本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事を一部編集の上転載したもの。MUGENLABO Magazine編集部がピックアップしたスタートアップとオープンイノベーションに取り組む企業の中からいくつかの注目企業をまとめてご紹介する。
KDDI ∞ Laboの月次全体会ではスタートアップが大企業に向けてピッチを実施しています。本稿では12月16日に実施したピッチステージに登壇した9社から編集部にて注目した4社のショートインタビューをお届けします。登壇した全9社は以下の通りです。
- Real Wear Japan合同会社(ウェアラブルコンピュータ)産業現場向けウェアラブルコンピューター「Realwear」を提供
- GOKKO(ショートドラマ)TikTok、縦型ショートドラマの制作
- Take Me(決済)マルチスマホ決済ゲートウェイアプリ「TakeMe Payスタンド」
- TieUps(SNS/コミュニティ)プロフィールサイト「lit.link」を提供
- PerkUP(働き方)働く人の毎日を豊かにする分散型オフィスを提供
- LOGOUT(Web3)Sleep to earnプロジェクトを実施
- チケミー(Web3)NFTチケット・NFT会員券サイト内組み込みAPIを提供
- CoeFont(音声AI)誰もが安価で利用可能なAI音声プラットフォームを提供
- Type Bee Group(webtoon)タップするだけで気軽にイラスト付きのストーリーが読めるノベルサービス「TapNovel」
NFTチケット販売プラットフォーム「TiketMe」

チケミーはNFTを用いて販売できる日本初のNFTチケット販売プラットフォーム「TicketMe」を提供するスタートアップです。初期費用無料、暗号資産や暗号資産ウォレットがなくても利用が可能です。チケミー代表取締役の宮下大佑さんにお話を伺いました。
何をしている会社ですか?
宮下:チケミーはブロックチェーン技術を用いたNFT関連サービスを通じ、コミュニティの創生、維持、運営、財やサービスの流動性の向上をサポートするスタートアップです。「世の中の隠れた価値を見つけ出す」ことをミッションに、未来のエンタメ、物流、不動産を支える社会インフラを構築します。
業界を問わずリアル×ブロックチェーン技術にフォーカスしたサービスを提供しておりますので、お気軽にHPよりお問い合わせください。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
宮下:早稲田政治経済学部へ入学後すぐにアパレル系のECサイトを起業、運用したのち、売却しました。その後、EastVenturesでリサーチャーの業務をした後に株式会社チケミー設立しました。
ブロックチェーンの技術自体は2017年ごろから面白いなと思って注目し始め、DeFiやDEX作るのもいいなと思ったが、日本で僕が今やるのはハードルが高いと思いました。なぜなら、トークンエコノミクスによって、サービスの構想から実現が圧倒的に速くなったからです。今までの会社と違い、協力できる部分だけ世界中から集まった人が瞬時に協力し、解散するチームのあり方が可能になりました。
これを見た時に、最先端技術を追い求める領域は日本の株式会社では戦えないと感じたため、”労働集約型”と”地域密着型”が組み込まれたNFTチケットのプラットフォームサービスに目をつけたのです。チケットや引換券の販売プラットフォームはC向けのように思えますが、実はB向けで、これは時間をかけないといけないからチャンスがあると思いました。
実際に事前リサーチをしている中で、海外のそこそこ大きなNFTチケット販売プラットフォームに問い合わせをしたら、翌日に英語で電話がかかってきたのです。そんなアナログな営業をしているということは、やっぱり労働集約型と地域密着型の側面があると感じました。
あとは、NFTが今までPFPとかアートの文脈で語られていたので、その延長線上にあり、ある程度理解されやすい”チケット”から始めることにしました。
これからの目標は?
宮下:チケミーが構築するのは、あらゆる財やサービスの先物、二次流通のインフラです。これまでのインターネットが実現したのは、情報に限定されたデジタル財の流通でした。私たちチケミーは、ブロックチェーンを用いて、リアルアセットを含むあらゆる財の流通を活発化させます。
世の中に溢れる隠れた価値を生産者に利益のある形で二次流通させてよりパブリックな場に登場させ、エンタメ・物流・人材・不動産のあらゆる領域で、正しい価値判断が行われる世界を実現します。
産業現場向けウェアラブルコンピューター「Realwear」

続いてのスタートアップは産業現場向けウェアラブルコンピューター「Realwear」を提供するRealWear Japan合同会社です。音声操作が可能な産業現場向けウェアラブル・コンピューターの製造販売をしている企業で、テレビ会議システムを使って専門家が自宅から現場作業員を支援したり、ワークフローソフトウェアを使って作業手順を画面に表示することが可能だそうです。同社で営業ディレクターを務める松永 吉央さんにお話を伺いました。
何をしている会社ですか?
松永:産業現場向けウェアラブル・コンピューター「Navigator 500」及び防爆仕様の「HMT-1Z1」の製造販売をしています。音声で操作できるため危険な環境や両手を使う作業でも端末の操作が可能で、IP66の防塵防水性能があります。
テレビ会議システムを使って専門家が自宅から現場作業員を支援することや、ワークフローソフトウェアを使って作業手順を画面に表示することが可能です。現在、日本企業600社以上に導入頂いております。Microsoft TeamsやCisco Webex Expert on Demand、Zoom、V-Cube、TeamViewer Frontlineなど多くのソフトウェアが使用できます。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
松永:産業現場における労働者不足や知識継承、設備の老朽化などの課題を解決するために、現場作業員により高い能力を発揮してもらうためにウェアラブルコンピューターを開発しました。
これからの目標は?
松永:日本はインフラと製造業に支えられており、そこで働く現場作業者が仕事をより効率よく、的確に実行できる世界を目指しております。そのために、サーマルカメラのアタッチメントやより高度なノイズキャンセリング機能を実装し、現場作業者の能力を拡張しつつ、端末の利便性を高めたいと思っています。
イラストつきの小説が読める・つくれるサービス「TapNovel」

