元ボディービルダーの世界チャンピオンが台湾で始めた、水素水ディスペンサービジネス「Aquivio(酷水)」

Aquivio 創業者 Mark Chang 氏と Daniel Hill 氏
Image credit: Meet(創業小聚)

健康的な水分補給に独自の工夫を凝らした飲料市場に新しいプレーヤーが参入した。国際的なボディビル大会で優勝した元ボディビルダーの Daniel Hill 氏が設立したスタートアップ Aquivio(酷水)を紹介する。Hill 氏は台湾人共同創業者 Mark Chang 氏とともに、水素水を大衆に普及させることを使命とし、ジムや企業に水素水ディスペンサーを貸し出し、健康的で手頃、かつ環境に優しい方法で水素水を提供している。

 

18歳でボディビルダーとしてのキャリアをスタートさせた Hill 氏は、2007年に IFBB ジュニア・ワールド・チャンピオンのタイトルを獲得した。雑誌に掲載され、Facebook のファンページまで持つようになった彼は、プロのボディビルダーとして世界中で有名になった。

ゲーテ大学フランクフルト校で薬学を学んだ Hill 氏は次のように語る。

フィットネス業界で働く上での一つの原則は、自分の体を完全に理解することだ。

栄養素の分野に目を向けた Hill 氏は、プロフェッショナルなレベルでより良いパフォーマンスを発揮することを決意した。彼は、ダイエットのためのあらゆるサプリメントに注目するだけでなく、水分補給にも配慮した。 Hill 氏によれば、水はあらゆる物質の究極の運び手だからだ。

2007年、彼は初めて水処理に取り組んだ。水イオナイザーを使って水素水を作り、毎日飲むようにしたのだ。電子式イオナイザーを購入し、毎日水素水を飲み始めた。アスリートだった彼は、デトックスや免疫サポート、健康全般を助ける抗酸化水の効果に魅了されたのだ。

それ以来、Hill 氏はサイドビジネスとして、このディスペンサーの販売に携わってきた。台湾から高価な機械を輸入し、ドイツで販売していた。当時は1台2,000〜4,000米ドルもした。自宅に1台あれば、贅沢な気分になれる。ボディービルダーのインフルエンサーとして、 Hill 氏はフィットネス業界の人たちを顧客にすることがほとんどだった。しかし同時に、すべての人に手の届く価格にできないことに限界を感じていた。

6年間の販売・小売業を経て、 Hill 氏はボディービルダーとしてのキャリアに終止符を打ち、水素水ビジネスに本格的に参入することを決意した。

最高のサプライヤーを探し、台湾を出発点に選ぶ

Hill 氏はボディービルダーとしてのキャリアに終止符を打ち、水素水ビジネスに本格的に飛び込むことを決意した。(Aquivio のスタートアップランチョンで披露された、水素水ディスペンサーの使用イメージ)
Image credit: 侯俊偉

Hill 氏は次のように語った。

ユーザに必要なものを的確に提供するウォーターディスペンサーを作りたい。拡張性を持たせるためには、経済的な部品が必要だ。

その第一歩として、 Hill 氏はマシンに最適なサプライヤーを探すため、台湾に拠点を移した。

2018年のある日、 Hill 氏は台中でさまざまなメーカーと部品やパーツの打ち合わせをしていた。
彼はカフェの店内で Mark Chang 氏と遭遇した。Chang 氏は若く野心的な男で、以前は化学分野のスタートアップを立ち上げた経験があり、次の機会をうかがてっいた。Chang は人脈を活かして地元のメーカーを探し、Hill 氏はスタートアップのアイデアを得るという、この2人は相性抜群だった。2022年、Hill 氏と Chang 氏によって Aquivio が設立された。

Aquivio のビジョンは、より健康的な飲料を誰もが利用でき、手頃な価格で購入できるようにすることだ。その装置は、低カロリー、無糖、豊富なビタミン、植物エキスやカフェインなどの機能性成分で強化されたプレミアムアルカリ水素水や機能性飲料を提供する。マシンをカスタマイズすることで、ユーザは自分の健康やフィットネスの目標に合わせた飲料を選ぶことができる。Aquivio は、アッセンブルと機械設計の革新により、装置内に8つのフレーバーまたは注入チャネルを組み込み、簡単なメンテナンスとディスペンサーの半自動洗浄サイクルを実現している。

