Tommy Hilfigerが挑戦する「クロスメタバース」戦略ーーバーチャルハブ「Emperia」と提携発表

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プレミアムライフスタイルブランドTommy Hilfigerは、3Dテクノロジーとバーチャルリアリティ(VR)プラットフォームプロバイダーEmperiaとの提携により、クロスメタバースなバーチャルハブを本日(訳註:現地28日)発表した。この発表の一環として同社はDecentraland、Roblox、Spatial、DressX、Ready Player Meを含む様々なプラットフォームにおいて、複数のバーチャル体験提供を同時に発表している。

Emperiaはこれらの仮想世界での体験を簡単に出入りできる中心的なハブを提供する予定だ。Tommy Hilfigerのメタバースハブは、3月28日からオンラインで利用できるようになる。

というのも、今日におけるメタバース配信では、統合されていない複数のプラットフォームにまたがる必要があるため、企業はブランディングに一貫性を持たせるという課題に直面している。Tommy Hilfigerとのコラボレーションのように、Emperiaの相互運用可能なアプローチはそれらのギャップを埋め、マルチワールド体験をブランドのWeb3およびeコマース戦略に統合することを可能にする。

Emperiaのゲートウェイは断片的な環境をつなぎ、ユーザーにシームレスな体験を提供することで、各プラットフォームのユニークな機能を、その中から楽しむことができるようにする。その結果、物理的な小売業を凌駕すると言われる、新しいユニークなブランド体験を作り出すことができるのだ。

クロスメタバースをスタイリッシュに配信

Emperiaが作成したハブは、DressXを搭載したデジタルファッション、Vinnie HagarとのWeb3アーティストコラボレーション、AR機能、フォトブース、ゲーミフィケーション、コミュニティにフォーカスしたAIファッションの作成コンペティションを備えている。Tommy Hilfigerの有名な「TH」モノグラムは、すべてのプラットフォームに表示され、統一されたデジタルブランドストーリーを作り上げると同時に、ウェブサイトと様々なメタバース間の移動を提供し、ユニークなインパクトを持つエンドツーエンドのショッピング体験を提供する。

Emperiaのレンダリング機能は、プラットフォーム間でのグラフィック品質を標準化し、ユーザーが特別なソフトウェアをダウンロードすることなく、簡単にアクセスできるハイパフォーマンスな体験を提供する。この体験は、ほとんどすべてのデバイスで利用可能だという。

メタバースプラットフォームの中には、支払い方法を暗号通貨(資産)に限定しているものもある。Emperiaは、小売業者のeコマースプラットフォームと統合することで、ユーザーに幅広い支払いオプションを提供し、そのギャップを減らしてユーザーの信頼を高め、結果としてオンライン売上を増加させようとしている。

全体としてEmperiaはクロスメタバースハブにより新たな相互運用性を導入し、Web3のフロンティアを曖昧にし、メタバース、eコマース、エンターテインメント、ダイレクトパフォーマンスを、データに裏打ちされた形で接続できるようにすることを目的としている。一方、Emperiaのデータセット機能は、異なるメタバース体験におけるユーザーとエンゲージメントを詳細に洞察し、これまで提供されたことのないデータ横断的なアプローチを可能にしている。

EmperiaとTommy Hilfiger、リアルとバーチャルでアイテムを販売

また、Tommy Hilfigerのデジタルハブでは、アイコニックなVarsity Jacketを筆頭に4つの限定アイテムを提供し、あらゆるプラットフォームで様々な美的表現で紹介することで、商品体験の向上を目指している。

ユーザーはTommyのeコマースプラットフォームに接続された物理的なものと、DressXデジタルファッションプラットフォームに接続されたデジタルなものの2つの形態でジャケットを購入することが可能となっている。Emperiaのハブは物理的なジャケットの販売へのアクセスを提供し、Ready Player Meのプラットフォームは、様々なゲームや環境で使用できるデジタルバージョンを提供し、相互運用性の選択肢を増やす。

Emperiaの共同設立者兼CEOであるOlga Dogadkina氏は「Emperiaは仮想小売業のあり方を変え続け、限界を拡大し、小売業者のeコマースへの移行をサポートしています。Emperiaのバーチャル環境では各技術ベンダーが独自の機能や特性を活かした業界のコラボレーションを進めています」と語る。

Tommy HilfigerとPVHグループとのコラボレーションはその一例であり、断片的な業界を合理的な体験に統合することでユーザー体験を高め、ブランドエンゲージメントと購入者のロイヤルティを促進する全く新しいデジタル小売環境を作り出している。

最終的な目標は決済プロセスを一元化し、ユーザーが小売業者のオンライン体験を自由に往来できるようにすることで、eコマースのパフォーマンスを向上させることだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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