次にご紹介するのはゲーム感覚でイラストつきの小説が読める・つくれるサービス「TapNovel」を運営TypeBeeGroupです。アニメのように物語を楽しむコンテンツ制作のプラットフォームで、クリエイターはここでコンテンツを制作し、読者はこれらを購入して楽しむことができます。同社代表取締役の遠藤彰二さんにお話を伺いました。
何をしている会社ですか?
遠藤:ゲーム感覚でイラストつきの小説が読める・つくれるサービス「TapNovel」を運営しています。豊富なイラストによって本来テキストで読む小説をビジュアライズし、視覚でストーリーを楽しめるようにしました。さらにBGMや効果音、ボイスと言った聴覚で楽しむ機能や、絵が動くアニメーションエフェクトを取り入れて、アニメのように物語を楽しむことができます。
また、当社の制作プラットフォームと所有するイラストを一般開放し、絵が描けない人でもビジュアルストーリーを作って公開することができます。ビジネスモデルは、読者向けは広告、サブスクリクプション、ギフティングの3つ。作者向けには、サブスクリクプション、イラスト販売(予定)となります。今後はTapNovelで生まれた作品を活用して様々なメディアに展開していくことも想定しています。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
遠藤:アニメや映画等の巨大なエンターテイメントビジネスでは、小説や漫画を原作にしたものが主流です。中でも制作コストの低い小説は原作IPの宝庫でしたが、スマホ時代においては、テキストだけの小説は読まれにくくなっており、ビジュアルのある漫画にその座を奪われています。
そこで、活躍の場を失いつつある小説の書き手たちにスポットをあて、絵が描けなくてもビジュアルストーリーをつくれるサービスを作ることで、次世代の原作プラットフォームとなることができるのではないかと思い、サービスを立ち上げました。
これからの目標は?
遠藤:絵は描けないけど面白い物語を書ける作家、物語は書けないけど上手な絵を描けるイラストレーター、知名度はないけど演技力の高い声優など、才能のあるクリエイターがタッグを組んで自分たちの作品をつくり、とどけ、かせげるような世界を目指して参ります。
インバウンド需要を見込んだ飲食店のデジタル化支援「TakeMe」

TakeMeはインバウンド領域における店舗向けトータルソリューションを提供するスタートアップで、事前予約の「TakeMe Inbound」決済の「TakeMe Pay」販売チャネル提供の「TakeMe Order」を提供されています。インバウンドに対応するため、決済「TakeMe Pay」は世界100以上の決済方法が利用できるようになっているのが特徴です。TakeMe CEOの董路さんにお話を伺いました。
何をしている会社ですか?
董:TakeMeには主なサービスが3つあります。
- TakeMe Inbound:訪日観光客向けの日本の飲食店の事前予約サービスです。海外プラットフォーム上での予約を可能にし、直接売上を増加させます。
- TakeMe Pay:クロスボーダースマホ決済ゲートウェイとして、全世界の100以上の決済方法を集約しております。オンライン決済と店頭決済と両方対応し、現在契約店舗数は約1万を超えております。
- TakeMe Order:飲食店向けのマルチチャネル販売システムです。月額課金のSaaSモデルで、いわば飲食店版「Shopify」です。
なぜ会社を立ち上げたのですか?
董:1993年に中国から日本に来た際に、日本語学校へ通いながらレストランでバイトしていました。皿洗いから調理まで広く学んだ経験を活かし、日本と中国の両方を良くすることを目指しています。
中国でECベンチャーを創業し、成長させ売却した経験があります。中国のスマホサービスやQR決済などについてたくさん勉強してきました。これらの知見を日本の飲食店とインバウンド観光客の両方に役立てるために、3回目の起業をしました。
弊社のビジョンは「Connect You to A New World」です。スマホ技術を駆使し、日本の素晴らしい文化とおもてなしを代表する飲食店と、世界中の人々と繋ぐ架け橋となることが我々の役割です。
これからの目標は?
董:まず日本の飲食店のインバウンド領域におけるベストビジネスパートナーになリ、同時に、インバウンド観光客にとって“Your best local friend”になるのが直近の目標です。
飲食店が食づくりとおもてなしに集中し、それ以外のことは全部弊社に任せられるようになれば最高だと思っています。例えば海外へのプロモーションや、ファンを増やすCRM活動、DXによるコスト削減などは弊社の得意分野です。
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