出産支援「Billy」や金融AIのAkrosがZVCらから、不動産評価VOSがSBIらから調達——韓国スタートアップシーン週間振り返り(12月5日~9日)

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Image credit: Village Baby, Value of Space(VOS), Akros Technologies

12月5日~12月9日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは13件で、資金総額は1,100億ウォン(約110億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • 外食専門企業 GFFG が初めて300億ウォンを機関投資家から調達した。ドーナツの「Knotted(노티드)」、自家製バーガー「Downtowner(다운타우너)」など、9つの外食ブランドを運営しており、金融、IT など多様な産業とコラボレーションを進め、昨年は売上が700億ウォン(約70億円)を記録した。今回調達した資金で、ポートフォリオを多角化し、海外進出に注力する。
  • グルメキュレーションプラットフォーム「Kaviar(캐비아)」が110億ウォン(約11億円)を調達した。レストランがシグネチャーメニューを簡単に商品化できるようにする事業、フランチャイズや食材供給などの事業を進めている。
  • 映像 AI 検索プラットフォーム「Twelve Labs(트웰브랩스)」が国内外の投資家から160億ウォン(約16億円)を追加調達し、合計220億ウォン(約22億円)を調達してシードラウンドを完了した。2021年に設立され、自然言語による問いかけにより、映像の中で特定のシーンを見つけることができるサービスを提供している。 AI を利用し、動画の中の物体、人、音、会話などを抽出して関係性を識別する。調達した資金で、映像に特化しあ大型 AI モデルを開発する計画だ。
  • 給与先払サービス「PayWatch(페이워치)」がプレシリーズ A ラウンドで130億ウォン(約13億円)を調達した。労働者が無利子で最大200万ウォンまで借用できる金融福利厚生サービスを提供している。調達した資金を使ってサービスを高度化し、2023年にはフィリピンや香港などに進出する計画だ。

トレンド分析

拡大するロボット産業…ロボットスタートアップの資金調達

ここ数年は B2C 向けオンラインプラットフォームが投資市場で注目を集めているが、最近は B2B 向け製造業のスタートアップに資金が集まっている。特にロボット産業関連のスタートアップが大規模な投資を受けている。Startup Recipe(스타트업레시피)の調べでは、今年のロボット分野におけるスタートアップ投資は、特に外食、物流などで活躍するサービスロボットが投資会社からのラブコールを多く受けた。

Bear Robotics(베어로보틱스)は今年1,000億ウォン(約100億円)を調達した。ロボットスタートアップとしては、最も多くの資金を調達したスタートアップで、累積調達額は1,450億ウォン(約145億円)を超えた。シリコンバレーに本社を置く Bear Robotics は、食堂で従業員の代わりに食べ物を運ぶ自動運転給仕ロボットを開発し、ロボットスタートアップでは初のユニコーンの座を狙っている。

VD Company(브이디컴퍼니)も給仕ロボットとしては初の外部資金99億ウォン(約9.9億円)を調達した。レストランチェーンの「Vips(빕스)」や「Ashley Queens(애슐리퀸즈)」などで見られる給仕ロボットを中心に、レストラン自動化ソリューションに事業を拡大している。

もう一つの給仕ロボットスタートアップ RGT(알지티)は昨年40億ウォン(約4億円)を調達したのに続き、今年 Barogo(바로고)NICE Group( 나이스그룹、韓国情報信用評価)などから戦略的投資を受けた。

ロボット配送に挑戦するスタートアップにも大きな資金が流入した。都心型自動運転ロボット開発企業 Neubility(뉴빌리티)は230億ウォン(約23億円)を調達し、屋外配送ロボットを作っている。Neubiliy はカメラを使って自動運転ソリューションを採用しコストも削減した。現在セブンイレブンと協力し、カンナム(江南)西部のパンべ(方背)周辺でコンビニ商品を配送するロボット配送の実証実験を進めている。

日常の中でさまざまななサービスロボットをモノ作る場所もある。XYZ(엑스와이지)はコーヒーやアイスクリームを作るロボットアームで無人店舗を可能にする。最近では、自動運転ロボットのスタートアップ Cobot(코봇)を買収し、無人店舗から無人配達に領域を拡大している。Roboarete(로보아르테)は、共用ロボットアームでチキンの仕込みを自動化した企業で、1時間あたりチキン50羽分の調理を可能にする。

物流現場の問題を解決する物流ロボットやソリューションにも投資が集まった。物流自動化ロボットを披露した Floatic(플로틱)は設立から1年で大企業の戦略的投資家などから34億ウォン(約3.4億円)を調達した。e コマース物流センターでロボットを活用し、オーダーピッキング作業を自動化する。

Daim Research(다임리서치)も物流ロボットシステムを設計しソリューションを提供、物流環境の自動化をサポートしている。また、B2B企業向けにロボットソリューションを提供する Clobot(클로봇)は、顧客が導入したいロボットハードウェアと実際の運用環境を考慮してロボット特化サービスを実現する。Thira Robotics(티라로보틱스)も自動運転ロボット技術を保有し、ロボットとソフトウェアの両方を開発している。

韓国政府は自動運転ロボット市場活性化のために LG 電子や KT などの企業とアライアンスを組んで協力する一方、ロボット分野の人材養成などを推進し「K ロボット産業(K 로봇산업)」の育成に乗り出す計画だ。屋外での自動運転規制など障壁が依然として存在し、協働ロボットの現場運営規制などがロボット企業の事業拡大を妨げており、法改正などによる環境改善が必要な状況だ。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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