AIを支配したNVIDIA(1)ーーiPhone以来の衝撃「ChatGPT」を現実のものに

SHARE:

来月開催されるNvidiaの年次AIカンファレンスでは、同社のプラットフォーム上で働く350万人以上の開発者を対象に、創業者でCEOのJensen Huang氏がOpenAIの共同創業者でチーフサイエンティストのIlya Sutskever氏をステージに招いてファイヤサイド・チャットを行う予定だ。

このセッションはNvidiaがAIの優位性を譲るつもりはないことを示す象徴的なメッセージになるだろう。Nvidiaは10年前の「革命」を支えたハードウェアとソフトウェアの会社であり、ChatGPTのようなツールで生成型AIが爆発的に普及したとしても、そのリードを失う兆候はほとんどない。

結局のところ、Nvidiaは初期のパイオニアたちの技術基盤を提供したのだ。Sutskever氏は、Alex Krizhevsky氏と彼らの博士号指導教員Geoffrey Hinton氏とともに、コンピュータビジョンのための先駆的なニューラルネットワークであるAlexNetを作り、2012年10月にImageNetのコンテストで優勝している。このモデルがこれまでにない画像認識精度を達成したことを示した優勝論文は、次の10年の主要なAIサクセスストーリー、ーーつまりGoogleフォト、Google翻訳、UberからAlexaやAlphaFoldまでーーに直接つながっている。

Hinton氏によると、AlexNetはNvidiaなくしては実現しなかったという。NvidiaのGPUは、数千の演算コアに支えられた並列処理能力のおかげで、1999年にPCゲームの超高速3Dグラフィックス用に誕生し、一般的な演算処理に最適化され始めていたものだったのだが、なんと深層学習アルゴリズムの実行に最適であることも判明したのだ。Hinton氏は昨年秋、VentureBeatにこう当時のことを語っている。

「2009年、私はNIPS(現NeurIPS)で講演を行い、約1,000人の研究者に、GPUは将来の機械学習に必要になるから、全員GPUを購入すべきだと話したことを覚えています」

しかしSutskever氏は、ChatGPTやDALL-E 2のような大規模言語モデルが、おそらく2007年のiPhoneの幕開け以来、考えられなかった方法でジェネレーティブAIを人々の意識の中に打ち込んだと言い、これが2023年のAIハイプ爆発を象徴することになったのだと指摘する。

これは、Nvidiaなしにはあり得なかったことだ。今日の大規模な生成AIモデルの実行には数千のGPUが必要であり、John Peddie Research社によると 、NvidiaはGPU市場の約88%を占めているのだそうだ。実際、OpenAIは 1万個のNvidia GPUを使用してChatGPTを訓練したと伝えられている。

多くの人が、30歳となるNvidiaを、赤熱するジェネレーティブAI分野における最大の勝者候補と見ている。実際、ジェネレーティブAIの熱狂によって、Nvidiaの株価は1月に急騰した。

例えばCitiは、ChatGPTの利用によって12カ月間で30億ドルから110億ドルの売上がNvidiaにもたらされると推定している。そして先月、AltimeterのBrad Gerstner氏は、Nvidiaが「AIスーパーサイクルの心臓部」であるとCNBCで語っているのだ。

昨日のアナリストとの第4四半期決算説明会で、同社はAIチップを含むデータセンター事業の増収を開示した。NvidiaのHuang氏もこれに同意しており、AIは「変曲点」にあり、MLソフトウェアを開発するためにNvidiaチップをより多く購入する企業が増えている、と彼は述べている。

「ジェネレーティブAIの多用途性と能力により、世界中の企業でAI戦略の策定と展開に向けた危機感が高まっていると感じています」(Huang氏)。

次につづく:AIを支配したNvidia(2)ーーチャンスに気づいた人

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録