スマートセキュリティのSecual、軽井沢でスマート別荘の分譲に参入——非利用時は宿泊物件として貸出も

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「Secual Villa type-B」分譲予定価格は1億7,800万円(税込)。サービス利用料別途要。
Image credit: Secual

ホームセキュリティ・デバイスや関連するクラウドサービスを開発する Secual(セキュアル)は14日、長野・軽井沢で別荘として使われることを想定したスマートヴィラの開発・分譲を始めることを明らかにした。Secual は以前から、積水化学(東証:4204)との提携でスマートタウンマネジメント事業に参入しているが、この時に導入されたのと同様の機能がヴィラに設置されると見られる。

スマートタウンマネジメント事業では、Secual は、窓・ドア、冷蔵庫などに貼り付けたセンサーからの開閉・振動を検知してスマートフォンなどに通知する機能の提供、積水化学が開発した DSC(フィルム型色素増感太陽電池)の製品化、スマート街灯・スマートタグ・スマートロッカー・スマートホームセキュリティ・コミュニケーションアプリの提供などを行っている。

今回紹介されたスマートヴィラは不在時にも遠隔で完全管理・監視ができるのが特徴。湿気を排除するため24時間換気されているため、例えば、来客時にオーナーが前入りして換気するような煩わしさからも解放される。換気に必要な電力は屋根につけられたソーラーパネルとバッテリから給電されるため、電気代はかからず環境面にもやさしい。

Secual は2015年6月、ビジネスコンサルティングと新規事業創出を展開するイグニション・ポイントの新会社として設立されたイグニション・ポイントは2022年5月に電通が買収した。それに先立ち、イグニション・ポイントの創業者の青柳和洋氏は2018年6月、 Secual の代表取締役を退任しているが、現在も Secual の主要株主であると推定される)。

「Secual Villa type-A」分譲予定価格は1億3,800万円(税込)。サービス利用料別途要。
Image credit: Secual

青柳氏は2019年4月に BlueGoats Capital を立ち上げ、2022年6月にファブレス住宅メーカーの it’s  HOUSE、先月には住居用不動産を賃貸および宿泊施設としてハイブリッド運用するリアテクノロジーズに出資したことが明らかになっている。Secual のスマートヴィラの開発・分譲にあたっては、it’s HOUSE とリアテクノロジーズも協業する。

it’s HOUSE は、Web ベースでフルカスタマイズの家が建てられる仕組み「RAKU TAP」を開発しており、この仕組みを全国の工務店に貸与することで、自らは職人を持たないファブレスの住宅メーカーを目指している。また、リアテクノロジーズは不動産オーナーから住宅物件の運用を預かり、ロングステイヤー向けの宿泊・滞在施設として貸し出すサービスを提供している。

3社が関与するスキームが組めたことで、スマート別荘のオーナーはテクノロジーが実装されたヴィラを、好みにあわせカスタマイズし安価で建設することが可能になる。非利用時は宿泊・滞在施設として貸し出すことで売上を確保でき、建設コストの早期回収や事業としての運用も可能になる。販売先としては、イグジットを果たしたスタートアップ経営者などをターゲットに据えているようだ。

IoT を開発する会社が、それを社会実装するために別荘の開発や分譲にまで乗り出すことは難しい。分譲にあたっては、用地取得や建設のための資金など販売に先立つキャッシュフローが必要になることから、Secual は特別目的会社(SPC)を設立し、ここがこの事業運営の主なビークルとなる。Secual では今後、軽井沢以外の別荘地などへの展開も検討するとしている。

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