東南アジア発、2023年注目のスタートアップ(7):デジタル版「母子健康手帳」で母親をユーザ獲得、育児EC市場を狙う「PrimaKu」

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開会の辞を述べる、サイバーエージェント・キャピタル取締役の北川伸明氏
Image credit: Masaru Ikeda

これは、CyberAgent Pitching Arena 2022年冬版の取材の一部だ。

サイバーエージェント・キャピタル(CAC)は12月1日、東南アジアのスタートアップと投資家が参加するピッチイベント「CyberAgent Pitching Arena」の2022年冬版を開催した。新型コロナウイルスの感染状況をひと段落したのを受けて、今回は3年ぶりの対面型(in-person)での開催となった。東南アジアから10社が登壇し、約80名の投資家が参加した。

サイバーエージェント・キャピタルではかねてから国内スタートアップや投資家を対象に「Monthly Pitch」を開催しているが、その国際展開として、2019年にジャカルタで海外版 Monthly Pitch を開催。以降、2021年1月に第2回目となる東南アジア版では「Monthly Pitch Asia」として、2021年9月に開催された第3回から「CyberAgent Pitching Arena」として運営している。

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イベントでは、サイバーエージェント・キャピタルの取締役で中国法人代表を務める北川伸明氏による開会の辞に続き、インドネシア、ベトナム、タイからのスタートアップ10社がピッチを披露。続いて、投資家から寄せられた質問に対して回答する Q&A セッションが展開された。投資に関心を持った投資家は今後、各スタートアップの代表らにコンタクトすることになる。

今回は、ピッチ登壇したスタートアップ10社のうち、PrimaKu を取り上げる。

PrimaKU(インドネシア)

ピッチする CEO の Muhammad Aditriya Indraputra 氏
Image credit: Masaru Ikeda

インドネシアではデータインフラストラクチャーが十分ではないことから、人々の健康の中でも、特に効果的な育児に対するフォローアップが行き届いていない。その結果、インドネシアの子供の43%が潜在的な成長力を満たせておらず、また、40%はワクチン(新型コロナウイルスに限らず、あらゆる疾病に関するもの)を接種していない。その結果、インドネシアはその経済の大きさゆえ G20 に含まれるにもかかわらず、乳児死亡率(出生1,000人あたりの死亡率)は19.5人と高い値を記録してしまている。

PrimaKu は、インドネシアの育児支援プラットフォームだ。約100万人がダウンロードしたこの無料アプリを使い、言わばデジタル版の母子健康手帳として、保護者が子供の体重、身長、頭囲などの幼児のデータを入力・記録することができる。これらのデータは幼児の年齢や性別に応じ、成長と発達が正常であるかどうかを判断できるようチャート化される。PrimaKu はこのほか、小児科医とのオンライン相談、予防接種の機会を逃さないためのリマインダーなどの機能も提供する。

ピッチする CEO の Muhammad Aditriya Indraputra 氏
Image credit: Masaru Ikeda

PrimaKu は、インドネシア保健省やインドネシア小児科医協会とも提携している。PriMaku を使うことで、小児科医は子供に対して適切な治療を提供できると共に、子供の健康データ約700万件を元に、医師同士の情報交換やコラボレーションができる機能も備えている。また、同社では現在、インドネシアの子どもの間で増加している糖尿病患者対策の一環として、インドネシア初の全国糖尿病登録システムを開発しているという。現在、PrimaKu に参加する小児科医は4,000人以上に上る。

一方、母親と子供をつなぐビジネスカテゴリは、インドネシアだけで450億米ドルと大きな市場だ。母親たちは世代的にもソーシャルメディアやコミュニティの反応を参考に商品を購入検討する傾向があり、e コマースにおける母親と子供をつなぐカテゴリの普及率は現在の3〜4%から5年以内に10%以上にまで成長する可能性が期待されるという。子育てプラットフォームのユーザを元にした e コマース分野への事業拡大は、新たなユニコーンを生み出す可能性にも富んでいるというわけだ。

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