正まみれといったことは珍しくありません。

こんな状況で活躍するのが訪問看護・訪問介護向けスケジュール管理クラウド「CareMaker」です。住所情報を元に効率的なルート設計をし、利用者の訪問希望日・条件を踏まえて自動で約10秒ほどで最適なスケジュールの候補を提案してくれます。導入企業からは「作成業務が90%削減された」「緊急事態があってもすぐに日程調整できる」という嬉しい声が寄せられているそうです。

Image credit: CareMaker

詳細:国の政策として、高齢者の介護は、施設での介護から在宅での介護へと転換が図られつつある。その理由は、今後、介護人材の数が大幅に不足すること、そして、増大する社会保障費の抑制だ。自宅で介護を受ける場合、高齢者は訪問介護士の世話を受けることになるが、施設における介護と異なり、スケジューリングや移動といった考慮すべき要素が増える分、介護施設や介護士はより効率的な運用を実現するための仕組みが必要になる。「CareMaker」はまさにそのためのSaaSと言って良いだろう。

デスクワーカー向けのSaaSが一通り行き渡って市場が飽和する中、介護士をはじめとするデスクレスワーカー向けSaaSが、未開拓の市場として脚光を浴びている。ユーザはパソコンの前に座っていないことが多いためモバイルで使われることが前提、ITリテラシーの高い人ばかりが使うわけではないためインターフェイスに工夫が必要など、ユーザが受け入れやすいメリットを増やすことでそれが差別化要素となり、その業界バーティカルでは寡占的なプレーヤーになれる可能性がある。

介護分野のプラットフォームはこれまで、介護施設と介護士をマッチングしたり、海外では介護士と高齢者ユーザを直接マッチングしたりするなど、いわゆる需給ギャップを埋めるサービスが多かったように思うが、それと並行して、今後は業務を効率化するサービスの隆盛が高まるだろう。日本では、介護報酬の見直しや外国人介護人材の受け入れで、介護士不足には一定の効果が見られるだろうが、抜本的な対策にはなりにくい。少ないリソースで多くの業務をこなす、日本で今後進化が期待される領域の一つだ。

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