Daniel Hill 氏は最高のサプライヤーを探し、台湾を出発点に選び、そこで Mark Chang 氏と出会った。
Image credit: Aquivio 創業者 Mark Chang 氏と Daniel Hill 氏

我々のデバイスの根底にある魔法は、水処理技術に基づいた特定のデザインだ。(Hill 氏)

水素は生物学的に活性な分子(H₂)であり、抗アポトーシス、抗炎症、抗酸化作用など多くの特性を持つ。日本では、水素ガスを吸入する治療法があるくらいだ。しかし、水素を吸引するためには、お金も時間もかかる。水素を含んだ水を直接飲む方が、日常生活には適している。Aquivio のウォーターディスペンサーは、水中の水素濃度を一定にすることで、水を飲むことで自然に抗酸化物質を摂取することができる。

ウォーターディスペンサーのビジネスモデルを革新

Aquivio のウォーターディスペンサーで飲むと、市販のドリンク価格の30%程度の費用で済む。
Image credit: 水素水ディスペンサー「Aquivio」の使用イメージ

ウォーターサーバーの小売業に長年携わってきた Hill 氏は、一般家庭への販売は贅沢なビジネスであることをすでに知っいた。そこで Hill 氏は、この装置をレンタルで提供することにした。

この装置を主流にするために、Hill 氏はビジネスモデルを革新し、スケールアップの可能性を高めた。レンタルすることで、ジムや企業は、エンドユーザーが飲料の代金を支払うたびに利益を得ることができる。缶やペットボトルの飲料に比べ、Aquivio のウォーターディスペンサーで飲むと、市販のドリンク価格の30%程度の費用で済む。このレンタル機は、施設に持続的な収益をもたらすと同時に、個々のユーザの経費を節約することができる。

1台で最大2,600杯分のドリンクを提供することができ、施設が長時間維持するのに十分な量だ。
さらに、客のニーズに合わせて、サプリメントの比率をカスタマイズすることも可能だ。例えば、ジムで運動する人は、カフェイン入りの水よりも電解質入りの水を必要とするかもしれない。また、Aquivio は個人ユーザ向けに1カ月パスを用意しており、毎日2本のドリンクを割引価格で支払うことができる。1ヶ月パスは、ユーザが日常的にジムに通うことを促し、健康的なライフスタイルのための原動力となる。

ジムやワークスペースでは、ペットボトル飲料よりも低価格でアルカリ性水素水を楽しむことができるようになった。Aqivio のディスペンサーで水素水を飲めば、より安く、より健康的で、より環境に優しい。Aquivio は現在、CrossFit BaKeSi、Hypercore Fitness、Achilles Gym などの台湾のジムチェーンと提携し、ジムで客に水を提供している。

次のステップとして、Aquivio は5月にアメリカでのデビューを予定している。 Hill 氏は、プロスポーツ選手で世界チャンピオンだった頃、ボディビルのために何年もアメリカで過ごし、現在の Hill 氏のメンターとなるゴールドジムのフランチャイズ共同設立者 Edward Connors 氏と知己を得た。フィットネス業界とアメリカ市場で豊富な経験を持つ Connors 氏は、Aquivio を支援し、このウォーターディスペンサーがプロダクト・マーケットフィット(PMF)を見出すのに貢献した。

このスタートアップは、Kinetik の CEO 兼共同設立者 Jameson Hsu 氏、Just Kitchen 元 COO Kent Wu 氏、Enspyre の共同設立者兼 CEO Elias Ek 氏がリードしたシードラウンドをクローズしたばかりだ。Aquivio は現在、サービスの最適化を図るため、水素の消費量をリアルタイムで把握し、ユーザの飲用行動を分析できるウォーターディスペンサーに対応したソフトウェアの開発を進めている。Aquivio は、そのユニークな製品を大衆に提供し、競争の激しいアメリカ市場で注目を集めることを計画している。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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