企業が自前でNFTマケプレを作る理由:Ginco 取締役副社長 房安 × ACV唐澤・村上(1)

本稿はアクセンチュア・ベンチャーズが配信するポッドキャストからの転載。音声内容をテキストにまとめて掲載いたします

アクセンチュア・ベンチャーズ (ACV)がスタートアップと手を取り合い、これまでにないオープンイノベーションのヒントを探るポッドキャスト・シリーズです。旬のスタートアップをゲストにお招きし、カジュアルなトークから未来を一緒に発見する場を創っていきます。

ポッドキャストで語られたこと

  • 企業が自前でNFTマケプレを作る理由
  • カストディアル vs. ノンカストディアル
  • ウォレット開発から始めた理由
  • 〝繋がるコールドウォレット〟が誕生するまで
  • 暗号資産業者の求めに応えた高いセキュリティ
  • 非Web3企業がWeb3を始める上で重要なこと
  • 事業開発の苦労、高かったハードル
  • インフラ・ウォレットを開発するユニークな存在
  • あらゆるチェーン&トークンへの対応
  • 「経済の巡りを変えていく」ためのアプローチ

企業が自前でNFTマケプレを作る理由

房安:株式会社Gincoの房安と申します。Gincoでは取締役副社長を務めております。株式会社GincoはWeb3 Development Companyというテーマを打ち出していまして、企業様の暗号資産やブロックチェーンの活用を支援するソリューションの事業を展開しています。

主な領域ですと、暗号資産を管理するためのウォレットの領域や、最近ですとNFTマーケットプレイスを開発されたい大企業が増えてきましたので、そういったNFTの領域のソリューション支援というのを中心に行っている会社です。

唐澤:ありがとうございます。ウォレットとNFTマーケットプレイスといえば、(Web3で)結構ど真ん中の会社だと思うんですが、Gincoさんは自社でもマーケットプレイスを展開されてるんですか。

房安:弊社はマーケットプレイスを自社でサービス化するというより、サービス化したいお客様のバックエンドを全て引き受ける会社で、黒子に徹しています。マケプレをやるとなったときに、セキュリティの観点で企業さんはウォレットのところとかがすごく気になるんですよ。

ウォレットはサービスの入り口なので、例えばMetamaskみたいなサードパーティのものを使うのか自社で作るのかというのはすごく悩まれますし、それがルールに準拠しているかどうか、暗号資産交換業規制への該当性とか、いろいろな課題が出てくるので、そういったものを一緒に取り除きながら、最適は何かを一緒に考え、コンサルティングもして、それをソリューションとして開発もして、一気通貫でサービスを提供しています。

唐澤:その話を伺うと、今、結構仕事があふれて仕方ないんじゃないですか。

房安:ニーズは増えてますね。タイミングとしてはWeb3とかNFTとか言われだした2021年ぐらいから弊社から話しに行かなくても、インバウンドのお問い合わせで作りたいんだけど何から始めたらいいかなというような相談は増えました。

唐澤:どういう業界のお客さんが多いんですか? 特徴はあったりするんですか。

房安:弊社のお客さんはまず大きく二つに分かれまして、一つが暗号資産交換業者を含む金融のエリアのお客様、あとは金融以外のエンタープライズのお客様で、大体半々ぐらいのイメージですね。

唐澤:非金融もかなり増えてきてるってことですね。

房安:そうですね。その傾向が2021年ぐらいから顕著に出てきてるなと感じてます。

唐澤:NFTと言った時に、企業もやってみたいということで我々もよく相談を受けたりするんですけれども、マーケットプレイス自体は世の中にあるじゃないですか。自分たちで作ろうとなると結構大変だなと思ったりするんですけど、相談してくるお客様はなぜ自分たちで作ろうという話になるんですか。

房安:それは難しいですね。確かにOpenSeaとかMagic Edenとかいろいろなマーケットプレイスがある中で自社でやるというのは、理由を考えれば、各社さん個別に具体理由があると思っています。

皆さん既存事業との地続きで考えられていて、上場していたり、一つの大きなプラットフォームを持たれている企業さんですと、既存のプラットフォームの拡張としてNFTをどう活かすかという考え方になるので、完全に切り離して事業をすることが決定しづらい、というのが大きな理由としてはあると思います。

唐澤:そうだとすると、ブランドより、何かしらのコマースをご自身でやられてるようなお客さんの方が今は多いというイメージですかね。

房安:コマースに限らずですが、例えばITのメガ系のところで、メッセンジャーだったり、ゲームだったり、ECだったりプラットフォームを持たれている企業さんが、それぞれ自分たちの色でNFTのマーケットプレイスを繋げて活かすというところを意識されて作られてるのかなと思います。

唐澤:自分たちのサービスの体験の中でうまくマーケットプレイスとかウォレットを統合して提供していきたいということですね。

房安:そうですね。あとよく言われるのはIDとIDの連携ということですよね。Web3の入り口といえばウォレットのコネクトだという話がよく議論になるじゃないですか。彼らは今までにすでにIDの基盤を持っていて、そことWeb3の入り口でウォレットが繋がると、単純に市場が広がるんじゃないかとか、アクセスできる相手が増えるんじゃないか、と考えられます。

そこをうまく繋げてほしいとなると、既存のMetamaskをそのまま使うっていう選択は割と序盤の方で無くなることが多いです。繋げるにしてもどこにウォレットを作るかについては、カストディアルなのかノンカストディアルなのか(企業側が秘密鍵を持つか、ユーザ側が秘密鍵を持つか)がよく議論になると思うんですが、そこでプロコン(長所と短所)を洗い出して、どちらのパターンで行くかという話は、最初の方で厚めにやらないといけないですね。

次につづく:カストディアル vs. ノンカストディアル:Ginco 取締役副社長 房安 × ACV唐澤・村上(2)

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録