声を出さずに電話できる次世代トークアプリ「Jiffcy」/Monthly Pitch! スタートアップの扉

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穴熊 代表取締役 西村成城(まさき)氏
Image credit: CyberAgent Capital

本稿はベンチャーキャピタル、サイバーエージェント・キャピタルが運営するサイトに掲載された記事からの転載

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サービス概要:穴熊が開発する「Jiffcy」は、声を出さずに電話できる次世代トークアプリです。「声を出さずに電話する」とは不思議な感覚ですが、電話のように呼び出して、相手が応答したらトーク画面に遷移し、そこから文字でコミュニケーションをとるという仕組みです。

なぜ今Jiffcyのなのか。そのヒントはスマホネイティブ世代の台頭。彼らのスマホでの入力スピードはかつてないほど速くなっており、この形式でも十分に早くコミュニケーションがとれるのだそうです。またコロナ禍に起因した人間関係の希薄化や、プライバシー重視のトレンドもあり、声を出さずに電話できるJiffcyのニーズが高まるのだと、穴熊代表の西村さんは語ります。

Monthly Pitch編集部はココに注目:Jiffcyの話を聞いたとき、「トーク画面があってテキストでコミュニケーションをとるならLINEのようなチャットツールでいいのでは」との疑問が思い浮かびました。この点、Jiffcyの特徴は、コミュニケーションスピードの早さやトーク時間の長さで、そこが差別化要因になると穴熊代表の西村さんは説明します。なおJiffcyの仕組みは、国際特許にも出願済みです。

Jiffcyには、電車の中など、声を出せないシーンでも使えるという利点があります。また、家族が家にいるのでこそこそ電話したり、寒い中ベランダや家の外で電話する経験をしたりした方は多いと思いますが、Jiffcyのメインユーザーである高校生や大学生は、今はこんな経験をしないのかもしれません。

ビジネスモデルとしては、企業・ユーザー両面からの課金を想定。対面や電話だと話している途中に広告が割り込む余地はありませんでしたが、Jiffcyなら広告を出すこともできそうで、新たな広告市場を作るかもしれません。

詳細:連絡手段は、電話→メール→メッセンジャー(SMSやSNS のメッセージング機能)へと変化し、タイミングの柔軟性は増したもものの、届く連絡の量が増えたことで、本当に必要な連絡が相手にタイムリーに届かないという問題が生じるようになった。メッセージ到着を届ける通知が多く届き、ユーザはどのメッセージにすぐ反応すればいいのかわからなくなる。カジュアルな連絡をテンポよくやりとりできるようにと、電話とメッセンジャーのいいとこ取りを目指すのが「Jiffcy」だ。

Jiffcyはもともと、中高大学生が協力し、協賛企業とともにSNSを作り上げることを目標に掲げる学生団体「Progress One」のプロジェクトとして生まれ、協賛企業であった穴熊が開発を担当する形で誕生した。ここ数年、コロナ禍で大学の講義がリモートになったり、休校になったりして、学生らは友人らと対面で会う機会を失うことを余儀なくされたが、そうした不便をテクノロジーの力で克服したいと考えた彼らの思いが、如実にアプリとして形になった、と見ることもできる。

Z世代が好む、メッセンジャーを電話のように使うこのスタイルは日本以外でも見られ、アメリカ西海岸発のアプリ「Honk」は、2020年末にローンチした直後、アメリカとカナダの AppStore のソーシャルネットワーキングのカテゴリで、それぞれ11位と15位につけた。インドでも上位なので、国を問わず英語圏のZ世代に、広くこのコミュニケーションスタイルが受け入れられた。Honkは、AngelList創業者として知られるNaval Ravikant氏を含む個人投資家から出資を受けている。

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